2010年12月17日金曜日

ピートとパパの会話(その118 政権の方向性)



パパ 「今回の税制改正大綱で政権の方向性が見えたね~」
ピー  「どういうこと?」
パパ 「先ず、法人税の5%引き下げ」「これは、役員報酬と内部留保に
    回るだけで、雇用増に繋がるとは思えない」
ピー  「どうして雇用増に繋がらないの?」
パパ 「雇用増は、マクロ経済によって決定される」「つまり経済が浮揚
    しないと駄目なんだ」「法人税の減税は、単なる人気取りだね」
    「それと、日本企業で黒字なのは3割にすぎない」
ピー  「たった3割? んじゃ、残り7割りの企業は赤字経営ちゅー訳?」
パパ 「んだよ。法人税を支払う企業は3割しかおらん」
    「7割の企業は、減税の恩恵に与れないちゅーことだわさ」
ピー  「赤字企業は、税金を納めなくていいんだね」
    「ほななんで法人税減税をするの? あまり意味ないじゃん」
パパ 「これには少しカラクリがあって、同時に欠損金繰越制度を見直す」
    「これは、黒字経営でも前年が赤字なら、その分を相殺して赤字に
    見せかけられる制度だが、それを80%まで縮減する案だ」
ピー  「というと、うまく赤字を繰返していけば、ずっと法人税を払わなくて
    もエエということ?」
パパ 「ま、そういうこと。だから赤字企業が7割にも達する」
    「今回、そういう不明朗会計企業を同時に炙り出そうという訳だ」
    「銀行の不良債権処理が大変になってくるぞえ~」
    「だけど、日本の法人税の高さは先進国一だかんね」
ピー  「それが、効果薄の5%法人税減税案か」
パパ 「実は、他にも隠された思惑があるんだが~・・・後で話そう」
ピー  「で、法人税減税の穴埋めはどうなっちょるのよ?」
パパ 「当然個人への増税で賄う」
ピー  「なぬ! 個人から金を巻き上げて企業にばら撒くのん?」
パパ 「計算上はね。他に何処から税金を巻き上げるのよ?」
    「個人の金しかないのとちゃう」
ピー  「酷いのう~」「国民が思っている民主党のイメージとちゃうじゃん」
パパ 「いやいや、それが民主党の本質なんじゃよ。それも後で話そう」
ピー  「いやに後の話が多いね」
パパ 「今回の税制改正で最も酷いのが相続税だなぁ」
ピー  「どういうことなんかな?」
パパ 「控除額が下がるから、都市部に住んでいる殆どの庶民に影響が
    出る」
ピー  「庶民は、都市部から追い出されるちゅーこと?」
パパ 「んだ、都市部で代々居住して行くのは到底無理になる」
    「こういうことが、都市部居住の極普通のサラリーマンにも襲い
    掛かってくるのだからねぇ」
ピー  「消費税の方がマシか?」
パパ 「民主党は、消費税は票が入らないから駄目だと勝手に思っちょる」
    「だから、国民の僅かな財産にも手をつけねばならなくなる」
    「権利意識の明確な国では暴動が起きるよ」
ピー  「自民党や他の野党は反対しないの?」
パパ 「反対するなら、税制改正大綱が出る前に、我々ならこうするという案
    を先に出して民主党を牽制しておかねば駄目だよ」
ピー  「野党も変だなぁ」
パパ 「さて、問題は後の話だ」
ピー  「おー、それそれ」
パパ 「民主党は、今回の税制改正を格差是正と雇用のためと言っている
    が、 人気取りの単なる方便に過ぎないのと、その政治的方向性に
    危険を感じる」
ピー  「方便ねぇ。増税根拠が不明なんだ」
パパ 「雇用は先程話したとおり、経済全体が良くならないと改善しない」
    「これをたった5%の法人税減税で行うとは、一体どういう計算なの
    かね」 「素人の思いつきだな」
ピー  「ほう、すると中国並みに25%まで下げないとあかんちゅーことだな」
パパ 「確かに鍵は、中国の低賃金労働の輸出なんだが、これに対抗する
    には 技術立国で行くしかない」
ピー  「スパコンが2位では駄目なんですか?なんちゅーことを言っている
    ようでは無理かな」
パパ 「経済が理解でけん議員は、即刻辞めてもらいたい」
    「それと格差是正だが、一生懸命働いて所得税を払っている人の金を
    分捕って是正に充てる方向は、国の社会主義化だねぇ」
    「これは、毛沢東がやった共産化政策に等しい」
ピー  「それは~、チト誇張意見じゃないの~」
パパ 「本来、消費税を格差是正や社会保障に当てるのが一番公平だし、
    税額面からも効果が期待できるよ」
ピー  「公平?」
パパ 「消費する人すべてが支払う税金だからさ」
ピー  「でも、税負担が重くなる人も出て来ない?」
パパ 「そういう人には、消費税を原資にして社会保障を手厚くすればいい」
    「それが先進国の社会保障政策だよ。北欧各国を見てみなはれ」
    「民主党のやり方では、日本の中流がいなくなる」
ピー  「中流? いなくなる?」
パパ 「日本の中流とは、大雑把に言えば大多数の国民だよ」
    「そういう人達が、国内の消費経済を牽引している」
    「その国民から所得税やら相続税とやらで、金を巻き上げると
    どうなるかだ」
ピー  「皆が貧乏になって消費が落ち込むということ?」
パパ 「そうだよん。財源の裏づけがない社会保障は安心できないから、
    どうしても消費を抑えて貯蓄に回す」「その証拠にバブル期は、
    所得が上がっていくからこそ、安心して消費ができたじゃないか~」
ピー  「消費者心理性向かぁ」
パパ 「企業もそれと同じで、先行き不透明だから内部留保に走る」
    「マクロ経済をしっかりやりなさいよと、いくら言っても駄目だねぇ、
    この内部分裂支離滅裂国民遊離我田引水政局政権は~」
    「民主党政策の行き着く先は、どうなると思う?」
ピー  「解らん」
パパ 「日本が中国化する」
ピー  「え~? 余計に解らん」
パパ 「中国が法人税を低く抑えているのは、輸出企業優遇の国策だ」
    「それで外貨を稼ぎ、更に海外の投資を引き寄せる」
ピー  「ほと、その分一般国民に税負担がのしかかるということか」
パパ 「中国の場合は、社会保障に金を回さないんだ」
    「相対的に重税になっているという訳さ」
ピー  「だから、金持ちと貧乏人しかいない国になるのか~」
パパ 「そう。民主党の税制改正大綱と同じだ」
    「国民の皆さんは、まだそのことに気付いていない」
ピー  「はは~ん、仙石イエスが中国びいきなのは、それでか~」
パパ 「そこが、この政権のミソだな」
    「但し、この政権は、自民党のようにそう単純ではない」
    「社会主義と国家資本主義的な側面を併せ持つ」
ピー  「ん??」
パパ 「中国を見習っちょるということさ」
    「中国は、国家資本主義で経済を躍進させ、且つそのために民衆を
    抑圧し、低賃金労働を強いている」
    「民主党の企業優遇策と国民増税は、中国の国家資本主義をお手本
    にしていると勘ぐれる」
ピー  「本当かな~」「もし自民党がこれをやったら?」
パパ 「単に一過性の資本主義経済のやり方だと理解し得る」
    「何故なら、党内に社会主義思想に傾注した人がいないからね」
ピー  「ほう、そう簡単に言い切れるかなぁ」
パパ 「これは、仙石イエスの戦略だなぁ」
    「イラ菅に、経済の行く末まで考える能力があるとは思えない」
ピー  「どうして仙石イエスなの?」
パパ 「それは、彼の経歴による要素からだね」「根本的に社会主義の
    呪縛から抜け出せていない。この世代は大なり小なりそうだ」
    「頭で考えた科学的社会主義に対する一種の憧れだな~」
ピー  「だから、中国を変な敬語で表現したり、日本を属国表現したり
    するのかぁ」「でも企業が強くなるのもいいじゃんか」
パパ 「何度も言うように、その穴埋めを国民に強いちょる」
    「それと、仙石イエスが自由を弾圧するような言動をしているのが
    気になる」「そこが問題なのさ」
ピー  「あ~、それも中国的だね」
パパ 「解ったかい?。これが、この政権の方向性なんだよん」
    「民主党政権が続く限り、日本の体制は中国のように社会主義化
    して行き、経済は国家資本主義化していく」
    「この国家資本主義は、やがて中国の確信的利益と全面対峙する
    こと になり兼ねない」
ピー  「うん? 民主党や仙石イエス達は、中国びいきじゃないの?」
パパ 「ふふ、そのことは、次回にでも中国を考察する中で話していこう」

2010年12月10日金曜日

ピートとパパの会話(その117 小沢が解る?(21))


  (Photo by Wikipedia)
ピー  「久しぶりに小沢どんの話かい」
パパ 「ま、小沢どんというより民主全体の話だ」
    「それに、福島おばはんも出てきたからね~」
ピー  「福島おばはんが出てきた?」
パパ 「イラ菅が、衆院で2/3以上の多数を取りたいために、
    福島おばはんを囲い込もうとしている」
ピー  「ほう、数の論理だ。これは、小沢どんの手法だね」
パパ 「そう、小沢どんのパクリだ」
ピー  「その目的は?」
パパ 「衆院での法案再可決を目指すんだ」「数合わせ
    だけで異質なものを囲い込むと、後々大変なこと
    になるよ」「イラ菅内閣は救い難い」
ピー  「ほと、普天間の二の舞だ」
パパ 「問題は、武器輸出三原則の見直しに、福島おばはんが
    徹底反対していることだね」
ピー  「理由は?」
パパ 「日本は、憲法九条の精神に基づいた平和国家を目指さ
    ないと駄目だという考え方だ。それで武器輸出も絶対
    あかんと唱える」
ピー  「平和国家になるならいいじゃんか」
パパ 「平和は、他国から侵略されないよう武力で維持する
    しかない」「その維持を同じ体制の国々が分担して
    行おうというのが、今回の武器輸出三原則見直しの
    趣旨じゃ」「これを単なる兵器ビジネスだと誤解して
    はならない」
ピー  「そういうことか。なら、反対することもなかろうに」
    「でも憲法九条の集団的自衛権の禁止に反するのでは?」
パパ 「集団的自衛権をどうするかは、中共やジョンイル王国の
    出方次第だね」「それによって議論されるべき問題だ」
ピー  「されない方を望むよ」
パパ 「それともうひとつ、福島おばはんはイデオロギー上、
    米国が嫌いなのじゃよ」「だから米国絡みの事には全て
    反対する」
ピー  「難儀な人やね~」「でも武器輸入はどうなの?」
パパ 「米国からの武器輸入にも反対の立場だ」
    「でも中共やロシアが紛争国に武器輸出をしていても、
    福島おばはんは黙っちょる」
ピー  「中共やロシアは善で、米国は悪という考え方かぁ」
    「少なくとも中立であるべきだね」
パパ 「まぁしかし、日本の武器輸入額は、この7年間で
    9200億円超に達しているからね~。支払いが大変だ」
ピー  「ほえ、年1300億円を超える武器輸入か~」
パパ 「因みに列強各国の武器輸出額は、米国3兆7800億円、
    ロシア3500億円だよ」
    「何れも2009年度統計だから、今後はもっと増えるかも」
ピー  「ふ~ん、大儲けじゃんか~」「そこへ中共も加わるのか」
パパ 「武器輸出は儲かるから、米国はあちこちで紛争を起こす
    ちゅーのが、社会主義国のプロパガンダだ」
ピー  「福島おばはんは、それを信じ込んでいるのかなぁ」
パパ 「高福祉国家のスウェーデンも、2008年度1270億円の武器
    輸出をしている」「ドイツは3300億円、イタリアは3700 億円
    の輸出を誇っている」
ピー  「ぇっえ~、日本とともに戦争に負けたドイツやイタリア
    も武器輸出をしているの~?」
パパ 「そうだよ。これをビジネスと見るか、政治絡みと 見るかだが~・・・」


    (自衛隊使用: スウェーデン製カールグスタフ84mm無反動砲)
             (Photo by Wikipedia)

ピー  「やはり武力でしか平和は守れないのか~」
パパ 「現実はそうだね」
ピー  「そうか、ジョンイル王国の砲撃も、日米韓三国で対応
    した結果、中共は慌てふためいたし、ジョンイル王国も
    やたらと武力挑発ができなくなったね」
パパ 「そう、平和維持には武力が必要なのさ」
    「今回の日米韓の軍事演習で、中共も当分尖閣に手が出せ
    なくなった」「ロシアもNATOがあるから、欧州周辺国に
    手が出せない」
ピー  「なるほど~。尖閣諸島の問題や北方領土も、異なる体制の
    国家との問題だね」
パパ 「中共やロシアとは、武力の裏づけがあってこそ、まともな
    交渉ができる」「一方米国とは、沖縄の基地問題にしろ、
    武力ではなく平和的に交渉ができる」
ピー  「米国とは、民主国家同士という訳か」
    「尖閣の問題は、どうすればいいの?」
パパ 「もう駄目だ。武力で維持して行くしか方法はない」
    「理由は、先般の問題を法律に従って処理しなかったからだ」
    「もしそうしていれば、世界が理解する」
ピー  「事の論拠が理路整然とするね」
パパ 「日本は、譲歩する余り、逆に中共の軍事的脅かしを誘発
    した」「日本は、武力でしか解決できない状況を自ら作り
    出してしまった」
ピー  「それが、パパの言っていた明治の大津事件を参考にせよと
    いうことだったのかぁ」
パパ 「大体中共を何故恐れるのかだが」「これは、満州を植民地
    化していた負い目があるからだと思う」
ピー  「だから、法律に則った処理が出来なかったのかぁ」
パパ 「民主は、外交交渉に馴れた人がいないから、どうしても
    そうなる」「ここに福島おばはんが加わればどうなるか、
    自ずと分かるというもの」
ピー  「それが、仙石イエスの ’日本の中共への属国化は今に
    始まったことではない’と言った言葉の真の意味か~」
パパ 「解ってくれはりましたか、ピート君」
    「数欲しさで福島おばはんに近付いてはいけないのじゃよ」
    「イデオロギーのために政治が混乱するだけだ」 
ピー  「政治も経済も日本国家を考えてのことじゃなく、何もかも
    が左を向いているんだね~、あの人は~」
パパ 「回れ~左だ」
    「米国が、またイライラし始めるよ」「これでもう米国は、
    民主を完全に見放すだろうねぇ」「自衛隊と共同訓練を
    するのも、米国の利益のみを考えてのことになる」
ピー  「小沢どんは動かないの?」
パパ 「政治とカネの問題で動けない」「彼が一番恐れるのは、
    イラ菅が小心になって解散してしまうことだ」
ピー  「はは~、折角集めた数が霧散してしまうんだな」
パパ 「その通り。今、選挙をやれば、民主は完全に敗北する」
    「その対応策で頭が一杯だと思うね」
ピー  「どういう対応をして行くの?」
パパ 「小沢どんが前面に出ることは、もはや無理だ」
    「院政しかないだろうね」「但し、仕掛けが必要だ」
ピー 「仕掛け?」
パパ 「小沢どん待望論を醸成していくのさ」
    「先ず第一に、来年の統一地方選へ向けての対策指揮を執る」
    「ここで選挙に強いカリスマ小沢を醸し出すんだ」
ピー  「持って来いの役割だね」
パパ 「そうやって、イラ菅が解散できないように党内を纏める」
    「盛んに小沢どんシンパを集めて会合を開いているのがそうだ」
ピー  「ははん、そうして評判の悪いイラ菅と仙石イエスを退陣さす
    のかぁ」
パパ 「イラ菅も仙石イエスも、選挙ノウハウでは小沢どんに
    適わないからね」「統一地方選は、絶好のチャンス到来だ」
ピー  「にゃーるほど、選挙技量で圧倒する訳だ」
パパ 「んだ、さすれば民主の数が、実質的に自分のものになる」
    「それにイラ菅と仙石イエスが、内政・外交で失敗するほど
    小沢どんの利になる」「選挙と失政の両面仕掛けだ」
ピー  「そうして二人を追込み、院政を敷いて行くのかぁ」
    「しっかし、同じ政党内でよくやるねぇ。国民主体でなく政党
    派閥主義だ」
パパ 「じゃが、そうさせないためにイラ菅と仙石イエスが国会招致
    で小沢どんを追込んでいる」
ピー  「そういう政争は止めて欲しいね」
パパ 「追込みすぎると、窮鼠ネコをかむで、党が分裂しちまうぞ」
ピー  「政治って、そんな簡単なものなの」
パパ 「民主は、元々異質な人々の集まりだからね」
ピー  「それにさ、イラ菅と仙石イエスの内政・外交は、何か変だね」
パパ 「経験ある自民党の内政・外交政策を引継がなかったからね~」
    「人脈も途絶えた」「だから両方ともギクシャクしている」
ピー  「国家としての理念を持たずに政権を担当したんだなぁ」
パパ 「そうだよん。理念がないから数に頼ろうとする」
    「国民を説得するだけの技量に欠けるんだ」
    「だから国民は、自民の方がマシだったとなる」
ピー  「うまく行かなくなったから、イラ菅政権も数の論理に頼る
    ようになったのかぁ」
パパ 「その点では、小沢どんと一致した」「小沢どんは解散させたく
    ないし、イラ菅と仙石イエスは権力を離したくない」
ピー  「そこで数なんだね」「だから子供手当を始め、財源の裏打ちも
    ないのにバラ撒き政策をするのか~」
パパ 「小沢どんは、ばら撒きが国民に不評なのをよく知っている」
    「だからマニフェストを持ち出し、イラ菅達を煽って追込んで
    行くのさ」
ピー  「追込み漁だね」「小沢どんは連立を組まないの?」
パパ 「その情勢にないね。政治とカネで小沢どんの立場が悪すぎる」
    「あるとすれば、イラ菅と仙石イエスの方だね」
    「その為には、小沢どんを切る必要がある」
ピー  「どうして?」
パパ 「民主と連立する側にして見れば、政治とカネの小沢どんがい
    たのでは国民へのイメージが悪い」
パパ 「ま、問題は来年4月の統一地方選だ」
ピー  「それに負ければ?」
パパ 「解散風が吹く。小沢どんは、その時までに院政の足元を固め
    ないといけない」「つまり、権力の座からイラ菅と仙石イエス
    を蹴落とす」
ピー  「もし小沢どんが連立するとして、その相手は?」
パパ 「小沢どんにとって、数さえ集まれば何処でもいい」
    「それが小沢どん流儀だ」「更に、連立相手の言い分を全て受け
    入れる」「後は民主を乗っ取ったようにやるだけさ」
ピー  「は~、自民党への先祖帰りも可能と言う訳かぁ」
パパ 「小沢どんは、イデオロギーや国家の理念とは無縁の人だから、
    如何様にも変身できる」
ピー  「ふぅ~、そこが小沢どんの強みか・・・」

2010年11月20日土曜日

ピートとパパの会話(その116 里山暮らしの憂鬱)


