2010年6月24日木曜日

ピートとパパの会話(その105 ピートとパパの禅問答)


ピー  「前回、犬畜生という言葉は、仏教の六道という考え方から来てい
    ると言っていたね?」
パパ 「六道とは、仏教の言う迷いの世界で、天道・人間道・修羅道・
    畜生道・餓鬼道・地獄道を指す」「この内の畜生道は、人間以外
    の生物を指すんだ。従って、分類学上の家犬亜種も畜生道に入る」
ピー  「家犬亜種とは、おいら達の事かいな?」
    「それで、六道とは階級を表すのかい?」
パパ 「いや、人間の精神状態を表しているのさ」「まぁ、人間の持つ業
    を表していると言ってもいい。修羅場だとか、餓鬼になるとかさ」
    「仏教では、生前の行いによって、死後この内のどれかの世界に生
    まれ変わるとも説いている。四十九日目がそれにあたるんだ」
ピー  「ほと、犬畜生とは、おいら達犬を指すのじゃなく、人間の善悪の
    行為とその結果を指し示すんだね」「仏教の因果論だ」
パパ 「んだ、元々は人間に対する戒めの言葉だ」「これが本来の言葉の
    背景だが、犬や動物の行動を指す表現だと思っている人もいる」
ピー  「犬畜生は、仏教世界の言葉から来たのか~。確かに欧米文化圏
    には無い言葉だね~」
パパ 「畜生道とは、基本的に家畜を指し、本能だけの世界と解される」
    「この事から推察すると、仏教が興った当時、既に家畜を使った
    農耕や牧畜が行われていたと思われる」
ピー  「仏教の発祥は、紀元前5世紀だろう?」
パパ 「インドで都市国家が形成されたガンジス文明の頃だよ」
    「この時代に商工業が盛んとなり、貧富の差が拡大して社会不安も
    増大した」「銭と権力だけの世界になって行くんだ」
ピー  「その社会不安を取除くために、仏教の教えが必要だったのかぁ」
    「近代国家だと、社会保障の充実で対処するのだろうけど」
パパ 「んだ、じゃけん仏教は、人間の持つ生臭い世俗的な事柄を扱う
    のじゃよ」「信仰と言うより、当初は哲学のようなものだったと
    思われる。だから経典があるのさ」「仏教が学問的なのは、その
    ためだよん」「ウパニシャッド哲学もこの時代だ」
ピー  「神道が自然を対象とするのに対し、仏教は人間を対象とするんだね」
    「そういや~、古代国家成立以降の宗教には、殆ど経典があるね~」
パパ 「神道は元から信仰だが、仏教が信仰を伴うようになったのは、解脱
    修行の困難さからだと思う。生身の人間では難しいんだ」
    「ほんで、解脱したお釈迦さんを拝むことで、修行をしている事に
    しようと」
ピー  「そうして少しでも解脱に近付き、輪廻の苦から逃れようと?」
    「他力本願のようなものじゃんか~」
パパ 「それと共に仏教が次第に観念化され、信仰という形式を伴うように
    なったと、ワシは考えちょるのよん」
ピー  「う~ん、如何にして煩悩を消し去り、涅槃(ねはん)の境地に入るか
    だねぇ」「人々の社会不安の解消は、それしか無いのかな~?」
パパ 「当時はね。でも人間の煩悩なんて消滅しないんだ」「だから、仏教
    には、輪廻転生や色即是空という上手い思想があるのじゃよん」
ピー  「ん? 社会心理学におけるバイアスじゃんか」
パパ 「輪廻転生は、解脱を達成するまで、生れ変わりを何度も繰返すと
    いう意味じゃが~」「ややこしいものに生れ変わらないように、
    日頃から善行をしなさい、ちゅー意味合いも含まれている」
ピー  「ほ~、輪廻転生があるから、お寺が葬式を執り行うのか~」
    「でも、なして生れ変るんよ?」
パパ 「解脱して仏になれなかったからさ」「過去を御破算にして、元から
    人生をやり直すんだ。解脱への再チャレンジだね」「その為に生れ
    変るのさ」「何に生れ変るかは、前世での行いにかかっちょる」
ピー  「そうして煩悩を消去ることが出来れば、解脱を達成できるの?」
パパ 「そう、苦の輪廻からの脱出成功だ。もう生れ変る必要は無い」
ピー  「いちいち生れ変るのも面倒だわな」
    「そこに、御釈迦さんの仕掛けがあるのかぁ」
