2010年5月8日土曜日

ピートとパパの会話(その99 教育と組合Ⅳ)


パパ 「さて、教育と組合の続きをやろうか」
ピー  「それより鳩やんの沖縄は大丈夫なんかいな?」
パパ 「いやはや何とも・・」
    「それで~、先生の組合じゃが~」
ピー  「その前にさ、どうして日本の子供の学力が低下してきたの?」
パパ 「うーん、どうしてだろうねぇ?」
    「では、公立の小中高に焦点を当てて考えて見よう」
ピー  「その鍵は、公立学校にあるの?」
パパ 「パパと(その89)で労働価値説の話をしたよね」
ピー  「ああ、先生の組合が、教職というのも一般労働者と同じ立場で
    あ~る、と定義付けた内容だったね」
パパ 「おっ、ちゃんと覚えてるね」「これが~、学力低下の一つの要因
    かも知れない、とパパは考えちょ~るのよ」
ピー  「ん?、先生の組合と学力低下の関係・・?」
パパ 「あんね~、学力を向上さす教育は、労働強化に繋がるんだ」
    「どこかの国有鉄道の組合と同じような考え方ざんす」
ピー  「ん?、生徒の学力を向上さすのが、先生の役目なんだろう?」
パパ 「それと、お上の言う学力向上は、大資本に奉仕するものだという
    考え方が先に立つんじゃないかと。イデオロギーから言ってね」
ピー  「まーた、イデオロギーかい」
パパ 「先生の組合は~、階級闘争と権利主張を表明しているからねぇ」
    「だから、どうしてもそちらの意識が強くなるんじゃないかなぁ」
    「お上からの学力向上というお達し教育は、まかりならん。とね」
ピー  「それって推測の域?」
パパ 「先生の組合は、この労働強化とイデオロギーの観点から、
    学力向上教育にクエスチョンだったんじゃないかな~・・と」 
ピー  「それが内実?」「それで子供の学力が低下したと?」
パパ 「極端な言い方をすれば、公立学校の先生は、職務が適当でも
    給料は保障されているときたもんだ」
ピー  「その言い方は、根拠が不明確で客観性に欠ける」
パパ 「しかし、教育に一生懸命取り組んでいる先生がいるのも事実だ」
    「そういう先生は、組合と一線を画している」
ピー  「ははぁ~、組合の組織率に関係してくるね」
    「先生の組合方針は、世間の実情と合わなくなってきたのかな?」
パパ 「んで、学力低下を恐れた父兄は、子供を私立学校へ通わすことに
    したんだ」「これは、1980年から実施されたゆとり教育に符合する
    動きだ」「ま、進学校の誇張宣伝も無きにしも非ずだが・・」
ピー  「どうしてまた私学に?」
パパ 「私学だから、校内暴力なんかも徹底的に排除されるし、何よりも
    教育を受ける権利が阻害されない」
ピー  「ほほう、生徒による授業妨害も無い?」
パパ 「それに私学は民間経営だから、現実に沿った教育内容だよ」
    「但し、私学によっては成績優先だから、体育会系のクラブ活動を
    あまり推奨しないところもある」
ピー  「それは問題だね。つまり、猛烈な進学校化で生徒を集めるんだ」
パパ 「しかし、私学の先生は、実績を要求されるから大変なんだよん」
    「身分保障が、公立学校の先生と根本的に違う」
ピー  「ほと、公立学校の学力は益々低下し、私学の学力は向上する?」
パパ 「んだ、その頃から私学の中高一貫教育の人気が高まったんだ」
    「何故なら、高校受験が無い分、ゆとり教育も可能だし、進学する
    上での充分な勉強時間も取れるということさーね」
ピー  「なるほどね~」
    「最近、公立で中高一貫の実験校を作ったのも、そのためか~」
    「私学では、幼稚園から大学までエスカレーター式ってのもあるね」
パパ 「んだんだ」
ピー  「ほと、先生の組合が主張している受験競争を排除してこそ、ゆとり
    教育が可能だという論理を証明したようなものじゃない?」
パパ 「そうだね~、古臭いイデオロギーを排除すれば、先生の組合が言っ
    ていることは、基本的に正しいと認識し得る」
ピー  「だろう、おいらはそういう気がするけどね~」
パパ 「しかし、公立の中高一貫校であっても、学力向上を目指す以上、
    それは受験のための学校だね~」
ピー  「公立学校が私立学校と競争するの~?」
パパ 「だけどね~、私立進学校の場合、教育進度は公立より1年先を
    走っているんだな~」
    「高校2年で全ての学科を終了し、最終年は受験勉強に専念する」
ピー  「なんとまあ」
パパ 「その現実に、普通の公立学校の先生が耐えられるかどうかだ」
    「結果を求められるから、凄い労働強化になるよ」
    「謂わば、公立の教育現場に成果主義を取り入れるのに等しい」
ピー  「そりゃ~、先生の組合方針では、とても無理じゃわね~」
パパ 「しかも、文部科学省の指導要領では、私学と競争するのは難しい」
    「例えば、公立の小6は方程式を教えないが、進学塾では教える」
ピー  「フェアじゃないねー」
パパ 「事実、私学の中学受験では、算数の問題を皆が方程式を使って解い
    ているよ」「解への到達時間が短縮できるからさ」
    「悲しいかな、それが現実なんだな~」「それに、私学によっては
    土曜日も授業がある」
ピー  「おっそろしいな~」
パパ 「教育の規制緩和を行うと、物凄く伸びる生徒が出てくるのも事実だ」
ピー  「それで一部の公立学校では、塾の先生を招いて学力向上の教育
    方法 を学んでいるのかぁ」
    「その分、教育格差も出てくるんじゃない?」
パパ 「その教育格差をどうするかは、実は政治経済の問題なんだなぁ」
ピー  「でも何か矛盾を感じる」
パパ 「で、文部科学省も指導要領の見直しを始めたんだが・・・」
    「円周率を再び3.14で計算するとか、小学校低学年での社会と理科を
    再分離するとかさ」
ピー  「もし、先生の組合が受験競争は駄目だと言うなら、社会の仕組みを
    変えることから始めなければならないということかねぇ~・・」
パパ 「そうだよん、先生の組合は、その仕組みを社会主義化という概念で
    捉えているのさ」
ピー  「どうして社会主義の教育が良いの?」
パパ 「社会主義は、全てが平等という考え方だ。競争する必要が無い」
ピー  「いいじゃんか~。本来のゆとり教育が行える」
パパ 「それが迷信なのさ~」「前橋汀子が留学先のソ連で、この国で
    落ちこぼれると生きていけない、と言っていたじゃないか」
ピー  「おえ! 資本主義よりも厳しい競争社会だ」「だからソ連は、国際
    音楽コンクールで上位を占めることが出来たのかぁ。必死なんだ」
パパ 「そうだよ~、学力の向上を目指すには、どうしても競争が必要なん
    だなぁ」「だから、ゆとり教育の見直しが始まったんだわさ」
    「特に経済のグローバル化以降、それが顕著になってきたようだ」
ピー  「う~ん、教育問題の本質は、経済問題?」
パパ 「であれば、政治がそれを解決しないとね」
    「先生の組合も国歌・国旗に反対しているうちに、世の中から置いて
    きぼりにされちゃうぞ~」
ピー  「すると、先生の組合が提唱し、中教審の答申で文部科学省が推進
    してきたゆとり教育や絶対評価も、あまり意味が無くなってきたの
    かなぁ」
パパ 「何れにしろ教育は、国家の根幹だよ」
    「他にも重要な教育要素があるんだが~、またの機会に話そう」

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