ピー  「最近、政治の話をしないね」
パパ 「馬鹿馬鹿しいからね~。ま、そのうちやるよん」
    「今日は、里山の話だ」
ピー  「お~、昔懐かしい里山物語か」
パパ 「それが、猿害の話なのじゃよ」
ピー  「猿害? 猿蟹合戦かい?」
パパ 「ちゃう、猿が山から下りてきて農作物を食い荒らす話だ」
    「定年退職して里山暮らしを夢見ている人は、再考した
    方がエエ」
ピー  「何のことかわーらんが、食い荒らしはかなわんなぁ」
パパ 「里山近くにある田畑は、猿害で今や壊滅状態だ」
    「皆さん猿の進入を電気柵で防御しているが、広大な面積の
    田畑や、逆に狭いところも収穫量対防御コストの関係で
    大変らしい」
ピー  「ほと、定年組の家庭菜園なんかも猿害に遭うんだね」
パパ 「そ、分け隔てなくね」
ピー  「ほう、それでパパは、里山暮らしに否定的なのか~」
パパ 「じゃけん、猿害で菜園を諦めた人も出てきた」
    「里山近辺での農的生活なんて、夢物語になりつつある」
    「家庭菜園や果樹を育てなければ問題ないと思うがね」
ピー  「折角夢を描いて里山暮らしを始めたのに、猿のために
    ワヤクチャなんやねぇ」
パパ 「葉物や根菜類、ジャガイモにサツマイモ、球根までも
    掘って食べ漁る。実に卑しい」「それも喰い散らかしだ」
ピー  「お行儀の悪いお隣の国のようだ」
パパ 「最近、ブルーベリーも目を付けられ、収穫量が随分と
    減った」「それも木に乗って食い漁るから、枝が折れ
    ちまうんだなぁ」
ピー  「すると、柿とかの果樹類も駄目だね」
パパ 「里山は諦めた方がエエ。住むなら猿が来ない町か、山
    から離れた平野部だね。そこでなら家庭菜園も楽しめる」
ピー  「追っ払う方法は無いの?」
パパ 「爆竹やパチンコで追っ払っても、また来るとか」
ピー  「猿が馴れるんだな~」
    「で~、今日の事態に至った原因は?」
パパ 「諸説あるんだが、よく解らないというのが実態だ」
    「自然破壊や木の実の減少だと言われているが、最も自然
    破壊が激しかった60~70年代でも、今日ほど猿害は酷く
    なかった」
ピー  「ほ~ん。木の実の減少は?」
パパ 「山の食糧事情が悪化する現象は、自然のサイクルとして
    過去にも繰返されているが、猿害に結び付くような問題も
    なかった」
ピー  「結局原因が不明なのかぁ」
パパ 「少し考察すると、先ず猿害が起こり始めたのが、約10年位
    前からだ」
ピー  「すると、それ以前の状況にまで遡って考えねば、今日に
    至った原因が解らないということかぁ」
パパ 「では、凶暴で有名な大津E群という猿の集団を見てみよう」
    「この集団には、平成9年まで地元の観光業者や社寺によって、
    餌付けが行われていた」
ピー  「またどうして餌付けなんか?」
パパ 「観光目的だ」
ピー  「それが猿害に?」
パパ 「当初猿は、観光客等が与える餌に集まっていたんだよ」
    「それがだ、観光客から餌を貰えないと、催促して悪さをする
    ようになった」「人間を怖がらなくなったんだよ」
ピー  「猿は厚かましいな! おいら達はお座りして待っているのに」
パパ 「更に、観光客を引っ掻いたりして被害が出るようになったの
    じゃよ。それと、地元の畑が荒らされるようになってきた」
ピー  「そらあかん」
パパ 「んで、餌やりは、もう止めようということになったんじゃ」
    「ほと、餌が貰えない大津E群は、地元の農作物を益々食い
    漁るようになった」
ピー  「ふ~ん、それが原因なの?」
パパ 「ま、主たる原因かも知れない」「それに、猿の方も餌付けで
    人間に馴れちまって、我々の領域を侵すようになってきた」
ピー  「おいら達も人間に馴れちまっているけど、それは共生だ」
パパ 「問題なのは、観光目的で自然の命を売り物にしたことだなぁ」
ピー  「猿は、おいら達のように飼い慣らしが出来ない?」
パパ 「ま~ね、猿回しぐらいのものだなぁ」
ピー  「常にリードで繋いじょるのは、逃げるからか」
パパ 「猿は、人間との共生能力が犬よりも遥かに劣る」
ピー  「もしかして猿害は、自然保護が影響しているとか?」
パパ 「そういう考えもあるが、日本の自然保護運動はそんなに
    規模も大きくないし、全国の猿の生態を変えるほど影響を
    及ぼしているとは考え難い」「やはり餌付けが原因だろうね」
ピー  「そういう因果関係か~」「ところで、鹿や猪はどうなのさ」
パパ 「こちらの被害も甚大だ」「鹿や猪が増えたのは、ハンターの
    減少だという人もいる」
ピー  「そういやー昔、食料確保としての狩猟があったね」
    「おいら達も猟に駆り出された」
パパ 「そうそう、元々犬は仕事を持っていたし、放し飼いだった」
    「それが何時しか可愛いというだけのキュートレスポンスに
    変わり、ペットとして飼われるようになったのじゃよ」
ピー  「キュートレスポンスね~。何か違和感があるなぁ」
パパ 「んでじゃ、途中から放し飼いは危険だということになって、
    犬達はリードに繋がれる事になった次第なんじゃが~・・」
ピー  「おいら達が放し飼いの頃は、里でも動物による食害が少な
    かったんじゃないかい?」
パパ 「んだ。ピート達が猿や鹿を追い回していたから、田畑への
    被害も少なかったし、動物も山から下りて来なかった」
    「それに、田畑で働く人の数も多かったし、迂闊に出てくると
    人間に食われちまうからね。今は、その心配が殆どない」
ピー  「その頃は、数の自然淘汰も働いていたのだろうね~」
パパ 「反面、猿や他の動物が、人間の田畑から食料を得ると、
    食物の量から言って、その数が無制限に増えてくる」
    「その原因を作ったのが、人間の餌付けじゃよ」
ピー  「ほほ、マルサスの人口論だ」「で、増えた分だけ駆除する
    必要が出てきたのか。なんだか動物に責任を押付けてる
    感じがするなぁ」
パパ 「餌付けは、これはもう重機を使わない自然破壊だねぇ」
    「人間世界と動物世界のバランスが狂っちまう」
ピー  「そして、追われた猿や動物は、別の田畑に被害をもたら
    すんだね」
パパ 「そうだよん、例えば人間の作る食料の甘味を知った猿は、
    何処へ行っても田畑の食料を食い尽くす」
    「ほんで、対策としてモンキードッグを育てよう、となる」
ピー  「ほっほう、ここからが、おいら達の出番だな」
パパ 「じゃが、ポイントは放し飼いにある」
    「ラブの24時間警備保障だ。耐えられるかい?」
ピー  「なるほど、おいら達が出動したときは逃げて、引揚げれ
    ば出てくる訳だ。だから24時間の放し飼いが必要なのか」
パパ 「毛沢東の言う、人民戦争の原理じゃよ」
ピー  「なんじゃそれは?」
パパ 「じゃけんね、どうしても里山で家庭菜園をするなら、田畑
    を柵で囲って、犬を放し飼いにしておくんだ」
ピー  「夜もかい?」
パパ 「そう夜も。いわゆる外飼いだ。日本古来の犬の飼い方だよ」
    「それも、日本の野生動物に適した昔の赤犬のような犬種
    がエエ」「よく吠えるように改良された犬種ね」
ピー  「番犬かぁ。キュートレスポンスは何処へ行ったんじゃ?」
パパ 「そんな感情は無い。田畑を守るのが、赤犬達の役目だ」
    「その代わり食料は保証される」
ピー  「外飼いなら、おいらは里山近辺に住みたくないね」
パパ 「大体ピート達の犬相は、日本の里山に似合わないよ」
    「ピート達は西洋の顔付きだし、洋風の牧場とかが似合う」
ピー  「似合う似合わないの問題かね~?」
パパ 「ほんで、里山暮らしの大変さが解ったかい?」
ピー  「いつもながら講釈が多い」

2010年10月22日金曜日

ピートとパパの会話(その115 jazzの歴史観)


ピー  「最近、あまり会話をしないねぇ」
パパ 「毎日が忙しいかんね」
ピー  「一体何をやっちょるのよん?」
パパ 「50年前の送信機をレストアしちょる。鉄の塊だ」
    「回路図も何も無いから、一から調査して回路図を作って
    いるんだ」「当時のノウハウが解って面白いよ」
ピー  「ふ~ん、おいらはフードに興味が沸くけどね~」
パパ 「ま、朝からは、政治・文化・芸術の情報収集をし、思惟を
    巡らし結論を導き出す。そして、ちょっと音楽を聴く」
ピー  「どうでもいいことに忙しそうだね~。何の社会的影響もない」
パパ 「社会に影響を及ぼす事柄は、同じ量だけ問題も引き起こす」
    「だから、趣味の世界でいいんだよん」
ピー  「同じ量だけ? 何やら質量保存の法則みたいだねぇ」
パパ 「いやいや~、量子力学の不確定性原理によると、チト違う」
ピー  「なんのこっちゃ。フードの質量の方は頼むからね」
パパ 「慣性質量の方か、重力質量の方か?」
ピー  「どっちゃでもエエ。とにかく量の多い方がエエんじゃ!」
    「毎日そんなことばかり言っていて、よく疲れないね」
パパ 「社会的影響が無いから疲れない」
ピー  「何か無駄な時間を消費しているように思えるけど」
パパ 「ほうよ、無駄であっても24時間では足らない」
    「これは酔狂というもの」
ピー  「最近、jazzも聴いていないようだねぇ?」
パパ 「時々聴いちょるが、前ほどに興味が沸かない」
ピー  「そらまたどうしてかの~?」
パパ 「jazzが面白いのは、黒人の公民権運動が収束する時代
    までだ」「これは、bebopが勃興し、cooljazzに至るまで
    の期間と符合する。それが解ったからさ」
ピー  「それ以降は?」
パパ 「単なる儲け主義のエンターテイメントと化す」
    「だから魅力が感じられない。それに、時代背景にも乏しい」
ピー  「時代が変わってからのものは、面白くない?」
    「そういうことが諸々、音楽の中に潜んでいる?」
パパ 「そうだよん。jazzの発展形であるフュージョンやワールド
    ミュージックなんつーのは、世界が均一化された現在、
    何処でどのように作曲されたって、皆同じに聴こえる」
ピー  「でもさ、演奏者によって表現が違うじゃん。そこは?」
パパ 「かつてのbebopは、黒人の社会的解放要求を体現していた」
    「だから、あのように激しい感情を剥き出しにしたjazzの
    演奏スタイルが出来上がったんだ」
    「チャーリー・パーカーやガレスビーの'koko'のようにね」
ピー  「公民権運動の源流だね。でも、そんなに激しいんじゃ、
    腹が減るぞえ~」
パパ 「そこには、時代が変化していく何かが感じられた」
    「個人の演奏者がどうとかではなく、時代なんだ」
ピー  「jazzの歴史観かぁ。何か感傷的だなぁ」
パパ 「その中にあって、個人の演奏スタイルがどうとかの話に
    なるのさ」
ピー  「難しいものじゃの~。おいらはどうでもエエが」
パパ 「当時の演奏者達を、世の中を変化させる群像として見れば、
    実に面白い」
ピー  「ほう、それなりのスタイルが、演奏にも現れるんだねぇ」
    「革命的表現か?」
パパ 「そうじゃよん。大衆音楽としての当時のjazzは、そういう
    社会的要求を凝縮したものだった。そこが魅力なんじゃよ」
ピー  「う~ん、今の演奏者には、そういう精神的抑圧感がないのか
    ねん?」
パパ 「今は、誰の演奏も優等生的で、技巧のみを追いかけちょーる」
    「これは、作曲者や演奏者が、音楽で表現すべき社会的背景を
    感じられなくなったからだろうなぁ」
ピー  「つまり、世界や世の中が均一化された結果だということ?」
パパ 「んだ、特に芸術を生み出している先進国ではね」
ピー  「そんなものかねぇ?」
パパ 「だから現代のjazzは、bebop発祥の頃のような感情表現に
    乏しい」「喧しさではなく、自由への願望表現だ」
ピー  「岡本太郎の言った’芸術は爆発だ’論だね」
パパ 「ほうよ!」
ピー  「抑圧社会の芸術家は、口では言えなくても、音楽の中でなら
    言える表現方法をとっていた?」
パパ 「そう、じゃから後進的な社会主義国や独裁国家では、芸術を
    抑圧する」「そうしなければ、芸術が大衆運動と化し、社会が
    変化しちまうのさ」
ピー  「脆弱な社会体制なんだね~」
パパ 「そういう背景が根底にあればこそ、芸術が光ってくるのさ」
ピー  「な~にか、資本主義社会のプロレタリア文学臭い気がする~」
パパ 「かつてのベートーヴェンも、音楽で体制批判をしちょった」
    「芸術に必要なもの。それは、自由の表現だ」
ピー  「ほっほう、だからパパは、米国の公民権運動以降のjazzが、
    面白くなくなったと感じるんだね」
パパ 「ある程度の自由が保障されたからね~」
    「jazzのそういうことが解ってしまえば、興味も薄れるというもの」
    「何回か聴けば、こういうものかと」
ピー  「芸術も政治に支配されているということか?」
パパ 「それにワシの場合は、オーディオ趣味からjazzを聴くように
    なったけん、オーディオが一段落つけばjazzもそうなる」
ピー  「オーディオは、一段落したん?」
パパ 「そう、何をどうやっても、2階の天井まで吹き抜けでないと
    音が篭ってしまうから諦めた」
ピー  「音が綺麗に聴こえない?」
パパ 「いや、正しく聴こえないんだ」
ピー  「そんなものかね~。文化的過敏症ちゃう?」
パパ 「普通の部屋で装置を換えても、僅かな差しか感じない」
ピー  「その僅かの差が趣味なんだろう?」
パパ 「けど、吹き抜けの部屋で音楽を聴くと、文化が違うほどの
    衝撃を受けるよ」
ピー  「吹き抜けでないと、何をしても大差ないということか」
パパ 「そう、家を建て直す必要がある」
    「ま、家ではBGM的に音楽が聴ければいいということさ」
ピー  「おいらは、秋の虫が奏でる自然な音色の方が好きだな」 

2010年9月30日木曜日

ピートとパパの会話(その114  本質的国家観?)


           (前近代的な隣国?)
ピー  「尖閣諸島の件で、中共が何やら喧しいね」
パパ 「国際法も何もかも無視だね」「民間会社の社員を人質に取るし、
    もう無茶苦茶だ」
ピー  「世界は人質と見ているね。日本も弱腰のようだけど」
パパ 「日本は、外交の後ろ盾となる軍隊も核も無いからね」
ピー  「そんなものが必要なの?」
パパ 「そうだ。世界の外交を見れば分かる」「外交で要求を通して
    いるのは、 強力な軍隊を持ち、核武装をしている国だ」
ピー  「福島おばさんが何を言おうが、それが世界の実態なのかぁ」
パパ 「福島おばはんが、日本の法律を無視し、人質を取った中共を
    批判 しないのも不自然だ」「以前、福島おばさんと呼び変えたが、
    今回の件で再び福島おばはんと呼ぶことにしよう」
ピー  「マスコミは、検察がどうとか言っているけど?」
パパ 「検察は、政府の圧力に負けたのさ」「自ら司法の独立性を放棄
    したと 言える」「これは、明治の大津事件を参考に考えればよく
    分かる」
ピー  「パパが’その79’で話していたことだね」
パパ 「今回の件で日本は、いち早く世界を見方に付ける外交行動をとる
    べきだった」「経験不足のイラ管と仙谷イエスでは無理だが・・・」
    「何れにしろ中共という国は、法治国家ではないと世界に知らしめた
    事件だ」
ピー  「人質を取る、貿易を停止する、政府及び民間交流を停止する。
    だね」 「先進国では考えられないね」
パパ 「中でも人質を取ったのは、ジョンイル王国と本質が同じだという
    ことだ」 「だから、ジョンイル王国という世界最低の国家を擁護する
    のさ」
ピー  「ほう、そういう見方ができるのか」「確かに人質外交をする国は、
    社会 主義国と変な独裁国家だけだね」
パパ 「今回の一件は、中共にとって近年にないマイナスだ」
    「世界が、国際ルールを無視する中共を非民主国家だと改めて
    認識した」
ピー  「中共と距離を置き始める?」
パパ 「そうだ、特に東南アジア諸国はね」「同じ社会主義国のベトナム
    でさえ、 中共とは仲が悪い」「ま、そういう事を無視して中共に
    近付くのは、 先進国では経済利益目当てのおフランスぐらいだ
    ろうけど」
ピー  「どうして中共は、そんなに問題を起こすのかな~」
パパ 「それは、一党独裁で民主主義が機能しないからさ」
    「当然、三権分立や司法の独立も無い」「あるのは過激な権力闘争
    のみだ」
ピー  「過激な権力闘争?」
パパ 「元々社会主義国は、武力によって権力を奪取してきた。その名残
    だねぇ」 「権力中枢に、その手の過激な保守派が一杯いるんだ」
    「弱腰外交 だと、 そういう人々に権力を奪われ、自身の命も危うい」
    「大抵の社会主義国の状況がそうだ」
ピー  「ほんとうかな~」
パパ 「経済崩壊したトロイカ国では、今でも政敵の暗殺が行われている
    し、 中共でも紅衛兵や紅青の四人組とかあったじゃない。現在も
    その権力 闘争のやり方を引き継いでいると見た方がエエ」
ピー  「だから、何がなんでも強腰に出なくちゃならないのかぁ」
パパ 「社会主義国の宿命だな。世界と平和的に付き合えないんだ」
    「ロシアだって、頑固な保守派がいるから北方領土を返還できない」
ピー  「だけど中共は、今回の件に関して少し軟化してきたのでは?」
パパ 「甘く見るのは危険だ。それは、世界が中共の拡張主義に危険を
    感じ始めたからさ。今回の日本を通して実体験的にね」
ピー  「だからマズイと思って軟化してきたのかぁ」
パパ 「それに、米国が尖閣諸島も安保条約の範囲だと言ったからね」
    「つまり、中共は米国の圧力によって譲歩したんだ」
ピー  「な~るほど、力の外交だね~。日本だけでは解決できないんだ」
パパ 「ここに、米国の軍隊と核に頼らざるを得ない現実があるのだよん」
ピー  「でもさ、鳩やんが’私なら中共の要人と談判できる’と言ったよ~」
パパ 「中共の本質を知らないからさ」「伝書鳩は世の中の迷惑だ。日本が
    アホ扱いされる」
ピー  「さて、これからどうするのさ」
パパ 「人質の件は、世界が見ているから何れ解放しなければならない」
    「時間が掛かるのは、国内保守派との駆け引きのためだよ」
ピー  「3人解放で、残る一人はどうなるんだろう?」「4人同時解放だと、
    記者会見で中共批判を始めるから、との見方もあるよ」
パパ 「その見方は間違いだ。批判は全てが終ってからでも可能だ」
    「一人残したのは、日本の出方を見極めるためさ」
    「それに、4人とも中共に経済権益がある民間会社の社員だ。中共を
    批判するようなことはしないし、政府も止める」
ピー  「つまり、領土問題に対する人質か?」
    「だとすれば、人質として拘束するだけ中共が不利になるねぇ」
パパ 「ま、経済もこれ以上停滞させれば、その分中共に跳ね返ってくるよ」
ピー  「その跳ね返りとは?」
パパ 「投資するならインドやベトナムの方が安全だということになる」
ピー  「おいらもそう思うね」
パパ 「それに、日本への原料輸出を止めることは、中共の経済にも影響が
    出てくる。日本からの製品輸入が出来ないということだよん」
    「何なら対抗措置として、日本からの技術輸出を止めればいい」
ピー  「なるほど~、経済は世界と密接に連関し合っているのかぁ~」
パパ 「日本がWTOに提訴すれば、中共は致命的なダメージを受けるよ」
    「何時までも横暴極まる領土拡張主義では、世界から孤立するだけ
    だと悟るべきだよ。今回の事件は、それを物語っている」
ピー  「現実に、中共依存の経済リスクを回避する動きが出てきたね~」
パパ 「これは、日本だけの動きに留まらないよ。結局、中共が損をする
    ことになる」
ピー  「経済大国を目指すなら、それに相応しい政治体制が必要だという
    訳か」「経済界は、どう思っているんだろう?」
パパ 「尖閣より経済が大事だと思っているね」「本田宗一郎の’国よりも
    自分の会社が大事だ’と言った言葉が、それを物語っている」
ピー  「ヘ~ん?」
パパ 「しかし有事の際、米国があてになるかどうかだ」
    「ベトナムやイラクに派兵した韓国と異なり、何もしない日本に対して
    米国人が血を流すかねぇ」
ピー  「韓国が、ジョンイル王国から魚雷攻撃を受けた際、米国は航空母艦
    を 出してきたね」
パパ 「米国の権益が侵されない限り、領土問題で米国は動かないと見て
    いい」
ピー  「う~ん、やはり相手基地をも攻撃可能な強力な軍隊が必要なの
    かなぁ」
パパ 「悲しいかな、それが現実だわな」「幕末に、坂本龍馬が外国の侵略
    から 日本を守ろうとしたのも、その方法だ」
ピー  「世界はちっとも変わっとらんちゅーことか」

2010年9月28日火曜日

ピートとパパの会話(その113 秋への移ろい)



パパ 「キンチョーの夏が過ぎさ去り、急に芸術の秋になり
    よったばい」
ピー  「途中に季節の移ろいがないよね」
パパ 「最近の季節感は、時勢を繁栄しちょっとばいね」
    「ばってん寒暖計の表示も、暑い・普通・寒いで事足りる」
ピー  「季節も何やらディジタル的になってきたんだ」
パパ 「今年の夏は、たくさん蚊に刺された」
ピー  「蚊に刺される・咬まれる・喰われる。いろいろあるね」
パパ 「蚊に咬まれると歯の跡がつく。喰われるとどうなるか?」
ピー  「はて?」
パパ 「腹が立つから、せめて季節感を感じる音楽でも聴こう」
ピー  「パパのことだからぁ~、Autumn Leavesだな」
パパ 「そうじゃ、この曲はJAZZにアレンジされたものが多い」
    「でもなぁ、秋にJAZZではチト雰囲気が出ない・・・」
ピー  「ん? どうして」
パパ 「コード進行によるリズム感が先行するんだな~」
    「だから、やっぱり喧しいし~」
ピー  「リズム中心では、冬に向かって静かに移ろいでいく秋の
    季節感を醸し出せないんだね~」
パパ 「やはりJAZZは、黒人の開放感を体現するんだ」 
    「では最初に耳慣らしをしよう。先ずこれからね」
    「サービスよろしくスコアが映るよん」
http://www.youtube.com/watch?v=HoDJl3vcpgo&feature=related



    「次はエディ・ヒギンズ・トリオの枯葉。展開部でプレイ・
    バッハ風になるというか、何かのエチュードみたいだ」
http://www.youtube.com/watch?v=Le9Ts7JZx5I

ピー  「パパの言う展開部とは、アドリブの部分だね」
パパ 「JAZZがもっともJAZZらしさを表現できる部分だよん」
ピー  「で、プレイ・バッハって?」
パパ 「ジャック・ルーシェという人が、バッハをJAZZ風に弾くんだ」
    「シンバルを強調してシャーンシャーンとやるのが特徴だ。
    それに よって音に清涼感を出している」
    「ちょっと聴いてみよう。G線上のアリアだよ」
http://www.youtube.com/watch?v=1h6zpPagumM

    「んじゃ、キース・ジャレットの枯葉といこう。季節感無し」
    「JAZZは、ビー・バップになってからスウィング感が下に
    潜ったというか~・・・・・勢いだけが強くなった」 
http://www.youtube.com/watch?v=io1o1Hwpo8Y

    「次はヒロポン中毒のビル・エバンスの枯葉だ」
http://www.youtube.com/watch?v=mRhVI7cpcS4&feature=related

    「ここでナット・キング・コールを聴いてみよう」
http://www.youtube.com/watch?v=9IDUxk9sSXI&feature=related

ピー  「少し秋の雰囲気が出てきたねぇ」
パパ 「んじゃ、Cool Jazzの大御所、マイルスの枯葉を聴こう」
http://www.youtube.com/watch?v=PPHtQn1t1n4&feature=related

ピー  「都会のセンスが窺えるね~。パパがJazz編その3その4
    で言っていたことだな~」
パパ 「枯葉は、1946年のフランス映画’夜の門’でイヴ・モンタン
    が歌い、シャンソン歌手ジュリエット・グレゴによって 世界に広めら
    れたんだ。では二人の歌を聴こう」 
イヴ・モンタン
http://www.youtube.com/watch?v=6r3JM2JZK84&feature=related
ジュリエット・グレゴ
http://www.youtube.com/watch?v=NPvvMabnWxo

ピー  「ほう、フランス語ならではの雰囲気だねぇ。モンマルトルの
    秋だ」「これは愛の追想のようだから、晩秋に聴く曲だねぇ」
パパ 「解ってくれはりましたか。英語じゃ~シャンソンの情緒を
    出し難いのさ」「では、物静かにシャンソンを一曲」
http://www.youtube.com/watch?v=fNBO0pYyKKI&feature=related

ピー  「おお、フランス語とシャンソンとアコーディオンかぁ」
パパ 「が、英語でないとアカン曲もある。それをフランス語で
    歌うとこうなる・・・これじゃ↓」
http://www.youtube.com/watch?v=NBk7dv_OuSU

ピー  「有名なWhat'D I Sayだね。発音が字余りになってる」
パパ 「そう、こういうロック調なのは、おフランス語では無理
    だね~。何やらもたついちょる」
ピー  「はは、面白いことを見つけるんだな~」
パパ 「言語と歌唱の関係は面白いじゃろう」
    「お次は洗練されたケニー・ドリューの枯葉だよん」
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&v=FWWN6_y1wok

ピー  「ヨーロッパ的でアメリカのような泥臭さがないね」
パパ 「ケニー・ドリューは黒人じゃが、ヨーロッパに渡って
    感性が洗練された反面、泥臭いリズム感が乏しくなった」
    「次は、最もJAZZ的で泥臭い枯葉。」
http://www.youtube.com/watch?v=-YVILPFZ0eU&feature=related

ピー  「枯葉がアメリカへ渡ると季節感が無くなるんだね~」
パパ 「これは、ブンチャブンチャとリズムを刻む小太鼓屋のおっさんが
    問題なのさ」 「太鼓とシンバルじゃ~、枯葉の持つ感傷的な
    芸術表現 ができない」
ピー  「小太鼓屋って、ドラムのことだろう?」 
パパ 「じゃが、弦楽器を入れると少しニュアンスが違ってくる」
http://www.youtube.com/watch?v=45ZqPzY70X0

ピー  「ヴァイオリンに哀愁が漂っているね~。ジプシー風だ」
パパ 「ほんじゃ最後にバロックとロマン派を聴いて、本日の秋を
    終わろう。特にロマン派は、JAZZとは感情表現がまるで
    異なる。非常に流麗で情緒的な感性を感じるね~」
    「反面バロックは、形式的な表現を重んじているのが分かる」

ヴィヴァルディ 四季/秋
http://www.youtube.com/watch?v=PCwIZUQzO64&feature=related

リスト 愛の夢第3番
http://www.youtube.com/watch?v=7OfHoXJh9wg&feature=related

2010年9月14日火曜日

ピートとパパの会話(その112 小沢が解る?⑳)


(鳩やんの応援にも関わらず、ジャンプに失敗した小沢どん。 スキーに
へばり付いているのはチルドレン達)

パパ 「イラ菅の仮免政権続投が決まったよん」
ピー  「小沢どんは、選挙に強いんじゃなかったの?」
パパ 「フフフ、お金を使えない選挙には弱いんじゃよ」
ピー  「お~、そういうことか。確かにお金で買収できる選挙
    じゃなかったもんねぇ」
    「またしても小沢どんは、権力奪取に失敗したんだ」
パパ 「今回の政局で一番貧乏くじを引いたのが、鳩やんだ」
    「あの伝書鳩の言うことには、もう誰も反応しなくなるぞ」
ピー  「ほん? 貧乏くじは、小沢どんじゃないの?」
パパ 「小沢どんもそうだが、鳩やんの前後左右支離滅裂な言動
    では、もう誰からも相手にされない」
ピー  「政治屋としては致命傷だね」「6月に言ったとおり、引退
    しなくちゃね」
    「さあ、党人事はどうなるんだろ?」
パパ 「小沢どんが党首選を仕掛けなきゃ、政治の混乱は無かった」
    「それに勝ったんだから、人事も現在のまま続投すればエエ
    んじゃないのかな~。なんの遠慮もいらない」
ピー  「でもさ、小沢どんもかなりの票数を集めたんだよ」
パパ 「実は、イラ菅は人がいいから、その点が心配なんだ」
    「手を緩めることなく、小沢どんを政治と金の問題で追い込ん
    でいかなくては」「それが大多数の国民の意思でもあるし、
    民主の自浄でもある」
ピー  「ノーサイドで挙党体制を組むんじゃないの?」
パパ 「挙党体制? 元々ひとつの政党なんだよん。基本的に挙党
    体制の筈だよ」「イラ菅政権に協力することなく、党を二分
    してまで挙党体制を潰しに掛かったのは、小沢どんと鳩やん
    じゃないか~」
    「今後も、このような人々と挙党体制が組めるのか知らん?」
ピー  「でもさ、法案とかいろいろあって協力のお願いも必要では?」
パパ 「そこが可笑しいのじゃよ。協力をお願いしたいから、人事面で
    優遇するの? 玉の輿幹事長とか~? みすぼらしい」
    「それこそ小沢どんの思う壺だ」「党首選に勝った意味がない」
ピー  「そうかな~?」
パパ 「小沢どんに近い人を幹事長に持ってくれば、大多数の国民から
    見放される。それで民主全体がお仕舞いだ」
ピー  「難しいのう。マキャベリの権謀術数だ」
パパ 「それに、小沢どんは一兵卒になって協力すると、自ら言った
    じゃないか」「嫌になれば、自分から党を出て行くよ」
ピー  「鳩やんは?」
パパ 「この人もいらん! 混乱の元凶だ」
ピー  「えらい言われ方だねぇ」
パパ 「今回の党首選で、汚い政治は国民に支持されないということが、
    一年生議員にもよく理解できた筈だ」
ピー  「そうだね。でも女三四郎も理解したかな~?」
パパ 「この人には、社会科の試験を受けて貰わねば」
    「普通の世の中のことが、な~んも解っちょらん」
ピー  「なんじゃそれは?」
パパ 「で、ここで間髪をいれずに、直ちにチルドレンの取り込み
    を実行することだ」「そうして党内の支持を増やしていき、
    小沢どんの勢力を切り崩していくという寸法だ」
ピー  「う~ん、チルドレンは身の振り方を考えるだろうねぇ」
    「次回選挙も心配だし」
パパ 「問題山積、解決能力に乏しいイラ菅政権でも、クリーンという
    イメージで政治を行えば、国民も何とか支持するということが、
    今回の選挙でチルドレンにも解った筈だ」
ピー  「まるでOJTみたいだね」
パパ 「これからイラ菅がやらねばならないことは、一日も早く経済を
    浮揚さすことだね」「マクロ経済政策の真価が問われる」
    「イラ菅のアキレス腱は、このマクロ経済政策なんだから」
ピー  「しかし、小沢どんの取巻きからの嫌がらせが心配だ。野党もね」
パパ 「クリーン政治を行うことに反対なら、党を出て行ってもらうか、
    衆参同時解散を行って、国民に真を問えばいい」「必ず勝利で
    きるよ」
ピー  「解散かぁ、また政治の混乱だ」
パパ 「それと、政策集団を自負する他党議員と手を結ぶことだね」
    「そうやって味方を増やしていくのさ」
ピー  「アジェンダ渡辺とか?」
パパ 「彼は日和見臭いな~。ま、あん人とは何らかの妥協も必要だね」
    「自民の幹事長に就任した石原Jrも面白そうだ」
ピー  「パパは、イラ菅びいき?」
パパ 「ちゃう、小沢どんとイラ菅では、どちらが民主的かという論理
    だけだ。もっといい政党があれば、そちらを応援するね」
ピー  「小沢どんが言っていた政治主導は?」
パパ 「小沢どんの政治主導は、自分に金と権力を集中さすため、官僚
    機構が持っている民主的機能を排除することにすぎない」
    「そこを理解しないと、小沢どんは解らない」
ピー  「ふ~ん、内閣法制局の国会答弁禁止とかだね」
パパ 「政治主導とは、官僚に方針を示すことだ」「それをどうやって
    達成するかを官僚に委ねればいい。彼らはプロ集団なんだから」
ピー  「さて、日本はどうなるのか・・・。とにかくご飯にしよう」

2010年9月13日月曜日

ピートとパパの会話(その111 小沢が解る?⑲)


(この程度の国民には、この程度の政治でいい? とは誰が言ったか?)

ピー  「最近、世の中が騒がしくない?」
パパ 「イラ菅と小沢どんだろ。暑いのに二人とも大変だね~」
ピー  「一体全体どないなっとるんよ?」
パパ 「小沢どんが、イラ菅に権力を'ヨコセ'と言ったんだが断られた」
    「それが事の発端だ」
ピー  「なんだ、単なる権力争いじゃんか~」
パパ 「そうだよ~ん。二人がやっちょる基本的な政策論争なんて言う
    のは、党内で話し合う事柄じゃよ」
    「それに、政策が実情に合わないなら、国民に説明して修正変更
    する柔軟性も必要だ。国家財政の問題とかね」
ピー  「ほと、党内で結論を出して、それを国会で与野党が協議するん
    だね」
パパ 「常識ではね。じゃが、それを出汁にして、党内を二分してまで
    権力闘争をやっちょる。仕掛けたのは、小沢どんだ」
ピー  「よっぽど権力が欲しいんだな~」
    「あからさまに出てきたもんねぇ」
パパ 「しかも、鳩やんが混乱の元を作ったんだから~」
    「鳩やんが、小沢どんの支持表明をしなければ、よちよち歩き
    でもイラ菅政権が継続し、国会で与野党の議論が進んだの
    じゃが~。ったく」「この鳩は、国民と世界の迷惑だよ~」
ピー  「論争を聞いていると、イラ菅与党と小沢どん野党の対決だね」
    「で、どうなん?」
パパ 「イラ菅は、内政・外交・経済に不慣れだ。仮免だな」
    「小沢どんの方は、正にバラ撒きで権力を手に入れようとして
    いるだけだ。その先を全く言わない、というか考えも無い」
ピー  「ほんとう?」
パパ 「小沢どんにあるのは、バラ撒きで数を集めることだけだね」
    「彼の政策は、数集めの政策に過ぎない。だから財政を無視する
    のさ」「結論的には、権力欲だけの世界にいる」
ピー  「でも、小沢どんは、国民の生活のためにって言ってるよ」
パパ 「はは、それは全くの詭弁だ。全ては自分のためだねぇ」
    「小沢どんは、鳩やんと一緒に国政を無茶苦茶にして表舞台
    から引っ込んだじゃないか」「どう考えても’バラ撒き政策’と
    ’政治と金’では上手くいく筈ないじゃんか」
ピー  「そういうことか」
パパ 「それと、何故3ヶ月足らずで党首選に立候補したかだ」
    「これは、参院選の結果をうま~く今回に結び付けたんだな~」
ピー  「ほほう」
    「参院選前から狙っていたんだな~、小沢どんは~」 
パパ 「これは、小沢どんが自ら作り出した千載一遇の好機なんだ」
ピー  「流石だな~。イラ菅にはできないことだ」
パパ 「だから~、小沢どんと鳩やんの失政を、参院選の結果責任に
    せよ、と言っていたのにぃ。イラ菅は人が良すぎる」
ピー  「結局、小沢どんのバラ撒きは、票集めのためだけか。国家観
    を感じないね」
    「ほと、バラ撒きちゅーのは、俗っぽく言えば贈収賄の世界?」
パパ 「ま、小沢どんがやっちょることは、民主主義の制度が確立
    されていない後進国のやり方・・・と思えないこともない?」
ピー  「利益誘導型だね。日本の古い政治体質だ」
パパ 「それは、小沢どんが幹事長をしていた頃のやり方を見れば、
    誰でも分かることなんだがなぁ・・・。」
ピー  「金と権力の集中?」
    「でもさ、小沢どん支持者も沢山いるじゃない」
パパ 「魚心あれば水心、そういう人達が彼を取巻いているのさ」
ピー  「う~ん、もし小沢どんが党首になれば、次の選挙で大敗しない
    ように、財政無視で更なるバラ撒きをしそうだな~」
パパ 「むか~し、この程度の国民には、この程度の政治でいいと
    言った政治屋がいたなぁ。ほほ」
ピー  「民主以外に、しっかり国政を担当できる政党はないのかなぁ」
パパ 「次の選挙に期待しよう」
    「さて、民主の議員達は、党名が示すとおり、民主的な党首を
    選ぶことができるのかな?・・・ふふふ」

2010年9月5日日曜日

ピートとパパの会話(その110 小沢が解る?⑱)



ピー  「最近、政治の話をしないね」
パパ 「余りに馬鹿馬鹿しいからさ」
ピー  「そうかな~? パパは今の政局をどう見ているの?」
パパ 「そうね~、鳩やんが一番悪い!」
ピー  「ん?、どうしてさ?」
パパ 「あの伝書鳩はんが、訳のわからん小沢どん支持を
    言い出したから、今の見苦しい政局になった」
    「小沢どんは、鳩やんに支持を表明させ、イラ菅に人事面
    での譲歩を迫ったんだろうが・・・」
ピー  「それが失敗したから立候補せざるを得なくなった?」
パパ 「そう、小沢どんは失敗したんだ」 
ピー  「立候補しなければどうなったの?」
パパ 「イラ菅政権は持続するし、当然党を割って出るしかない」
ピー  「またしても新党結成だねぇ」「残された民主はどうなる
    んだろ?」
パパ 「世論の支持がある限り大丈夫だ」「離党した小沢どんや
    野党がごちゃごちゃ言い出せば、解散総選挙に打って
    出ればエエだけだよ」
ピー  「小泉やんの郵政選挙のようにだね」「勝算はあるの?」
パパ 「当然選挙に勝てる。小沢どんが居ない民主だからね」
    「今回の党首選でも、そこを突けばいいんだよん」
    「小沢どんに、党首選に出るなら解散すると、一発カマ
    せば民主から出て行ったろうに・・・」 
ピー  「でも、それが言えないイラ菅は、勝負師じゃないんだ」
    「むしろ弱気なんじゃない?」
パパ 「とにかく沖縄といい、内政・外交といい、鳩やんの意味
    不明な言動で日本を無茶苦茶にしちまった。それと小沢
    どんの政治と金」
ピー  「んだんだ」
パパ 「それが原因で参院選に負けたと、小沢どんと鳩やんに突っ
    込めばいいんだけどね~」
ピー  「政治主導はどうなの? 小沢どんがしきりにガナっている」
パパ 「はは、政治主導を失敗したのは小沢どんだ」「それを厚か
    ましくも、イラ菅のせいにしちょるんだ」
    「例えば、狂牛病の対策が後手に回ったのは、政治主導の
    失敗だ」「因みに当時大臣だった赤松っちは、小沢どん派
    だよん」
ピー  「でもさ、小沢どんは政府にノータッチだったと言ってる」
パパ 「フフ、鳩やんのオペレーション=小沢どんのオペレーショ
    ンだってことを、よもや忘れちゃ~いないだろうね~」
ピー  「お~、そういうことか」「で、今後の政局の推移は?」
パパ 「イラ菅陣営は、ワシが言っていた’107, 108'を実行しなけ
    れば勝てないなぁ」
ピー  「小沢どんは、社会保障を前面に出してきているよん」
パパ 「対抗して、それに乗っちゃ駄目だね」「相手はばら撒きの
    プロだ。財源が無くても、如何にもあるように説明する」
    「イラ菅は正直だから、それが言えない」
ピー  「う~ん、そういうハッタリをカマせられないのが、イラ菅
    の弱みだねぇ」「誠実な市民運動家の宿命かなぁ」
パパ 「とにかくクリーン政治を前面に押出し、徹底的に小沢どん
    の政治と金を攻め立てることだね」
ピー  「それが効果的?」
パパ 「目的は、新人議員に何が正義かを教え、それが次回選挙の
    当落に繋がると啓蒙すること。及び世論を見方につけるこ
    とだね」「そうして票を集める」
ピー  「そんなに上手くいくかなぁ」
パパ 「個別の政策論争に巻き込まれたら駄目だね~」「バラ撒き
    に負けちゃうよ」
ピー  「だけどぉ、実際はもっと泥臭いんじゃないかな~」
    「どぶ板とか実弾とか毒饅頭とか身辺調査だとかさ」
パパ 「政治だから、そういうことも有り得るね」
ピー  「小沢どんが勝てばどうなるの?」
パパ 「イラ菅グループを徹底的に排除するだろうね」
    「ノーサイドというのは嘘だ」「現にイラ菅も、政権から
    小沢どんグループを排除してるじゃんか」
ピー  「して、小沢どんの方法は?」
パパ 「金と人事で締め上げる。それで次回選挙に勝てなくする」
    「他党の政策グループと連立を組み、多数でもってイラ菅達
    の意見を排除し、党からの追い出しを仕掛ける」
    「法律を自分に都合よく修正する。等々」
ピー  「イラ菅が勝てば?」
パパ 「何の実権も無くなった小沢どんは、新党を結成し、他党の
    政策グループと連立を組むというか、寄せ集めを図って
    出直す」「但し、お金の目処がつけばだ」
ピー  「その時、鳩やんは?」
パパ 「小沢どんが強引に引っ張る。鳩やんのお金と数が目的さ」
ピー  「ほ~ん、結局、小沢どんの目的は権力か~。だから数が
    必要なんだね。政策の実効性も不鮮明だし」
パパ 「小沢どんが実権を握ると、非民主的国家になっていく」
    「今までに小沢どんがやったこと。内閣法制局の国会答弁
    禁止、議員立法の阻止、指揮権発動の脅し、検察審査会の
    制度批判」「何れも小沢どんに都合が悪いことばかりだ」
ピー  「ふ~む、パパが’78' で言っていたことだね~」
    「それと、小沢どんへのお金・権力・人事権の集中だね」
パパ 「今回の党首選の本質は、民主的な党首を選ぶか否かと
    いうことにある」「当初のマニフェストをどうするかは、
    民意を踏まえて国会で討議すべき事項だよ」
ピー  「だから国会での与野党のように、党首選で政策論争を
    するのはおかしいという訳だね~」
パパ 「小沢どんは、民主主義を前面に出すと勝てないから、
    バラ撒きで勝負をしようとしているのさ」
ピー  「小沢どんが勝てば独裁になる?」
パパ 「そう、そして、その先にあるものが国民には分からない」
    「このような人に、日本の国政を任せていいのか知らん?」
ピー  「でもさ、小沢どんは豪腕だというじゃない」
パパ 「ほほほ、本当に豪腕なら、自民党から出て行かないし、
    とっくに政権を担当して首相になっているよ」
    「リーダーじゃなく、単にボスとして振舞っているだけさ」

2010年8月2日月曜日

ピートとパパの会話(その109 真夏の夜のJazz)


パパ 「今年は猛暑だねぇ」
ピー  「おいらの毛もやたら抜けるよ」
パパ 「自然順応しておるな」「それにしても、台風も熱低も発生
    していないから気持ちが悪いなぁ」
ピー  「熱帯地方の海水温度が低いのか知らん」
    「ところで、最近は音楽の話をしないねぇ」
パパ 「暑いから聴く気がしないのよん」「オール真空管のアンプ
    じゃけん、熱くていけん」「500W以上の電熱を点けている
    ようなものだ」
ピー  「真夏に暖房じゃん」
パパ 「ま、聴くならマイルスだな。それもミュート・トランペット
    を効かした1964年録音の 'ALL OF YOU' ね」
ピー  「ジャズってのは、何年盤とかよく言うね」
パパ 「ジャズの場合は、その都度メンバーや会場の雰囲気が違うから
    ねぇ」「それによって、アドリブの内容も異なってくるのさ」
    「ま、クラシックも似たようなものじゃが」
ピー  「ジャズでよく言うインプロヴィゼーションって、何?」
パパ 「即興で作曲、編曲、演奏をすることだよん」
ピー  「なんだ、即興のことか。アドリブと同じようなものだね」
パパ 「んだ、横文字で表現すると、如何にも〇〇らしく聞こえるのさ」
    「政治屋がよく言うマニフェストとかアジェンダとかも、その類 だ」
    「日本の政治屋なら日本語で表現しないとね」
ピー  「そうだねぇ、日本人には日本語の方がよく分かるのにね」
    「万人に理解してもらう政治をするなら、日本語で言わなきゃ」
パパ 「そう、ABCなんて言われても分からないお年寄りが一杯いるん
    だから」
ピー  「で、マイルスはどうなったの?」
パパ 「おっと、では聴いてみよう」

   http://www.youtube.com/watch?v=i91-npsySkc

パパ 「少しは涼しくなったかい?」
ピー  「べつに。でもミュート・トランペットはよかった」
パパ 「真夏の夜のジャズは、マイルスのミュート・トランペットが涼しくて
    よか」「なんたって、Cool Jazzの創始者だからねぇ」
ピー  「だから涼しい?」

2010年7月15日木曜日

ピートとパパの会話(その108 小沢が解る?⑰)


パパ 「何か忘れちゃーいませんか? 元駒場の仙石イエスさん」
    「あの時を思い出し、イラ菅を助けるべきでは?」

ピー  「ふ~、何かイラ菅が変だよん?」
    「イラ菅が、小沢どんにお詫びをしたいとか?」
パパ 「この政権は救いようがないねぇ」
    「やっぱり自虐的になったな~」「参院選の敗因は、小沢どんと
    鳩やんに責任があると、どうしても認識できないんだなぁ」
ピー  「市民運動家の人の良さだね」「自分で責任を背負い込むんだ」
パパ 「小沢どんシンパじゃないが、逆にこれではあの二人が政権から
    降りた意味がないよ。むしろ正当であったと評価し得る」
    「これでは小沢どん復活の下地を作ったようなものだねぇ」
ピー  「政権として、あの二人の責任を追及すべきだと?」
パパ 「そうだよん」「しかしね、小沢どんは流石にプロだな~」
    「去年からの政局の流れを見て、参院選は勝てないと踏んでいたん
    だなぁ」
ピー  「だから、易々と幹事長職を辞した?」
パパ 「んだ、渡りに船だった。これでイラ菅に責任転嫁できると・・・」
ピー  「イラ菅は、はめられたんだねぇ」「小沢どんは、してやったりと
    回転寿司で祝杯を挙げているよ。はは」
パパ 「イラ菅が小沢どんに対し、’今回の敗因はあなた達二人にある’
    と言えなければ、政権担当能力が無いと判断されるなぁ」
ピー  「政党にいろんな動きがあるようだけど?」
パパ 「権謀術数を駆使しちょるね。国民そっちのけだ」
    「これでは発展途上国の政治体系そのものだねぇ」
ピー  「馬鹿馬鹿しくて、国民はやっとれんばい」

2010年7月12日月曜日

ピートとパパの会話(その107 小沢が解る?⑯)


ピー  「参院選の結果なんだけど~」
パパ 「イラ菅は、少々調子が良すぎたなぁ」
    「ワシが、その103で言っていたように、小沢どんの逆をせよ、クリーン
    さを前面に出して小沢どんを排除せよ、国民のお金に手を付けるな、
    という助言を聞かなかったけんね~」
ピー  「今回の過半数割れは、それが原因だと?」「確かに消費税論議に
    終始し、 政治と金の問題や公務員制度改革に対する進展も
    無かったね~」
パパ 「マスコミの論調は、消費税論議が民主の敗因だとしているが、自民
    も消費税10%と宣言したにも関わらず議席を伸ばしている」
    「そこが、今回の選挙のポイントだ」
    「自民の方が、経験豊富で安心だ と言う訳さ~ね」
ピー  「はは~ん、ほと国民は、将来的に消費税導入は致し方ないと覚悟を
    決めているのかな?」
パパ 「当初、民主の支持率がV字回復したのは、小沢どんと鳩やんが退い
    たからに他ならない」「あの二人の失政の反動から見かけ上回復した
    のさ」
ピー  「と言うことは、今後とも小沢どんが出てくると駄目だと言うことだね」
パパ 「これを機会に、民主も先生の組合や特定の組合の利益を代表する
    ような政策と、一刻も早く決別することだねぇ」
ピー  「どうして?」
パパ 「例えば、民主が官公庁の組合票を期待しているようでは、行革も難し
    い。 と、国民は思い始めた」
    「そこに、議席を伸ばしたアジェンダ渡辺の勝因がある」
ピー  「行革一本に的を絞った事が、功を奏したんだね」
パパ 「これは、ビジネス界で言うニッチャー戦略だねぇ」
ピー  「ほと、イラ菅は、事業仕分けの結果を具体的な数字で示さないと、
    国民の支持を失うと言うことかぁ」
パパ 「そう、今後その数字がイラ菅政権の支持を左右することになるね~」
    「逆に言えば、今のイラ菅にとって、支持を得る方策はそれしか無い」
    「蓮舫2位議員の集票が、見事にそれを物語っている」
ピー  「一人区、二人区の選挙戦術の問題を指摘する声もあるよ?」
パパ 「それもあるが、表面的な現象に過ぎない」
    「本質は、国民の政治への思いだ。国民は、公務員制度改革に期待
    しているんだ」「日本国民は、いよいよ納税者としての権利を主張し
    始めたのさ。換言すれば、生活がそこまで困窮してきたんだ」
ピー  「パパが、イラ菅の強みは市民運動出身だと言っていたね」
    「であれば、イラ菅は市民運動家として、そこに気付かなきゃ~ねぇ」
パパ 「そう、組織に属さない市民を見方に付けることが重要だ」
    「そこに気付かないから、選挙で敗れた法相続投、なんて変な事を
    する」
ピー  「なるほど~、民意無視だね」
パパ 「業界や組合の組織票を当てにする選挙方法だけでは、今や集票
    が難しい」 「そのことを、早く選挙戦略に取り入れた方が勝ちだ」
    「アジェンダ渡辺のようにね」
ピー  「所謂浮動票をどうやって集めるかだね~」
    「新しい考え方の選挙参謀が必要だねぇ」
パパ 「票の構成要素を分析し、そこから選挙方法と政策を立案しないと」
ピー  「だけどそれは、大衆迎合になる恐れもあるねぇ」
パパ 「ま、今回の選挙は、バラ撒きで大衆票を集めるのには限界がある、
    という ことを示した」「ここ暫くは、市民運動のようなクリーンさを前面
    に出して 戦わざるを得ない」「そして、早く対小沢どん戦略を実行し
    ないと、 国民 はもっと離れて行くぞえ~」
ピー  「そうか、あれだけバラ撒きをしても、票に結び付かなかったもん
    ねぇ」 「小沢どんのバラ撒き戦略は、国民に見透かされたと言うこと
    かな」 「バラ撒いた分だけ国民の負担が増えると・・・」
パパ 「結局、政局主体の小沢どん選挙は、国民から愛想をつかされたん
    だ」 「決して消費税問題なんかじゃ無い。そこを理解すべきだ」
ピー  「元を辿れば、小沢どんと鳩やんの失策に突き当たるのかぁ」
    「だからパパは、もし負ければ小沢どんと鳩やんのせいにすれば
    いい、 と言ったのかぁ」
パパ 「イラ菅は、そこを徹底的に利用すべきなんだが~・・・」
    「自虐的になるとお仕舞いだ」
ピー  「するとさ、消費税は、対小沢どん戦略の中に含めることで、うまく
    論議に持ち込む必要があると言うことかぁ」
パパ 「そうだね。小沢どんを排除することで、何とか国民に納得して貰い、
    その後に消費税の是非を問わねば」「それと、蓮舫2位議員を行革
    で前面に押し出し、民主全体の支持率と好感度をUPさすことだね」
ピー  「何か作為的だな~」
    「で、小沢どんの動向だけど・・・」
パパ 「マスコミは色々言っちょるが、ここは基本どおりに数の論理で考え
    ねば」
ピー  「なるほど、小沢どんの動きは、数の論理で考えれば解ってくるの
    か~」
パパ 「マスコミの言う連立じゃが、数の上での勝算がなければ小沢どんは
    動かん」
    「今の小沢どんは、連立を組むより民主内での勢力争いが先決だ」
ピー  「でも法案が通過しないじゃん」
パパ 「小沢どんにとって、当面そんなことはどうでもよい」
    「法案は、数さえ確保できれば後で通すことも充分可能だわさ」
ピー  「これで小沢どんの衆参全権掌握は、数年先に伸びちまったね~」
パパ 「先ずは小沢どんにとって、何としても幹事長職を確保することが
    最優先だね」「そして、そこに傀儡を据える」
ピー  「さすれば、幹事長権限で民主を思いどおりにできる?」
パパ 「そういうこと。その成否によって、小沢どんが新党を結成するか
    否かが 決まるだろうね」「泥沼の戦いになるぞ~」
ピー  「小沢どん対非小沢どんの戦いだ」
パパ 「今の小沢どんの頭は、その事と次回衆院選に向けた思惑で
    一杯だよ」 「法案なんて国会でうだうだ言ってれば、直に9月になる」
    「そこが勝負どころだ」
ピー  「小沢どんは、本当に連立に動かないのかな~?」
パパ 「動くには、相手が連立を組み易いように民主の体制を整えねばなら
    ない」
    「例えば、アジェンダ渡辺と連立を組むには、彼が言っている小さな
    政府へと政策転換しなければならない」
    「それと、噛み付き亀を切ることだね。彼は大きな政府志向だから、
    アジェンダ渡辺との連立に必ず反対を唱える」
ピー  「あ~、それで当面小沢どんは、イラ菅との勢力争いにならざるを
    得ないのかぁ」「今の執行部は、大きな政府志向だもんね」
    「でも、アジェンダ渡辺は、連立は有り得ないと言ってるよん?」
パパ 「政治屋の言ってる事を信じちゃいけないよ。それは条件次第だ」
    「それに小沢どんは、条件や政策転換なんて気にもせずに実行する」
    「要は数の確保だけが目的だ」
    「そこに、あの人に政権を任せられない理由があるのさ」
ピー  「ま~た数年、ごたごたが続くのかぁ」 

2010年7月1日木曜日

ピートとパパの会話(その106 Lindy Hop)


パパ 「暑~い、つい、つい! それもむし暑い!
ピー  「むし(虫)がいるのとちゃう?」
パパ 「・・・・・」
    「今日は、前から気になっている事を二つばかり話そう」
ピー  「ほ~、その一は?」
パパ 「センチメンタル・ジャーニーという曲があるのじゃが~・・・」
    「誰が歌っているのか不明だったのが、遂に判明した」
    「これだ」


ピー  「別に変わったことでもないじゃん?」
パパ 「声からしてDoris Day と見当をつけていたんだが、幾ら聴いても
    この歌い方が出てこんじゃった」「それが、You Tubeのお蔭で
    見つかったという次第なんだよん」
ピー  「歌い方が違う? 同じDoris Dayじゃないの?」
パパ 「い~や、その時のプロデュースによって歌い方が異なる」
    「演歌と違って、この点が難儀なんだな~」「その為、この歌い方
    に当たるまで、Doris DayのCDを何枚も買わないといけない」
ピー  「ほんまに難儀なことでやすんすねぇ。その二は?」
パパ 「今日の本題、リンディ・ホップだ」
ピー  「リンデーホップ?」
パパ 「ちゃう、リンディ・ホップ!。そ~れは、田舎の発音ざます」
ピー  「ここは田舎じゃけんね」「で、一体何のことなん?」
パパ 「リンディ・ホップは、スウィングダンスの原型と言われている」
    「1920年代にハーレムで生まれたんじゃよ」「ペアで踊るんじゃが、
    アクロバットのような躍動感溢れるダンスなんだ」
ピー  「語源は?」
パパ 「1927年にリンドバーグが大西洋を無着陸で横断したろう」
    「で、リンディ(リンドバーグ)が大西洋をホップしたと言う事から、
    リンディ・ホップと命名したんだとさ」
ピー  「何だかよく分からんが、そういう意味合いか~」
パパ 「では一発、リンディ・ホップを観てみよう。少々喧しいから辛抱
    してね」「2番目に出てくるペアが、ロックステップから入って
    バック・チャールストンを披露するからよく観察してみよう」
  http://www.youtube.com/watch?v=LAAAV7BB1HU

ピー  「これって、ジルバじゃないの?」
パパ 「リンディ・ホップから派生したのが、ジルバなんじゃよ」
    「そのリンディ・ホップの基本は、チャールストンなのじゃが」
ピー  「バック・チャールストンってのは、女性の後ろに男性が付いて、
    同じステップで踊るやつかな」「子供の電車ごっこじゃんか?」
パパ 「そう、2番目のペア以降、皆さん電車ごっこをやり始める」
ピー  「パパは、こんなのが好きなん?」
パパ 「昔、アメリカ映画の中で観たんだが、やけに印象的だっただけさ」
    「これが、リンディ・ホップだと分かったのは、ずっと後になって
    からなんだ」「これもYou Tubeのお蔭ではっきりと認識できた」
ピー  「でも、日本じゃ余り知られていないね」
パパ 「アメリカでも60年代以降、ロックに押されて廃れて行った」
    「では、50年代のヴィンテージなリンディ・ホップを観てみよう」
    「服装に時代背景が現れているよ」
  http://www.youtube.com/watch?v=Rf55gHK48VQ&NR=1
  http://www.youtube.com/watch?v=m7o9g7QOjIo&NR=1

ピー  「ほう、踊っている人が、紳士・淑女のような服装をしているね」
パパ 「そうだよん。男性はネクタイを締めているし、女性はロングスカート
    で、アメリカが一番強かった50年代ファッションだ」
ピー  「ロングスカートってのは~、エレガントだねぇ」
パパ 「このダンススタイルは、黒人のラグタイムやチャールストンのリズム
    から来ている。ま、ワルツのような優雅さには程遠いと言えるがね」
ピー  「ラグタイム?」
パパ 「ラグタイムは、1900年前後に流行ったシンコペーションを多用した
    メロディだよん。ラグタイムは、チャールストンの原型音楽と言わ
    れている」「ジャズもラグタイムの発展型だ」
ピー  「ほう、黒人音楽のルーツだ。で、シンコペーションがどうって?」
パパ 「これは、パパの下手な説明よりYou Tubeを観た方が早いね」
    「ユーミンの'あの日にかえりたい'も説明に出てくるよ」
  http://www.youtube.com/watch?v=06mrxydjNiM

ピー  「ふ~ん・・・」
パパ 「ガーシュインの'パリのアメリカ人'にも、チャールストンが出て
    来るんだよん」
ピー  「でも、忙しそうなダンスだね~」
    「ツイストは?」
パパ 「ツイストは、ロックと共に流行りだした」
    「ロックがティーンエイジャーの音楽になった頃から、ダンスの服装
    もカジュアルになった」「ポニーテールもこの頃に流行った」
ピー  「この手の音楽がティーン主体になったのは、ロックが原因かぁ」
パパ 「それと共に、上達が難しいペアで踊るリンディ・ホップよりも、
    個々に踊るツイストが流行りだしたのさ」
ピー  「ダンスは、大抵ペアで踊っていたもんね~」
パパ 「ペアだから社交的な意味合いが強かったし、ダンスも基本から学ぶ
    必要があった」「だから服装も社交的な正装を求められたのさ」
ピー  「ペアで踊るリンディ・ホップも、その流れを汲むのかぁ」
パパ 「ツイストが流行りだした頃、一人で踊るダンスは画期的だと宣伝
    されたが~、日本じゃ太古の昔から一人で踊っちょった」
ピー  「お~、盆踊りもそうだね~」「ペアとソロ、何か文化の根源的な違い
    を感じるなぁ」
パパ 「ほほ、調べて見るかい?」
    「では、60年代の全米長期一位に輝いたカスケーズの'悲しき雨音'と
    'シェルブールの雨傘'を聴いて、後は昼寝をいたそう」
  http://www.youtube.com/watch?v=sdn-7lvwKXQ
  http://www.youtube.com/watch?v=RxaiUrAK88c&feature=fvw

2010年6月24日木曜日

ピートとパパの会話(その105 ピートとパパの禅問答)


ピー  「前回、犬畜生という言葉は、仏教の六道という考え方から来てい
    ると言っていたね?」
パパ 「六道とは、仏教の言う迷いの世界で、天道・人間道・修羅道・
    畜生道・餓鬼道・地獄道を指す」「この内の畜生道は、人間以外
    の生物を指すんだ。従って、分類学上の家犬亜種も畜生道に入る」
ピー  「家犬亜種とは、おいら達の事かいな?」
    「それで、六道とは階級を表すのかい?」
パパ 「いや、人間の精神状態を表しているのさ」「まぁ、人間の持つ業
    を表していると言ってもいい。修羅場だとか、餓鬼になるとかさ」
    「仏教では、生前の行いによって、死後この内のどれかの世界に生
    まれ変わるとも説いている。四十九日目がそれにあたるんだ」
ピー  「ほと、犬畜生とは、おいら達犬を指すのじゃなく、人間の善悪の
    行為とその結果を指し示すんだね」「仏教の因果論だ」
パパ 「んだ、元々は人間に対する戒めの言葉だ」「これが本来の言葉の
    背景だが、犬や動物の行動を指す表現だと思っている人もいる」
ピー  「犬畜生は、仏教世界の言葉から来たのか~。確かに欧米文化圏
    には無い言葉だね~」
パパ 「畜生道とは、基本的に家畜を指し、本能だけの世界と解される」
    「この事から推察すると、仏教が興った当時、既に家畜を使った
    農耕や牧畜が行われていたと思われる」
ピー  「仏教の発祥は、紀元前5世紀だろう?」
パパ 「インドで都市国家が形成されたガンジス文明の頃だよ」
    「この時代に商工業が盛んとなり、貧富の差が拡大して社会不安も
    増大した」「銭と権力だけの世界になって行くんだ」
ピー  「その社会不安を取除くために、仏教の教えが必要だったのかぁ」
    「近代国家だと、社会保障の充実で対処するのだろうけど」
パパ 「んだ、じゃけん仏教は、人間の持つ生臭い世俗的な事柄を扱う
    のじゃよ」「信仰と言うより、当初は哲学のようなものだったと
    思われる。だから経典があるのさ」「仏教が学問的なのは、その
    ためだよん」「ウパニシャッド哲学もこの時代だ」
ピー  「神道が自然を対象とするのに対し、仏教は人間を対象とするんだね」
    「そういや~、古代国家成立以降の宗教には、殆ど経典があるね~」
パパ 「神道は元から信仰だが、仏教が信仰を伴うようになったのは、解脱
    修行の困難さからだと思う。生身の人間では難しいんだ」
    「ほんで、解脱したお釈迦さんを拝むことで、修行をしている事に
    しようと」
ピー  「そうして少しでも解脱に近付き、輪廻の苦から逃れようと?」
    「他力本願のようなものじゃんか~」
パパ 「それと共に仏教が次第に観念化され、信仰という形式を伴うように
    なったと、ワシは考えちょるのよん」
ピー  「う~ん、如何にして煩悩を消し去り、涅槃(ねはん)の境地に入るか
    だねぇ」「人々の社会不安の解消は、それしか無いのかな~?」
パパ 「当時はね。でも人間の煩悩なんて消滅しないんだ」「だから、仏教
    には、輪廻転生や色即是空という上手い思想があるのじゃよん」
ピー  「ん? 社会心理学におけるバイアスじゃんか」
パパ 「輪廻転生は、解脱を達成するまで、生れ変わりを何度も繰返すと
    いう意味じゃが~」「ややこしいものに生れ変わらないように、
    日頃から善行をしなさい、ちゅー意味合いも含まれている」
ピー  「ほ~、輪廻転生があるから、お寺が葬式を執り行うのか~」
    「でも、なして生れ変るんよ?」
パパ 「解脱して仏になれなかったからさ」「過去を御破算にして、元から
    人生をやり直すんだ。解脱への再チャレンジだね」「その為に生れ
    変るのさ」「何に生れ変るかは、前世での行いにかかっちょる」
ピー  「そうして煩悩を消去ることが出来れば、解脱を達成できるの?」
パパ 「そう、苦の輪廻からの脱出成功だ。もう生れ変る必要は無い」
ピー  「いちいち生れ変るのも面倒だわな」
    「そこに、御釈迦さんの仕掛けがあるのかぁ」
パパ 「だけど、犬が人間に生れ変われるとは聞かないなぁ。逆はある」
ピー  「おいらは、どうなるのよん?」
パパ 「解らん。 来世もまた犬かも知れない」
    「じゃが~、仏教の衆生(しゅじょう)という概念からすれば、
    動物も人間に転生可能だと解釈できる・・、かも知れない」
ピー  「他力本願寺ピート派の解釈かい、はは」「で、衆生とは?」
パパ 「これは、生物全般を指す概念だ。当然その中に人間も犬も含まれ
    ちょる」
ピー  「だけど、片方で優劣判定のような六道を説き、もう一方で衆生と
    いう生物共生を説くのはどうして? 矛盾するじゃん?」
パパ 「共生ではなく、共に存在するという解釈だよ」
    「六道とは、衆生に存在している人間界の業の尺度を計る物差しだ」
    「そうして転生の行先を指定される」
ピー  「ふ~ん、指定席かぁ」「しかし、尺度に畜生道を入れるのは、人間
    による優劣意識の現われだなぁ。正に人間主体で自然観が無い」
パパ 「これは、仏教が説く解脱に関係があると、ワシャ~考えちょるのよ」
    「つんまりぃ~、人間は仏になろうと自ら努力することが出来るが、
    犬や家畜は本能で生きているからそれが出来ない、という仏教の
    根本的な考え方というか~・・・」
    「これがっ、六道で人間と他の動物を分けている根拠じゃないかと」
ピー  「そこに、人間優位という意識の発祥源がある気がするなぁ」
    「六道とは~、人間の勝手な考え方だと思えるねぇ」
    「あのね~、おいら達は自然の行動様式に沿って真っ当に生きちょる
    んだ」「それを人間は本能と言う」
パパ 「仏教もそのように解釈しているよ。でも畜生道は苦であると説く」
    「使役されるだけで、救いが無いとの考えだ」
ピー  「そもそも人間の行為が問題だから、宗教で戒めねばならないのと
    ちゃう?」「おいら達に解脱は必要ないよ」
    「何故なら、本能という自然との一体感で生きているから、人間の
    ように現実が苦ではない。輪廻転生という概念の外においら達は
    存在しているんだ。だから仏教が教える無常の概念も必要ない」
パパ 「なるほど、苦の認識が存在しないんだ」
ピー  「苦があるとすれば、それは人間が畜生を支配している状態を指すの
    であって、人間の意識の果てに存在する」
    「おいら達の苦、即ち人間の存在だ」
パパ 「人間こそが苦をもたらす存在だと? だから人間と一緒に輪廻転生
    を繰り返す羽目になったと?」
ピー  「い~や、おいら達は畜生道に置いてきぼりにされた」
    「何故なら、おいら達が浄土に行ったと聞いた事が無い。慈悲を説き
    ながら、畜生には無慈悲だ」「そこに仏教の人間主体を感じる」
    「日本の犬畜生論の根源は、ここにあると思わないかい?」
パパ 「おっ! 禅問答を仕掛けてきたな」
    「確かに畜生道は、ただ働くだけで仏の道とは無縁のものと考え
    られていた」
ピー  「だから畜生道とした?」「下手をすると人間もそこへ落ちると?」
    「だけど、そこに矛盾を感じるんだなぁ」「無常とは、常に変化する
    ことの概念だと思うけど、六道の基準は変化していない」
パパ 「いや、基準は変化しないが輪廻の主体が変化する」
    「これ即ち無常だ」
ピー  「教義が矛盾の解決に至って無いのでは?」
パパ 「いやちゃう。ピートは輪廻転生を唯物論的弁証法のように捉えて
    いるが、浄土と現世という有限域での輪廻であるし、解脱によって
    その転生は止まる。根本的には観念論で、矛盾はない」
ピー  「六道と無常の関係は?」
パパ 「六道は解脱のための設定条件で、各道はその段階を示しているに過
    ぎない。従って、条件は変化することが無い。恒常だ」
ピー  「でも考えてご覧よ。人間全員が解脱を果たしたとすると、因果論も
    無常の概念も必要なくなる」「ほと、仏教の教義も消滅する」
    「当然六道の畜生道も無くなる。これはどう考えても人間主体だよ」
パパ 「ピート論は、仏教を根本的に階級矛盾と捉えるんだなぁ・・」
    「ま、その点神道は、森羅万象全てが神の仕業であり、人間も犬も
    自然の一部であるとの解釈をする」「この考え方に則れば、生物間
    での根本的な優劣意識は存在しないのかも」
ピー  「あのねぇ、おいらはこう考えるよ。おいら達犬畜生を最初から固定
    的な存在と看做すからこそ、六道という考え方も成立つ。人間は、
    それを踏み台にして、涅槃という境地に至れるとしたんだ」
    「衆生というのは、その踏み台の存在を確定さす概念に過ぎないよ」
    「おいら達は、人間が解脱を遂げるためのダシに使われた気がする」
    「だから、六道の下層3位を三悪趣と呼ぶんだよ」
パパ 「人間の解脱のために、畜生・餓鬼・地獄の三悪が必要だと?」
ピー  「おいらの考えでは、そういうこと」「人間は、そういう強迫観念が
    ないと善行をせん」
パパ 「手厳しいね~」    
ピー  「つまり、六道は、あくまで人間中心の固定観念だ。だから、他生物
    への優劣観が生じる」「おいら達犬畜生は、仏教の保護下に入れな
    いんだよ。逆に言えば、人間こそが問題なんとちゃう?」
パパ 「そうとも言えない。大乗仏教に一切衆生悉有仏性(いっさい
    しゅじょうしつうぶっしょう)という概念があり、これは人間以外
    の動植物にも仏性があると説く」
ピー  「仏性?」
パパ 「生物は皆、仏陀になり得る資質があるという意味じゃ」
    「そこで頼りに出来るのが、畜生道を仏の道に導いてくれる六地蔵の
    中の馬頭観音菩薩の存在だ」「馬の守護仏でもある」
    「今んとこ、その観音様に救済をお願いするしか方法が無い」
ピー  「宇治市にある大善寺の六地蔵だね」
パパ 「馬頭観音菩薩は、畜生道の生き物を供養してくれる。そうして仏
    の道へと導いてくれるのじゃよ」
ピー  「何でも都合よく考えるものじゃのぉ~」
    「しか~し、その先の行く末を想定していない」「おいら達の霊魂が
    行方不明になっちょる」 
パパ 「なるほど、供養で止まっちょるの~」     
    「結局仏教は、信仰と共に経典の解釈論と、その背景にある社会観を
    一体的に捉えて認識せねば解らんぞえ。これは学問だなぁ」
    「とても難解で、衆人には広め難い」
ピー  「何れにしろ仏教は、輪廻転生と密接な関係にある事は解ったが~」
    「宗派の教義によっても異なるようだから、結局のところ何が何だか
    さっぱり訳がわーらんと言うことになる」
パパ 「しゃーから、念仏を唱えれば、成仏でけるとの考えも出てくる」
ピー  「色即是空は?」
パパ 「これこそ難解な哲学だ。無即ち有・有即ち無だ」
    「長くなるからまたにしよう」
ピー  「パパは仏教関係者かい? 虚無僧とか」
パパ 「ノン、只の町人だ。物事を何故だろうと考えると、仏教や神道に
    突き当たる」「特に日本で生活しているとね」
ピー 「考え過ぎとちゃう」

2010年6月21日月曜日

ピートとパパの会話(その104 ハウンド・ドッグ)


ピー  「上の写真は、山小屋で撮ったものだね~」
    「ハンティングスタイルじゃんか」
パパ 「ピートの祖先はハウンド・ドッグだからね~、こちらもその格好を
    してみたのさ」
ピー  「手に持っているのは何?」
パパ 「スプリングフィールド製のM-14アサルトライフルだ」「7.62mmの
    NATO弾を使用する。スコープを覗けば十字の照準が見えるんだ」
    「この写真は、おっ母が嫌いらしいから、ブログ初公開だよん」
ピー  「そんなことより早く森へ行こう」
パパ 「ピートは、森や山が好きだねぇ」
ピー  「狼だった頃の血が騒ぐんだ。それに、誰も居なければノーリードで
    歩けるからね~。その自由さがいい」
パパ 「イギリスの公園は、何処でもノーリードで歩けるらしいねぇ」
ピー  「モンゴルの大草原もノーリードOKだよん」
    「昔の日本もそうだったらしいね。今はドッグランだけだが・・」
パパ 「熊や鹿や猪やライオンもノーリードなんだが~、文句が出ん?」
    「鰐やコモドドラゴンのような危険動物もノーリードだね~」
ピー  「ははは、それは、お互い生息領域が違うからだよん」
    「野生動物が、人間の生息領域に侵入すると排除されるじゃんか」
パパ 「あぁ、そういう事か」
ピー  「おいら達は、厄介な人間社会と共存しているからして、人々に恐怖
    を与えないようリードが必要なのさ」
パパ 「う~ん、共存というより、人間の都合で引き込んでいるんだなぁ」
    「だからピート達も、人間社会の秩序を求められる」
ピー  「ほう、おいら達も人間の律令制というか、法典に支配されるんだ」
    「しっかし、隋や唐の時代じゃないんだからねぇ。かなわんのう」
パパ 「ピートは、いくらでも自由な外界へ逃走できるのに、どうしてそう
    しないんだ?」
ピー  「人間にパラサイトしている方が、安全を確保し易いんだ。食料もね」
    「しかしだね~、根本的には、人間がおいら達の社会化を許さず、
    バラバラな状態に置いているのさ。分かる?」
    「これが人間社会なら、反乱や革命が起きる」
パパ 「ほほう」
    「外でピート達犬同士が出会うと、お互いを確かめ合っているね」
    「どうしてお互いが犬だと判別できるの?」
ピー  「変なことを聞くね。それがDNAというもの」
    「でなければ種の保存ができない。自然は、実にうまくできている」
パパ 「それと、ピート達は、人間の考えている事を極自然に推理できる
    ようだけど」
ピー  「そりゃ~、人間とは同じ哺乳類同士だからね。意思疎通がし易い」
    「爬虫類なんか、何を考えているのか見当もつかないよ」
パパ 「そうか、哺乳類以外とは、危険かそうでないか程度の関わりかぁ」
    「ま、両生類の亀さんなんかも、さっぱり理解でけんわな」
ピー  「森はまだかいな?」
パパ 「森林浴かい?」
ピー  「森は、木々が発するフィトンチッドで満たされているから健康的だし、
    気持ちも落着くんだって」
パパ 「健康に良いかも知れないが、気持ちはどうかな~」
ピー  「気持ち悪いのかい?」
パパ 「いや、気持ちは民族によって異なる」
    「例えば、砂漠の民ベドウィンは、砂漠に居ると気持ちが落着くと
    言うし、モンゴル人は大草原のゲルで生活すると気持ちが落着く
    と言う」
ピー  「そうか、リビアのカダフィ大佐は、未だに砂漠でテント生活をして
    いるらしいね」「ちゅーことは、フィトンチッドの精神安定作用は
    未解明なんだ」
パパ 「多くの日本人は、温帯モンスーンの照葉樹林帯で生活を営んで来た
    からねぇ。だから、森の中で気持ちが落着くのさ」
    「森が良いか砂漠が良いかは、多分に文明的要素が強いと思うなぁ」
ピー  「砂漠にフィトンチッドは無いもんね。健康とは別問題かぁ?」
パパ 「もっと面白いのは、ネオン街で生れ育った人には森を好む人が
    少ない」
ピー  「はは、極めつけだな。ネオンが気持ちを落着かせるんだ」
    「ところでね、時々人間が、犬畜生と言うけど何故だろう?」
パパ 「犬畜生とは、仏教にある六道の中の一つを指すんだよん」
ピー  「六道って?」
パパ 「これは、長~くなるから次回に話そう」
ピー  「とにかく先ず森へ出掛けて見よう」

2010年6月8日火曜日

ピートとパパの会話(その103 小沢が解る?⑮)


ピー  「硫黄岳に登っている間に内閣が変わっていたじゃん」
パパ 「それでは、先ずこの曲から聴いてみよう」
 http://www.youtube.com/watch?v=1IfUZ3lQIIs

ピー  「なんじゃいな、これ?」
パパ 「イラ菅の十八番だ。カラオケで歌っちょる」
ピー  「どこからそういう情報を仕入れて来るのさ~」
パパ 「んで、小沢どんと鳩やんが居なくなって、やっとスッキリ
    したねぇ」
ピー  「福島おばはんも主張を押し通し、遂に連立を離脱したね」
パパ 「根本的に思想が異なるからねぇ。数合わせで連立に参加したから、
    その矛盾が出ただけだよ」
ピー  「連立離脱は、単純な成り行きに過ぎないんだね。結果的に~」
パパ 「ここは主張を変えなかった福島おばはんに敬意を表し、
    これからは’福島おばさん’と呼ぶことにしよう」
ピー  「それがいい」
    「しかしさぁ、辺野古案は元に戻るし、鳩やんは自滅したし、
    小沢どんは追い出されたし、福島おばさんも政権から出て
    行ったし、全てパパの筋書き通りじゃん」
パパ 「はは、結果を予測する論理的構成要因が、たまたま揃っていた
    だけだよん」
ピー  「論理が単純明快だったのか」「ほんで、これからは~?」
パパ 「小沢どんの権力を如何に排除できるかが、イラ菅政権の成否を
    決定付ける要素だ」
ピー  「皆さん、そう言ってるね~」
パパ 「先ず、小沢どんから金と権力集中を奪取する事だね」
    「大多数の国民は、小沢どん不支持だろう。そこが付け目だ」
ピー  「政調復活は、その第一ステップなんだね」
    「議員立法も復活しなきゃーね」
パパ 「大事なことは、小沢チルドレンに、小沢どんの支配下では
    政治生命が危ういと、啓蒙運動を展開する事だねぇ」
ピー  「つまり、彼らに政治家としての人格を与えることかな?」
パパ 「ま、グラグからの救出作戦だ」
ピー  「グラグって?」
パパ 「旧ソ連の強制収容所だ」「ここで小沢どんは、チルドレンに
    洗脳教育を行ってお~る」
ピー  「ソルジェニーツィンの収容所群島じゃんか」
    「確かに小沢どんは、彼らをアホの状態に置いているなぁ」
    「でも、どうやって救出するの?」
パパ 「イラ菅内閣に対する有権者の支持率が、その鍵だね~」
    「国民の支持率でもって、彼らの心を動かすのさ。そうして
    小沢どんからの離反を促す」
ピー  「作為的だな~」「して、その戦術は?」
パパ 「ここ数日間で、矢継ぎ早に反小沢どん政策の発表をする事が
    望ましい」「世論をイラ菅に引き付けるんだ」
ピー  「つまり、世論の力で小沢どんの権力を削いで行くんだね」
パパ 「例えば、徹底的にクリーンでオープンな政治形態に持って行く」
    「そうして、旧態依然とした土着の利益誘導型政治を踏襲している
    小沢どんグループとの差別化を図るんだ」
ピー  「そうすれば、支持率もどんどん向上する?」
パパ 「そして、小沢どんの作った制度を全て見直し、その逆を行う」
    「根本的には、如何に民主的な党運営に持っていけるかだねぇ」
ピー  「う~ん、そういう方法で世論を味方に付けるのか~」
パパ 「民主主義の基本は、主権在民だ。小沢どん主権ではない」
    「権力志向が失敗だったのは、小沢どんが体現したし~」
ピー 「イラ菅は、市川房枝女史の支援者だったとか?」
パパ 「市川房枝女史は、大変な思いで女性参政権を勝ち取った一人だ」
    「また、良妻賢母型教育の反対者でもあった」「当時のウーマンリブ
    の先駆けだねぇ」
ピー  「イラ菅は、そんな大変な人の支援をしていたのか~」
パパ 「そう、イラ菅の強みは、市民運動出身だということさ~ね」
    「そこを強調して行けばよろしい」
ピー  「さすれば、支持率が上がる?」
パパ 「Yes」「イラ菅は、ここ一ヶ月間でクリーンなイメージを有権者に
    植えつける必要があ~る」
ピー  「このまま行けば、マスコミがクリーンなイメージを醸し出して
    くれるんじゃないかな?」
パパ 「それと、早急にマクロ経済学者をブレーンに持ってくるべきだね」
    「官僚の知識と経験も生かすべきだよ」「そうして一刻も早く経済を
    浮揚さす必要がある」
ピー  「バラマキも止めねば」「そうすれば参院選に勝てる?」
パパ 「勝てる下地が出来上がる。過半数に達しなくても、大敗する事は
    ないよ」「ここ一ヶ月が勝負だ」
ピー  「もし大敗すれば?」
パパ 「そんなの小沢どんと鳩やんのせいにして、クリーン政治を続行
    すればいいさ」「やがて支持率は、自然と上がってくる」
ピー  「ほう、でも小沢どんと鳩やんは、チト可哀想だねぇ」
パパ 「兎に角あの二人は、日本政治を混乱に陥れたんだから~」
    「罪は深い」 
ピー  「小沢どんは、9月に復活するとか?」
パパ 「そんな事になれば、支持率ダダ下がりだねぇ」
    「小沢どんは、そろそろ引退する時期だよ~」「大多数の国民から
    支持されていないと認識すべきなんだが・・」
    「小沢どんの権力欲がね~・・・、邪魔をする」
ピー  「あん人が、簡単に引退するかねぇ?」
パパ 「小沢どんは、政党のM&Aで勢力を拡大してきた。イラ菅は、その
    勢力拡大を民主内で阻止する作戦だ」「民主の原点回帰さ」
ピー  「政党のM&Aね~。小沢どんが編み出した手法だ」
パパ 「M&Aを仕掛けられたんだから、逆にそれを利用して小沢どんの
    数を取り込めばエエ。今が絶好の機会だ」「そうして引退を促す」
ピー  「旧自由党とイラ菅率いる新生民主の戦いかぁ」
    「分裂の危機だな」
パパ 「新旧勢力の戦いでは、古いものが敗れるという歴史の必然がある」
    「その必然に賭けよう」 
ピー  「ほと、小沢どんはどうするのさ?」
パパ 「権力に執着するなら、脱藩して自民とのM&Aをやるという手が
    ある」「ま、グループの何十人かは付いて行くだろうが・・」
ピー  「元の古巣に戻るのか~」
パパ 「であれば、小沢どんにも政権復帰のチャンスがあり得るさ」
    「民主の中で、再び権力を握ろうとしても、国民が納得しない」
ピー  「だけどね、小沢どん一流の、国民が望んでいるから、という勝手な
    解釈を持ち出すかもよ」
パパ 「じゃけんイラ菅は、現段階において、小沢どん復活の芽を徹底的に
    摘んでおく必要がある」「それが第一優先の使命かもね~、ほほ」
ピー  「ほと、民主政権の首にフロントラインを打って、小沢どんが近づけ
    ないようにすればいいんだワン」
パパ 「面白いことを言うね~」
ピー  「鳩やんはどうするのかなぁ」
パパ 「あん人は、政治家に向かん」「常に担がれてきただけだわさ」
    「とにかく労働をしたことが無いから、世間を知らない感じだねぇ」
ピー  「だから、小沢どんにとっては、担ぎ易かったんだなぁ」
パパ 「鳩やんの唯一の功績は、小沢どんを道連れに辞任したことだ」
ピー  「小沢どんがよく辞任したね」
パパ 「支持率という数の減少には勝てん。それが小沢どんの数の論理だ」
ピー  「だから引かざるを得なかった?」
パパ 「ここは一旦身を引いて再起を図るというのが、あん人の作戦だ」
    「下手をすると、民主をガタガタにして出て行くぞ~」
ピー  「それにしても、普天間と辺野古が心配だね」
パパ 「今となっては如何ともし難い。十年は無理じゃないかな」
    「鳩やんのした事は、今後の政権運営の足枷となる」
    「但し、鳩やんの理念は正しい。それだけが救いだ」
ピー  「何故そないな事になったのかな?」
パパ 「理念優先でプロセスが無い。つまり、彼は策士じゃないのさ」
ピー  「自民は、これからどうするの?」
パパ 「今回の政変で、自民は素っ飛んだなぁ。もう手の打ちようが無い」
    「何を言っても空虚に響くだけだ」「他の野党も同じだねぇ」
    「しかしだ、民主も税制を変えて国民の資産やお金に手を付けると、
    支持が離れていくぞう」
ピー  「自民が突っ込めるとすれば、そこだね~」
    「でも、小沢どんはいらん」
パパ 「政党支持率は、根本的に経済の問題なのさ」
    「あのね、現民主政権は、社会主義嗜好があるんだ」
    「そこが注意点だね」
ピー  「メンバーを見れば、旧社会党出身者もいるね」
    「玉の輿なんかも考え方が古そうだ」
パパ 「社会主義は、一生懸命働いても報われない経済構造なんだよね」
    「これは、マルクス,エンゲルスの家族・私有財産及び国家の起源に
    ついての論述を読めば理解できるかもね」
ピー  「どういうこと?」
パパ 「結論的には、国民の財産は全て国家に帰属するのであるから、
    その全てを国家が巻き上げて再分配するということさ」
ピー  「ええ? 自分のお金を自分で好きなように使えないの?」
パパ 「ま、そういうことだね」
    「民主が税制を抜本的に見直すと言っているのは、そういう事だと
    パパは理解している。極論の極論だがね」
    「じゃが、それが社会主義の根本原理だ」
ピー  「増税を伴うじゃんかぁ・・・」
パパ 「イラ菅は消費税を上げれば景気が良くなると言っているが、
    何故良くなるのかを理論的に説明出来ないでいる」
ピー  「どうして説明出来ないの?」
パパ 「経済理論に裏打ちされた発言じゃ無いからだよ」
    「鳩やんじゃないが、財政逼迫の中での思いつきで言っちょる」
ピー  「パパが、政権内にマクロ経済学者を入れろと言うのは、根拠に
    基づいた経済政策を実行する必要があるからだね」
パパ 「小泉政権が、新自由主義の竹中平蔵氏を起用したようにね」
    「例えば、消費税を上げるにしても、理論的根拠が無いと国民
    への説得力に欠ける」
ピー  「なるほど~、バラマキのために消費税を上げるというなら、
    ±ゼロで国民生活は良くならないわなぁ。むしろマイナスだ」
    「それでは国民として納得でけんねぇ~」
パパ 「そうじゃろ~」「消費税アップで経済が好転すると言うなら、それを
    数字で説明しないと具体性が無い。言葉だけじゃ~信用でけんよ」
ピー  「やはり、理論的な裏づけが必要なのかぁ」
    「でないと、またしても鳩やん政権の二の舞になる?」
パパ 「そうだよん。さ~、その時国民はどうするかだ。ふふふ・・・」 

2010年5月27日木曜日

ピートとパパの会話(その102 明るい農村Ⅱ)


パパ 「前回、農業をしてみたいと言っていたね」
ピー  「ま、漠然とね。純粋に農業と言う訳じゃなくて、
    田舎暮らしもいいかな、と」
パパ 「では、’新日本紀行’から農村風景をイメージして見よう」
 http://www.youtube.com/watch?v=M7HSlonmILg&feature=related

パパ 「して、浮かんだイメージはどうかな?」
ピー  「なんともはや、古き良き日本の風景を醸し出しているメロディー
    でやんすな」
パパ 「もう一つ、’昼のいこい’のメロディーから農村社会をイメージ
    して見よう」
 http://www.youtube.com/watch?v=sLhM5AUUET4&feature=related

ピー  「の~んびりして、駅の時刻表は、普通電車が3時間に一本という
    感じだねぇ」
パパ 「ビジネスのスピードが、田舎は3時間単位、都会は30秒単位だ」
ピー  「電車の時間間隔と、その地域の経済速度は比例するの?」
パパ 「そ、田舎は3時間でビジネスの方向性を出せば良いが、都会は30秒
    で結論を求められる」
ピー  「都会はせわしないね~。慌てる乞食は貰いが少ないよ」
パパ 「駅へ行って時刻表を見れば、その地域のビジネス速度が凡そ
    把握出来るのじゃよ。これビジネス交渉の裏技ね。はは」
ピー  「時々けったいなことを言うね」
パパ 「で、農村社会のイメージは、この映像から読み取れたかい?」
ピー  「共同作業が多い映像だね~」
    「何かしら封建的なイメージで、付き合いが大変そうだな~・・」
    「でも空気は美味しそうだ・・・」
パパ 「その印象からすると、ピートは農村生活に向かないなぁ」
ピー  「なんで? 同じ日本じゃんかぁ」
パパ 「ピートが、農村は封建的だという印象を持ったからさ」
ピー  「ん? 少なくとも民主的な社会形態じゃないよね?」
パパ 「どうしてそんな事が分かるの? それは観念として思っている
    だけだろう?」
ピー  「都会ではそう言うじゃん。それ以上の事は想像でけへんし~」
パパ 「では、水田耕作中心の農村社会について、ぼちぼち話そうか」
    「まんずは、農村が封建的だと言う誤った考え方じゃが~」
ピー  「誤ってる?」
パパ 「これは、農村社会の物事の決め方を具体的に話さないと、理解
    出来ないだろうねぇ」
ピー  「例えば?」
パパ 「農村では、年間行事を例年どおりのやり方で行っていれば、先ず
    問題は出ない」「出るとすれば、何かの都合でやり方についての
    意見が食い違った場合だね」
ピー  「都会じゃ、多数決だなぁ」
パパ 「農村は、田圃と水が命の運命共同体だ」「田圃の事がうまく行か
    ねば、村落の死を意味する。争いごとは絶対避けねばならない」
    「そこで、全員が何とか納得出来るようにする。そこがポイントだ」
ピー  「どうするのさ?」
パパ 「寄り集まって、双方の意見を出来る限り述べさせる」
    「何時間か経過すると、そのうち意見が堂々巡りを始める」
ピー  「ほほう」
パパ 「そこへ、誰かがすかさず間に入り、長老に意見を仰ぐ」
    「若いもんはこない言うてござるが、どないですやろ? とね」
    「このようなやり取りが、極自然に行われる」
ピー  「長老は、多数決で賛否を取るんだろ?」
パパ 「それは都会だ。農村では、そんな下手糞なやり方はしない」
    「長老は、あくまで参考意見を述べるだけだよん」
ピー  「ふ~ん、結論を出さないんだね」
パパ 「長老は、’前はこうしたし、あそこの村はこうやってうまく
    いった。だからこうすれば良いのじゃないかい’、とたしなめる
    ように言う。けして押付けない」「で、皆さんそれで何とか納得
    する」「結局、従来どおりの方法で落着くのさ」
ピー  「よく納得するね。都会じゃ無理だな、訴訟も辞さない」
パパ 「運命共同体だからさ。地域の目的が明確だし、だから纏まる」
    「それに長老は経験豊富だから、任せても安心できるというもの」
ピー  「経験済みの従来方法が、一番安全策だと言う訳だね」
    「だから皆さん従うのかぁ」
パパ 「農村は、目的がバラバラな都会のモザイク社会とは違う」
    「都会じゃ少数意見は無視される」
    「都会人は、それを民主主義と呼ぶ」
ピー  「は~ん、田舎の寄り合いの方が、民主的な決定方法という
    訳かぁ」 「直接民主制のようだね」
パパ 「そうだよん。議会制民主主義ちゅーと、一見合理的に思えるが、
    少数意見は反映され難いという欠点を持つ」
ピー  「なるほど。社会の成り立ちが異なると言う事か」
パパ 「田舎は、田圃を守って行く共同体だから、答えは一つしかない」
    「それは、昔ながらの方法かどうかだ」
ピー  「長老は、それを心得ているのか。だから、皆さん納得するんだね」
パパ 「んだ、農村が封建的だというのは間違いで、農村を支配しようと
    する外部の勢力が、封建的体制を押付けているに過ぎない」
ピー  「ほ~ん、そいう考え方か~」「農村を支配する外部勢力とは?」
パパ 「昔で言うなら、武士階級の封建家臣団だね」
    「その時のイメージが、未だに農村は封建的だと言われる所以だと
    考えているんだ」「確かに時代と合わない部分もあるがね」
ピー  「すると、農村の良さは、運命共同体という社会組織にあるので
    あって、 自然や風景では無いということかな?」
パパ 「パパは、そうだと思っている。自然は三日で飽きる」
ピー  「ダム問題や合併問題で、村が割れている状況もあるらしいけど?」
パパ 「そういう問題は、大抵利権が絡んでいるから収拾がつかなくなる」
    「この種の問題の殆どは、外部から持ち込まれるんだ」
ピー  「年間行事どおりの事をしていれば、田舎で問題なんて起きない?」
    「すると、都会人のために田舎が迷惑しているのかぁ」
パパ 「不必要なダムを造る、ゴミ焼却施設や処分場を造る、BBQの後始末
    をしない、大声で騒ぐ、これらは全部都会人が持ち込んでくる」
ピー  「都会が田舎に干渉しなければ、明るい農村そのものなんだなぁ」
    「じゃけん、宮沢賢治は、農村に魅せられたのかぁ」
パパ 「さて、農村移住を想定して、もう少し具体的に話そうか」
ピー  「おいら、住めるかな~」
パパ 「ある都会人が、退職後に農村へ移住して自治会に入った」
    「その途端、名も知らない人の葬式に三日間付き合わされて 閉口し、
     即、自治会から脱退した」
ピー  「葬式が三日間? 凄いね。都会じゃ考えられない。それに、
    葬儀は 専門の会社に頼むのが常識になっている」
パパ 「田舎に住むんだろ?」
    「都会の常識、田舎の非常識だ」「それが軋轢を生む原因だよ」
ピー  「あ~、そうか!」
パパ 「運命共同体では、三日間の葬式なんて極当たり前なのさ~」
    「都会の町内会と同じように考えるから、大変だと思うんだよ」
    「それに、葬儀会社に頼んだりすれば、物凄い非難をされる」
ピー  「葬儀会社に頼む方が、簡単でいいじゃん?」
パパ 「田舎の葬式は、当家の親戚が集まって、飾り物を全て手作りする」
    「手作りをして亡き人を偲ぶのさ。そして、それを礼節だと考える」
ピー  「ほえ~!」「香典なんかどうなっているの?」
パパ 「香典を幾らにするかは、その家の過去帳を見て決めるのさ」
    「過去帳には、10銭とか25銭とか昔に貰った香典の額が載っている」
    「それを目安に額を決める」
ピー  「農村のデータベースだね」「しかし、10銭とか25銭とか、どのよう
    に現代の価値に換算するの?」
パパ 「それが、実に合理的な換算方法を取っている」
    「その時代の米の値段に換算して額を算出するのさ」
    「例えば、当時10銭相当の米の量が、現代なら幾らの値段に
    なるのかを見積る」
ピー  「なんと~、そういう換算をするのか。凄いね」
パパ 「農村に入るには、その辺から勉強しないと駄目だね~。ふふ」
    「誰も教えてくれないぞ~」
    「付合いが大変だと言うのは、そう言う事さ」
ピー  「色々ありそうだな~」
パパ 「それと、農村のお寺さんは、運命共同体の葬祭を執り行うから、
    敬意を払わねばならない存在なんだ」
ピー  「どのように?」
パパ 「先ず、お寺さんに電話で頼みごとをするのは、失礼にあたる」
    「直接訪問して敬意を表し、そして依頼事を話すのが礼儀なんだ」
ピー  「そうかも知れないけど、都会じゃ電話だけだねぇ」
    「他には?」
パパ 「例えば、都会のお坊さんは自ら自動車を運転して葬儀に出向くが、
    農村では送迎をせねばならない」「たとえ100mの距離でもだ」
ピー  「なんとま、歩いたほうが早い距離だ」
パパ 「それも、自動車を門前の右に着けるか左に着けるか、な~んて事
    も問題にな~る」
ピー  「左右どちらでも大差ないじゃん?」
パパ 「いやいや、敬意を払わねばならないから、問題になるのでござる」
    「実際、毎回この件で1時間以上の論議になるのが普通だ」
ピー  「町の感覚じゃ~、信じられないなぁ」
パパ 「ここでも、最終的に長老が意見を述べて収まる」
ピー  「おいら、やっぱり農村には住めないなぁ」
パパ 「それはね、地域住民と運命を共にしちょらんから、そう思うんだ」
    「農村に住むには、同じように農業をやり、村の政(まつりごと)にも
    関わる必要がある。そうすれば、何故そうなのかを理解し得る」
    「それまでは、ただの入り人だ」
パパ 「更に農村では、青年団が大きな役割を果たしているのじゃよ」
ピー  「青年団?」
パパ 「都会では廃れてしもうたが、農村では祭事を行う場合は必ず青年団
    が前面に出る」「青年団が動かないと何も出来ないくらいなんだ」
    「この組織も合理的に出来ちょるから、都会も参考にした方が良い」
ピー  「本当かい?」
パパ 「青年団の組織じゃが~、加入期間は30歳までで、その後は顧問の
    ような立場になる」「つまり、30歳で祭りごとから身を引き、実務
    や運用面を若者に譲るのさ」「そして、聞かれれば相談に乗る」
ピー  「常に組織の人員が更新されるようになっているのかぁ」
    「昨今の老害政治とはどえらい違いだねぇ」
パパ 「それに、利害関係が無いから勢力争いをする必要も無い」
    「また、青年団のお兄さん達は、若年層の教育係りも務める」
    「それによって、村の伝統や祭事が伝承されて行くのさ」
ピー  「理想的な社会システムだねぇ」「共同体を維持していくヒエラルキー
    構造が出来上がっている」「都会も見習えば良いのに」
パパ 「都会は生活様式が一様でないし、個人主義的だから無理だね」
    「しかし、農村も都会の経済が入り込み、次第に変わって来たがね」
    「ま、都会の非合理的社会と、農村の合理的社会との融合も必要だ」
ピー  「ん?、都会が非合理的?」
パパ 「農村は、経済にしろ生活にしろ無駄が無い。都会は無駄が
    多すぎる」 「但し、都会は便利だし、何でも揃っている」
ピー  「う~ん、スーパーも病院も近くにあるしねぇ。交通も便利だ」
パパ 「そういう意味からは、後期高齢者になれば都会生活の方が
    良いかも」
ピー  「そうか~、若い頃は農村に住み、歳を取ってから都会に住むという
    方法もあるねぇ」
パパ 「そうだよん。人生は多様だ」

2010年5月20日木曜日

ピートとパパの会話(その101 明るい農村Ⅰ)


パパ 「新聞に気になる記事が出ていたな~」
ピー  「最近は気になる記事ばかりだよ。それで?」
パパ 「就農人口290万人のうち、65歳以上が60%を占めているとか」
    「この290万人は、殆どが専業農家らしい。総数では780万人位かな」
ピー  「290万人と言うと、1960年当時の専業就農人口の2割だね」
パパ 「よく知っているね。問題は、現在65歳以上の人が今後10年間で
    離農して行くと言うことらしい」
ピー  「農業の現状からして、新規就農者は極僅かだろうしね」
パパ 「単純計算では、10年後の就農人口が110万人位になっちゃう」
    「政府は、食料自給率60%を目標にすると言っているが~・・さて?」
ピー  「カロリーベースで60%だろ。パパが(その18)で、カロリー値を
    後進国並に下げれば、食料自給率はもう少し上がると言っていたね」
パパ 「で、10年以内に新規就農者を増やさないと駄目なんだけどな~」
ピー  「鳩やん、どうすんだろ?」
パパ 「鳩やんも赤松口蹄も仕事が遅いからなぁ」
ピー  「でも、外遊は早い」
パパ 「外遊だけ政治主導になっちょるね」
ピー  「閣僚が、官僚に何をどう指示すれば良いのか分からないんだね~」
パパ 「ま、日本の農業は、大規模化で生産性を向上するか、徹底した
    小規模農家の保護策しかないね」
ピー  「大規模化って必要なの?」
パパ 「外国の安い農産物に対し、コストを下げる必要があるからさ」
ピー  「輸入した方が安いから、日本の農業が問題になってくるんだね」
パパ 「農業鎖国をすればそれで済むが、そんなことは非現実的だ」
    「自給率から言って、60%の国民が餓死する」
ピー  「近代農業は、投下エネルギー1に対して0.1の収穫しか見込めない
    とか?」
パパ 「農業の石油依存だと言うんだろ」
    「エネルギー効率の問題を持ち出しても、食えなきゃ~ねぇ」
ピー  「なるほど、それが基本か」
パパ 「何よりも、非自給である60%の国民の食料確保を優先しないとね」
    「それには量も必要だし、輸入に頼るしかない」
ピー  「人間が多いの?」
パパ 「国家を維持していくには、どの国も非農業従事者が必要だよ」
ピー  「(その18)でも言っていたね」
パパ 「国民皆農だとそんなコスト計算は不要だが、日本の耕作面積から
    言って3000万人しか食えない」
    「この点から言えば、福岡正信氏の国民皆農主義は、極めて無責任
    だと思うがねぇ。9000万人を餓死に追い込む」
ピー  「そりゃー、考えものだ。原始共産主義のポルポト政権と同じになる」
パパ 「しかしね~、実は、食料自給には少子化というカラクリがあって、
    将来、日本の人口は6000万人に減少すると言う予測もある」
ピー  「ん? 自給自足が可能じゃないの?」
パパ 「可能性としてはね。大きな声では言えないが・・・」
ピー  「う~ん・・・?、それで、生産性向上の策とは?」
パパ 「大規模耕作地で、単位面積当たりの労働力投入量を下げるんだ」
    「現代版のプランテーション農業化だよ」
ピー  「日本農業のソフホーズ・コルホーズ化? それとも人民公社化?」
パパ 「ちゃう」
ピー  「あのさ、中国の大寨(だいさい)で、社会主義農業が大成功したと
    聞いていたけど、それはどうなの?」
パパ 「あぁ~、毛沢東が、農業は大寨に学べ、と言っていたスローガンね」
    「あれ嘘だったんだ。学ぶものなんか、な~んも無かったらしい」
    「中国の近代化で、そういう事が次第にバレてきたんだな~」
ピー  「なぬ?」「当時、紅衛兵が偉く自慢してたぞえ」
パパ 「人口500人程の村に、党幹部の肝いりで物凄い物資と労働力を投入
    し、あたかも大成功したように見せかけた宣伝だったんじゃよ」
ピー  「ほと、革命精神の高揚に使ったのか~。社会主義国らしいのぉ」
パパ 「はは、社会主義の非効率な農業集団化組織は機能しないからね~」
ピー  「だからどの社会主義国の農業も、失敗続きで衰退したのかぁ」
パパ 「で、プランテーション農業だが~・・・」
    「大規模工場生産方式の導入で、生産性向上とコスト削減を狙い、
    農業の国際競争力を高めようということさーね」
ピー  「農業の企業化だねぇ」
パパ 「植民地のプランテーション農業は現地人をこき使ったが、現代は
    機械化で対処する」「つまり、方式だけを取り入れるのさ」
    「それと、飼料穀物も大規模に生産し、酪農の飼料輸入量の低減を
    図り、乳製品のコスト削減も同時に行えばエエ」
ピー  「資本と労働の集約化だねぇ」「日本農業の生き残り策の一つかぁ」
    「それをどのように行うかが、赤松口蹄の役目なんだね~」
パパ 「日本で農業の大規模化を推進する場合、農地法の更なる改正が
    必要 だよ」
    「例えば、農地の売買はとても複雑で承認に時間が掛かる」
    「日本で最後の聖域市場だ。その辺りの規制緩和をする必要がある」
ピー  「農業の高コスト体質を低減するには、連続した大規模農地が必要
    なのかぁ。それを法律で可能にするんだね」
パパ 「まぁこれは、かつて英国で起こったエンクロージャーのようなもの
    だねぇ」
ピー  「エンクロージャー?。昔、社会科で習ったような・・・」
    「でもさ、農村票を囲い込んでいる小沢どんが法改正に踏切るかな?」
パパ 「その観点からすれば、無理だな」 「それに、農家の個別補償は、
    小規模農家を票に取り込む政策だからねぇ」
    「大規模化は想定外だと思える」
ピー  「日本は、小規模兼業農家が多いらしいから、物凄い票田だ」
パパ 「去年、農政の専門家と戦後日本の農地改革について話したが、
    競争力 の観点から言えば、逆行する政策だったと言っていたね」
ピー  「農業競争力の問題か~。だけど、農地改革は、日本の民主化に
    おいて は大いに貢献した政策だったと習ったよん」
    「それで、一方の小規模農家に対してはどうなん?」
パパ 「小規模農家を守るには、WTOを舞台に交渉する必要があるのだ
    けれど、 赤松口蹄に出来るかなぁ?」
ピー  「WTOって?」
パパ 「自由貿易体制を基本とする世界貿易機関だ」
ピー  「すると、農産物の関税は、WTOで交渉するんだね」
パパ 「現在、農産物の輸入は、関税が無いか若しくは低関税になっている」
    「しかし、米・小麦・乳製品については一定水準の関税を掛けている」
ピー  「どうしてそうなっているの?」
パパ 「日本の場合、小規模農家の生産性が低いから、国際競争力に劣る」
    「つまり高コスト体質なんだ。それで関税によって内外価格差を無くし
    ているのさ」
ピー  「すると、公平な競争を促すため、世界から低コスト体質への改善圧力
    と市場開放を迫られるんじゃない?」
パパ 「日本は、国土の急峻さと狭小さを理由に掲げ、WTOの市場開放圧力
    に抗している」
ピー  「その条件格差を、関税でもって是正しているのかぁ」
パパ 「そういうこと。その関税率をウルグアイ・ラウンドで、やっとこさ
    合意したんだ」「でも何時までツッパッてられるかだねぇ」
ピー  「関税を撤廃すればどうなるの?」
パパ 「国産より遥かに安い農産物が無制限に入ってくる」「しかしこれは、
    食料安保上も問題だし、第一、日本の農家が壊滅する」
ピー  「先ほどの就農者290万人が、失業者として溢れるのかな?」
パパ 「更に、食料自給率が現在の40%から12%に激減するという」
ピー  「して、日本の手立ては?」
パパ 「食料安全保障の見地から考えねばならないが、選挙の票しか頭に
    ない 小沢どん政権ではね~、'?'としか言いようが無い」
ピー  「小沢どん政権に、日本の将来を託してええのか知らん?」
パパ 「ま、WTOの農業交渉にあたり、担い手の育成、国産品の高付加
    価値化、 国際競争力強化等の構造改革を謳ってはいるがね~」
ピー  「WTOから脱退すればいいじゃん」
パパ 「そらあかん!」「日本は、貿易立国だ。食料不足60%分の輸入
    代金を 工業製品の輸出で賄っている」「それら工業製品の関税も
    WTOの舞台 で決めるから、脱退すれば貿易交渉が出来ないよ」
ピー  「そうか~、60%分の食料輸入が止まれば、人口の60%が飢え死に
    する と いうことかぁ」
パパ 「極論すればね」
    「だから、のらりくらりと交渉を継続せねばならないのさ」
ピー  「時間稼ぎだね」「ちゅーことは、日本の農業は当面現状のままだ」
    「日本の就農人口が減少するなら、おいらも農業をして見ようかな~」
    「ほら、明るい農村って言うじゃない」
パパ 「パパの友人が、明るい農村暗い付き合いと言っちょった」
    「ほほ、ピートが農村社会に溶け込めるかな~? ラブだしなぁ・・」
ピー  「おいらのようなラブラドールじゃ駄目なの?」
パパ 「いやさ、ピートの顔は、日本の農村風景にマッチしないんだよね」
    「柴犬君とか紀州犬君とかでないと」 「そーいう犬種が日本の農村に
    似合うんだよなぁ。名前も太郎とかさ」
ピー  「なんじゃそれは?」
パパ 「次回は、日本の農村社会について話そう」
ピー  「おいらが溶け込めるように頼むよ」

2010年5月12日水曜日

ピートとパパの会話(その100 Three Dog Night)


パパ 「昨日、ワシが昼寝をしておったら、勝手に入り込んできたろう」
ピー  「雨の日は昼寝に限るけんね」
    「上の写真、パパとおいらと、他にも二つの顔が見えちょるね?」
パパ 「この写真から、ある音楽を連想してみよう~? 分かるかな。ふふ」
ピー  「子守唄かい?」
パパ 「この状態をThree Dog Nightと言う」
ピー  「Three Dog Night??、意味不明じゃねぇ」
パパ 「オーストラリアの原住民、アボリジニの風習で、寒い夜は三匹の
    犬と寝れば暖かいという意味じゃ」
    「で、上の写真は、それを体現した状態であ~る」
ピー  「いつもの如く訳が分からんが~・・・」
    「Dogが複数形になっちょらんぜよ」
パパ 「細かいことはよろしい」
ピー  「して、音楽との関係は?」
パパ 「バテレンのロックグループが、このThree Dog Nightという風習を
    自分達のバンド名にしたんだ」「命名の経緯は不明じゃ」
ピー  「文字を並べただけで、熟語にも何にもなっとらんね」
    「ま、おいら達の体温は38度だから、くっつくと温かいんだろうね」
パパ 「このThree Dog Nightをエスキモーの風習だと言っている人も
    いるが、 これは間違いで、正しくはアボリジニの風習だよ」
ピー  「ほんで、どんな音楽なの?」
パパ 「では、アメリカのロックバンドThree Dog Nightの曲を聴いてみよう」
    「1970年にビルボード1位となったママ・トールド・ミーだ」


   
     「続いてオールド・ファンションド・ラブ・ソング」


ピー  「ほほう、訳のわからん昼寝が音楽に結びついちょーる」
パパ 「キャンプ好きの人は、一度Three Dog Nightをやってみると、
    その暖かさが分かるよ。ヒヒ」     

2010年5月8日土曜日

ピートとパパの会話(その99 教育と組合Ⅳ)


パパ 「さて、教育と組合の続きをやろうか」
ピー  「それより鳩やんの沖縄は大丈夫なんかいな?」
パパ 「いやはや何とも・・」
    「それで~、先生の組合じゃが~」
ピー  「その前にさ、どうして日本の子供の学力が低下してきたの?」
パパ 「うーん、どうしてだろうねぇ?」
    「では、公立の小中高に焦点を当てて考えて見よう」
ピー  「その鍵は、公立学校にあるの?」
パパ 「パパと(その89)で労働価値説の話をしたよね」
ピー  「ああ、先生の組合が、教職というのも一般労働者と同じ立場で
    あ~る、と定義付けた内容だったね」
パパ 「おっ、ちゃんと覚えてるね」「これが~、学力低下の一つの要因
    かも知れない、とパパは考えちょ~るのよ」
ピー  「ん?、先生の組合と学力低下の関係・・?」
パパ 「あんね~、学力を向上さす教育は、労働強化に繋がるんだ」
    「どこかの国有鉄道の組合と同じような考え方ざんす」
ピー  「ん?、生徒の学力を向上さすのが、先生の役目なんだろう?」
パパ 「それと、お上の言う学力向上は、大資本に奉仕するものだという
    考え方が先に立つんじゃないかと。イデオロギーから言ってね」
ピー  「まーた、イデオロギーかい」
パパ 「先生の組合は~、階級闘争と権利主張を表明しているからねぇ」
    「だから、どうしてもそちらの意識が強くなるんじゃないかなぁ」
    「お上からの学力向上というお達し教育は、まかりならん。とね」
ピー  「それって推測の域?」
パパ 「先生の組合は、この労働強化とイデオロギーの観点から、
    学力向上教育にクエスチョンだったんじゃないかな~・・と」 
ピー  「それが内実?」「それで子供の学力が低下したと?」
パパ 「極端な言い方をすれば、公立学校の先生は、職務が適当でも
    給料は保障されているときたもんだ」
ピー  「その言い方は、根拠が不明確で客観性に欠ける」
パパ 「しかし、教育に一生懸命取り組んでいる先生がいるのも事実だ」
    「そういう先生は、組合と一線を画している」
ピー  「ははぁ~、組合の組織率に関係してくるね」
    「先生の組合方針は、世間の実情と合わなくなってきたのかな?」
パパ 「んで、学力低下を恐れた父兄は、子供を私立学校へ通わすことに
    したんだ」「これは、1980年から実施されたゆとり教育に符合する
    動きだ」「ま、進学校の誇張宣伝も無きにしも非ずだが・・」
ピー  「どうしてまた私学に?」
パパ 「私学だから、校内暴力なんかも徹底的に排除されるし、何よりも
    教育を受ける権利が阻害されない」
ピー  「ほほう、生徒による授業妨害も無い?」
パパ 「それに私学は民間経営だから、現実に沿った教育内容だよ」
    「但し、私学によっては成績優先だから、体育会系のクラブ活動を
    あまり推奨しないところもある」
ピー  「それは問題だね。つまり、猛烈な進学校化で生徒を集めるんだ」
パパ 「しかし、私学の先生は、実績を要求されるから大変なんだよん」
    「身分保障が、公立学校の先生と根本的に違う」
ピー  「ほと、公立学校の学力は益々低下し、私学の学力は向上する?」
パパ 「んだ、その頃から私学の中高一貫教育の人気が高まったんだ」
    「何故なら、高校受験が無い分、ゆとり教育も可能だし、進学する
    上での充分な勉強時間も取れるということさーね」
ピー  「なるほどね~」
    「最近、公立で中高一貫の実験校を作ったのも、そのためか~」
    「私学では、幼稚園から大学までエスカレーター式ってのもあるね」
パパ 「んだんだ」
ピー  「ほと、先生の組合が主張している受験競争を排除してこそ、ゆとり
    教育が可能だという論理を証明したようなものじゃない?」
パパ 「そうだね~、古臭いイデオロギーを排除すれば、先生の組合が言っ
    ていることは、基本的に正しいと認識し得る」
ピー  「だろう、おいらはそういう気がするけどね~」
パパ 「しかし、公立の中高一貫校であっても、学力向上を目指す以上、
    それは受験のための学校だね~」
ピー  「公立学校が私立学校と競争するの~?」
パパ 「だけどね~、私立進学校の場合、教育進度は公立より1年先を
    走っているんだな~」
    「高校2年で全ての学科を終了し、最終年は受験勉強に専念する」
ピー  「なんとまあ」
パパ 「その現実に、普通の公立学校の先生が耐えられるかどうかだ」
    「結果を求められるから、凄い労働強化になるよ」
    「謂わば、公立の教育現場に成果主義を取り入れるのに等しい」
ピー  「そりゃ~、先生の組合方針では、とても無理じゃわね~」
パパ 「しかも、文部科学省の指導要領では、私学と競争するのは難しい」
    「例えば、公立の小6は方程式を教えないが、進学塾では教える」
ピー  「フェアじゃないねー」
パパ 「事実、私学の中学受験では、算数の問題を皆が方程式を使って解い
    ているよ」「解への到達時間が短縮できるからさ」
    「悲しいかな、それが現実なんだな~」「それに、私学によっては
    土曜日も授業がある」
ピー  「おっそろしいな~」
パパ 「教育の規制緩和を行うと、物凄く伸びる生徒が出てくるのも事実だ」
ピー  「それで一部の公立学校では、塾の先生を招いて学力向上の教育
    方法 を学んでいるのかぁ」
    「その分、教育格差も出てくるんじゃない?」
パパ 「その教育格差をどうするかは、実は政治経済の問題なんだなぁ」
ピー  「でも何か矛盾を感じる」
パパ 「で、文部科学省も指導要領の見直しを始めたんだが・・・」
    「円周率を再び3.14で計算するとか、小学校低学年での社会と理科を
    再分離するとかさ」
ピー  「もし、先生の組合が受験競争は駄目だと言うなら、社会の仕組みを
    変えることから始めなければならないということかねぇ~・・」
パパ 「そうだよん、先生の組合は、その仕組みを社会主義化という概念で
    捉えているのさ」
ピー  「どうして社会主義の教育が良いの?」
パパ 「社会主義は、全てが平等という考え方だ。競争する必要が無い」
ピー  「いいじゃんか~。本来のゆとり教育が行える」
パパ 「それが迷信なのさ~」「前橋汀子が留学先のソ連で、この国で
    落ちこぼれると生きていけない、と言っていたじゃないか」
ピー  「おえ! 資本主義よりも厳しい競争社会だ」「だからソ連は、国際
    音楽コンクールで上位を占めることが出来たのかぁ。必死なんだ」
パパ 「そうだよ~、学力の向上を目指すには、どうしても競争が必要なん
    だなぁ」「だから、ゆとり教育の見直しが始まったんだわさ」
    「特に経済のグローバル化以降、それが顕著になってきたようだ」
ピー  「う~ん、教育問題の本質は、経済問題?」
パパ 「であれば、政治がそれを解決しないとね」
    「先生の組合も国歌・国旗に反対しているうちに、世の中から置いて
    きぼりにされちゃうぞ~」
ピー  「すると、先生の組合が提唱し、中教審の答申で文部科学省が推進
    してきたゆとり教育や絶対評価も、あまり意味が無くなってきたの
    かなぁ」
パパ 「何れにしろ教育は、国家の根幹だよ」
    「他にも重要な教育要素があるんだが~、またの機会に話そう」

2010年4月29日木曜日

ピートとパパの会話(その98 小沢が解る?⑭)


ピー  「ん? 最低裁判所の写真だね~ ↑」
パパ 「最高裁判所だよ~」
ピー  「へ? 今回は、またまた小沢どんシリーズかい?」
パパ 「いい加減に幕としたいんだが、小沢どんが何かと話題を提供
    してくれるからねぇ」
ピー  「今回は何?」
パパ 「検察審査会だよ」
ピー  「おー、小沢どんの天敵だね」
パパ 「昔、パパは、検察審査会の審査員をしていたことがあるんだ」
ピー  「ほえ、渦中の人だね」「検察審査会とは、どういう組織なん?」
パパ 「検察が不起訴にした事案を、不服申し立てによってもう一度審査
    し、起訴か不起訴かを決める会だ」
    「真の目的は、検察への権力介入を阻止することが狙いだ」
ピー  「起訴・不起訴における検察判断の妥当性を審査するのかぁ」
    「またどうして検察審査委員をしていたの?」
パパ 「'くじ' で勝手に当たったんだ」「それで裁判所に出頭せよと」
    「で、最初に裁判制度や法律用語の説明を一通り受ける」
    「半年間で何件かの審査をし、その内、不起訴相当が1件あった」
ピー  「どういう判定の仕方をするの?」
パパ 「裁判所の職員から事案の説明を受け、審査委員で議論を行う」
    「場合によっては、検察や当事者からも説明を受ける」
ピー  「ほと、法律に沿った専門的見解を出すのじゃなく、正に民意による
    判定だね」
パパ 「法律に沿った判決は、裁判官が出すんだよん。そこを間違っては
    いけない」「マスコミが、検察審査会の判定を、あたかも判決の
    ように報じるのは問題だねぇ」
ピー  「国民は、検察審査会を権力だと勘違いする?」
パパ 「そうだよん。検察審査会は、司法の独立を守る民主主義の一制度に
    過ぎない」
ピー  「なるほど~、検察の不起訴は、国家権力の介入によるものかも知れ
    ない?。 だから今一度、グレー部分を民意でもって判定しようと」
パパ 「裁判という過程を経る前に、検察だけで起訴・不起訴を決めるのは、
    公正さを欠いている場合もあり得るということだ」
ピー  「検察の政治的判断や司法への権力介入の排除か~・・・」
パパ 「例えばさ、今回の小沢どんの一件でも、宗男ハウスが検察審査会の
    判定や検察の判断に対して批判を繰り返しているが、これこそ司法
    の独立に対する権力の介入だと、パパには思えるねぇ」
ピー  「そうか、自分達に都合が悪いから介入するのか~」
パパ 「民意は介入させないが、自分達は司法に介入する」
    「これは独裁国家だ」
ピー  「何もなければ、裁判で正々堂々と主張すれば良いんだね」
パパ 「そうだよん、検察審査会の判定なんか、何も気にする事はない」
ピー  「悪さをしているから気になるんだなぁ」
パパ 「しかし、日本は法治国家だから、法に基づいての司法判断をする」
    「だから、必ずしも大衆が要求する判決にならない場合もあり得る」
ピー  「は~ん、パパが(その79)で言っていた大津事件がいい例だねぇ」
パパ 「覚えていてくれはりましたか」
ピー  「でも、宗男ハウスは、何をそんなに必死になっているの?」
パパ 「そら、宗男ハウスは、小沢どんにくっ付いていないと自分の存在
    が無くなるからさ」「自民からはホカされたし」
    「それに、小沢どんと同じ土着の利益誘導型政治だから、お互い気も
    合うんじゃないかな。ヒヒ」
ピー  「小判ザメだね。小沢どんが居なくなると困るんだ」
パパ 「さてと、今回の一件を少し推論して見ようか」「あくまで推論だよ」
ピー  「はいはい、推論ね」
パパ 「先ず、小沢どんを不起訴にした検察当局の考え方じゃが~」
    「起訴出来ないことは無いが、相手が政治的巨悪であるが故に、今の
    時期に検察が起訴すれば、司法権力による政権潰しだと批判されか
    ねない」「ここは、民意に任した方が検察としても得策であると・・」
ピー  「その推論からいくと、検察は審査会を利用したんだ」
パパ 「これは、週刊誌的主観だからね。フフフ」
    「まぁ、世論の状況から言って、検察は不服申し立てが出るのを承知
    していた筈だがね。これ推論だしね。フフフ」
ピー  「これからどうなるのだろう?」
パパ 「司法に任せておけばいい」
ピー  「宗男ハウス達が、新たな法律で検察審査会を無くすとか?」
パパ 「そこで機能するのが、内閣法制局じゃが~、小沢どんが、これを
    無力化したからな~」
    「仮に、小沢どんが嫌疑不十分になっても、民意として選挙で判断
    すればいい」
ピー  「だから~、小沢どんは選挙重視なんだねぇ」「自分の為にだけある
    民主主義か~・・・」
パパ 「結局薬局、法律の不備があるから、司法の場に民意を反映さす必要
    が生じてくる」
ピー  「ほう、政党助成金をネコババしても、罰する法律が無いとかだね」
パパ 「そうそう、これは、法律施行前に当然予想された事だが、誰か都合
    の悪い有力者がいて、制限を設けられなかったんだ」
ピー  「法の番人も甘かった?」
パパ 「さぁ、どうかな?。 ま、都合の悪い人の意見が通ったんだね~」
    「こういう事があるから、検察審査会のような民主主義を守るための
    機能が必要になってきたのさ」
ピー  「小沢どん達は、それをどんどん壊して行ってるんだね」
    「彼らを民意で監視する法的機能も必要だなぁ」

2010年4月28日水曜日

ピートとパパの会話(その97 音楽とアイデンティティ)


・・・・・・・・・・・黒服は武満徹・・・・琵琶の鶴田錦史

パパ 「しゃてと、今日は、音楽とアイデンティティについて話そう」
ピー  「アイデンティティ?」
パパ 「アイデンティティとは、心理学で自己同一性と言う意味らしい」
    「だけど、これでは何のことかさっぱり分からん」
ピー  「分からん事を話すの?」
パパ 「その国の人達が、一様に持っている固有の深層意識と言うか、
    同一性の文化ちゅーか、それがどのような形で音楽に反映され
    ているのかを聴いてみようと」
ピー  「はーん、ナショナル・アイデンティティだね」「民族意識のような
    ものか」「ほんで何なの?」
パパ 「いやさ、上海万博のテーマソングが岡本真夜の曲だったろう」
ピー  「あ~、おっ母が、上海パクリ博とか上海パク博とか言っていたね」
    「岡本真夜は焼け太りだと悪口を言う人もいるみたい。へへ」
    「でも、上海万博当局は、その後音信普通とか。パクリ天国、著作権
    無視の中国らしいね~」「万博を開催するには数十年早い?・・」 
パパ 「中国には、良い曲がいっぱいあるのに何故真似たのだろうと思う」
ピー  「そう言えばそうだね。支那の夜とか、上海の花売り娘とか」
パパ 「それは、日本人の曲! 西條八十と上原げんと,の作曲だよ」
    「で、盗作と言われている件だが、中国は西洋的な近代様式に、
    まだまだ慣れていないように思える」
ピー  「中国は、万国博という国際博覧会で、近代国家になったぞ、と世界
    に見せ付ける必要があるのだろ?」「だから万博を開催するのじゃ
    ないの?」「それがパクリ博? 分からんの~」
パパ 「だけど、頭の中が近代化に追い付いとらんから、今様の独自性を
    表現した曲が出来ないんだなぁ」「かつて、日本もそうだった」
ピー  「それで、岡本真夜の曲を?」
パパ 「近代国家の文化様式を習得し、それを国民意識として先進国レベル
    にまで高めるには、何十年という歳月が掛かる」
    「それよりも、中国のナショナル・アイデンティティを前面に出す
    方が、自然で良いと思うがねぇ」
    「例えば、これなんか良いんじゃないかな~」
http://www.youtube.com/watch?v=gDVUOzTYDOQ&feature=related
    「二胡なんかも中国のナショナル・アイデンティティだよ」
http://www.youtube.com/watch?v=6k-9qqKxcrA&feature=related
ピー  「お~、中国の音曲だ」
パパ 「国の文化によって、メロディも独特になるから面白い」
    「それでさ~、何故民族によってメロディが異なるのかという疑問が
    生じる・・」「で、少しだけその理由が分かった」
ピー  「何か民族の持つ根源的なものでも?」
パパ 「その国独特のメロディは、宗教にそのルーツがあるのかも知れない、
    とパパは思っちょるのよ」「それでは、中東の一例を」
http://www.youtube.com/watch?v=F--JD9LGFQY&feature=related
    「この聖なるコーランから中東独特の音曲が生まれた」
http://www.youtube.com/watch?v=ac8TgmYv_iQ&feature=related
ピー  「お~、これは明解だねぇ」「日本ではどうなの?」
パパ 「日本には二つの流れがある」「仏教と神道だ」
    「では仏教の音曲から聴いてみよう。先ず御詠歌ね」
http://www.youtube.com/watch?v=f8QDKMqRA6E&feature=related
    「これが民謡に繋がる。津軽あいや節を聴いてみよう」
http://www.youtube.com/watch?v=zUBFBOnqAPE&feature=related
    「そして、演歌へと発展していく」
http://www.youtube.com/watch?v=ovxDu-TDyjE
ピー  「何かこじ付けじゃないの~」
パパ 「次に神道の音曲を聴いてみよう。古代の音色だよ」
http://www.youtube.com/watch?v=UnptWMKEA4I&feature=related
    「この音曲様式が、祇園精舎、那須与一へと繋がる」
http://www.youtube.com/watch?v=xyUVT8sas6g
http://www.youtube.com/watch?v=1zsJXncKieg&feature=related
    「近代に入って、宮城道夫が表現すると、こうなる」
http://www.youtube.com/watch?v=X0OYz3qz28A&feature=related
    「そして、美空ひばりへ」
http://www.youtube.com/watch?v=83wt-YkKC9w
    「この頃になると、仏教と神道の音曲が統一され、国民歌謡となる」
ピー  「こじ付けのこじ付けだなぁ」
パパ 「んでじゃ、この日本民族の神道音曲を現代音楽に取りいれた人
    が、世界的に有名な武満徹という作曲家だ」
ピー  「ほう、現代音楽ね~」
パパ 「武満徹は貧乏でさ~、紙にピアノの鍵盤を描いて練習をして
    いたんだ」「それを黛敏郎が見かねてピアノを贈ったのさ」
ピー  「ええっ? 紙の上でピアノを練習していた~?」
パパ 「それに10代の頃は、進駐軍キャンプで賄いをしながらジャズを
    聴いていた」「この人は、中学を出て直ぐ働いたから、音楽は全て
    独学で勉強したんだ」
ピー  「ほう、面白い作曲家だねぇ」
パパ 「この辺りは、池辺晋一郎の回顧談を読むと面白いよ」
ピー  「ほう、色んな音楽家と繋がりがあるんだ」
パパ 「武満徹は、ストラヴィンスキーに見出されたんだよん」
    「では、武満徹のノヴェンバー・ステップスを聴いてみよう」
http://www.youtube.com/watch?v=I9BqooZOJnY
    「この曲で琵琶を弾いているのが、鶴田錦史だ」
ピー  「写真の人だね」
パパ 「おじさんのようだけど、この人は女性なんだ」
    「この曲は、死の音階を用いているねぇ」「夜の墓場でライブを
    すれば、物凄い臨場感を演出できる」
ピー  「ゲゲゲの鬼太郎だ。気持ちわる」
パパ 「武満徹の音楽は、西洋と日本固有の神道的潜在意識の
    融合だなぁ」
ピー  「どうして融合させたの?」
パパ 「武満は、西洋音楽嗜好だ」「だけど、西洋音楽の中に自分の
    アイデンティティを見つけられなかったんだなぁ」
ピー  「つまり、西洋音楽は、西洋人の感性でしか表現できない困難さが
    あるということ?」「技術的な問題では無さそうだね」
パパ 「そうなんだ。この民族固有の文化的感性は、生れ育った地で脳内に
    インストールされるんだなぁ」「三つ子の魂百までだ」
    「武満は、早くからその事に気付いていた、とパパは推測しちょる」
ピー  「それで、西洋音楽に琵琶や尺八の音色を取り入れ、日本人の感性を
    表現した?」「そこにしか身の置き場がないんだなぁ」
パパ 「だけど、経験したことの無い和楽器の響きで攻められると、西洋人
    はコロっと参るんだな~」
ピー  「ビートたけしがフランスで評価されるのも、そういう感覚?」
パパ 「フランス人はゲテモノ食いだ」「他の西洋諸国ではイマイチだよ」
    「故岩城宏之という指揮者が、西洋の曲をやる時はビフテキを食う
    と言っていた」
ピー  「ビフテキから西洋人固有の感覚を吸収し、指揮に生かすの?」
パパ 「本人は、そのつもりだと言っていた」「彼は武満が好きでさあ、
    故武満徹の集大成をやると張り切っていたが、その彼も他界した」



ピー  「思い出したけど、以前のジャズシリーズ(その6)で秋吉敏子の
    ことを話したろう。その時も似たような事を言ってたよね」
パパ 「さて、もう少し話を進めよう」
    「黒人ジャズピアニストのバド・パウエルが作曲したテンパス・
    フュージットを聴こう」「ラテン語で '時は過ぎ行く' という意」
http://www.youtube.com/watch?v=yrO45Tzvhxg
    「更に、ビ・バップの大御所、チャーリー・パーカーのKoKo」
http://www.youtube.com/watch?v=i_ZajJd-1kY
ピー  「凄いね」
パパ 「この黒人の感性は、一体どこから生まれるのだろうね?」
ピー  「抑圧に対する反動かなぁ?」
パパ 「ロシアの作曲家は、広大な地平線を表すような壮大さと、ジプシー
    の持つ物悲しさを同時に表現しているように感じるよ」
   (ラフマニノフ ピアノ協奏曲第二番)
http://www.youtube.com/watch?v=GXt_h1k5ddA&feature=related
   (チャイコフスキー ピアノ協奏曲第一番)
http://www.youtube.com/user/ValentinaLisitsa#p/u/99/u62s3BYpOfk
ピー  「ロシアの広大な自然から受ける感性だ」
パパ 「でも、ロシアから離れると、曲も都会人好みに洗練され、情緒的な
    作風になる」
   (ショパン ピアノ協奏曲第一番)
http://www.youtube.com/watch?v=nBGbRbUwcnI&feature=related
    「では、東ヨーロッパの哀愁を聴いてみよう」
   (ドヴォルザーク スラブ舞曲第二集72-2)  
http://www.youtube.com/watch?v=faPf92gsGgo
ピー  「チェコ国民学派だね」
    「いろいろ聴いたけど、民族固有の音色ってものがあるのか~」
    「これは、標題音楽としての聴き方だねぇ」
パパ 「その固有の音色が何に基づいているのか?、どこから来るのか?」
    「精神の感性・感受性は、何に影響されるのか?」
    「自然か、宗教か、土着の文化か、古代の文明か、興味津々考え中」
ピー  「ヨーロッパはネアンデルタール人やクロマニヨン人の生活まで
    遡り、北東アジアは北京原人、南方はジャワ原人まで遡って
    考察する必要があるよ」
パパ 「遡りすぎだ」
    「最後に、音楽と共に八ヶ岳の風景を楽しもう」
http://www.youtube.com/watch?v=v7Ca8tBgBHQ&feature=related