パパ 「だけど、犬が人間に生れ変われるとは聞かないなぁ。逆はある」
ピー  「おいらは、どうなるのよん?」
パパ 「解らん。 来世もまた犬かも知れない」
    「じゃが~、仏教の衆生(しゅじょう)という概念からすれば、
    動物も人間に転生可能だと解釈できる・・、かも知れない」
ピー  「他力本願寺ピート派の解釈かい、はは」「で、衆生とは?」
パパ 「これは、生物全般を指す概念だ。当然その中に人間も犬も含まれ
    ちょる」
ピー  「だけど、片方で優劣判定のような六道を説き、もう一方で衆生と
    いう生物共生を説くのはどうして? 矛盾するじゃん?」
パパ 「共生ではなく、共に存在するという解釈だよ」
    「六道とは、衆生に存在している人間界の業の尺度を計る物差しだ」
    「そうして転生の行先を指定される」
ピー  「ふ~ん、指定席かぁ」「しかし、尺度に畜生道を入れるのは、人間
    による優劣意識の現われだなぁ。正に人間主体で自然観が無い」
パパ 「これは、仏教が説く解脱に関係があると、ワシャ~考えちょるのよ」
    「つんまりぃ~、人間は仏になろうと自ら努力することが出来るが、
    犬や家畜は本能で生きているからそれが出来ない、という仏教の
    根本的な考え方というか~・・・」
    「これがっ、六道で人間と他の動物を分けている根拠じゃないかと」
ピー  「そこに、人間優位という意識の発祥源がある気がするなぁ」
    「六道とは~、人間の勝手な考え方だと思えるねぇ」
    「あのね~、おいら達は自然の行動様式に沿って真っ当に生きちょる
    んだ」「それを人間は本能と言う」
パパ 「仏教もそのように解釈しているよ。でも畜生道は苦であると説く」
    「使役されるだけで、救いが無いとの考えだ」
ピー  「そもそも人間の行為が問題だから、宗教で戒めねばならないのと
    ちゃう?」「おいら達に解脱は必要ないよ」
    「何故なら、本能という自然との一体感で生きているから、人間の
    ように現実が苦ではない。輪廻転生という概念の外においら達は
    存在しているんだ。だから仏教が教える無常の概念も必要ない」
パパ 「なるほど、苦の認識が存在しないんだ」
ピー  「苦があるとすれば、それは人間が畜生を支配している状態を指すの
    であって、人間の意識の果てに存在する」
    「おいら達の苦、即ち人間の存在だ」
パパ 「人間こそが苦をもたらす存在だと? だから人間と一緒に輪廻転生
    を繰り返す羽目になったと?」
ピー  「い~や、おいら達は畜生道に置いてきぼりにされた」
    「何故なら、おいら達が浄土に行ったと聞いた事が無い。慈悲を説き
    ながら、畜生には無慈悲だ」「そこに仏教の人間主体を感じる」
    「日本の犬畜生論の根源は、ここにあると思わないかい?」
パパ 「おっ! 禅問答を仕掛けてきたな」
    「確かに畜生道は、ただ働くだけで仏の道とは無縁のものと考え
    られていた」
ピー  「だから畜生道とした?」「下手をすると人間もそこへ落ちると?」
    「だけど、そこに矛盾を感じるんだなぁ」「無常とは、常に変化する
    ことの概念だと思うけど、六道の基準は変化していない」
パパ 「いや、基準は変化しないが輪廻の主体が変化する」
    「これ即ち無常だ」
ピー  「教義が矛盾の解決に至って無いのでは?」
パパ 「いやちゃう。ピートは輪廻転生を唯物論的弁証法のように捉えて
    いるが、浄土と現世という有限域での輪廻であるし、解脱によって
    その転生は止まる。根本的には観念論で、矛盾はない」
ピー  「六道と無常の関係は?」
パパ 「六道は解脱のための設定条件で、各道はその段階を示しているに過
    ぎない。従って、条件は変化することが無い。恒常だ」
ピー  「でも考えてご覧よ。人間全員が解脱を果たしたとすると、因果論も
    無常の概念も必要なくなる」「ほと、仏教の教義も消滅する」
    「当然六道の畜生道も無くなる。これはどう考えても人間主体だよ」
パパ 「ピート論は、仏教を根本的に階級矛盾と捉えるんだなぁ・・」
    「ま、その点神道は、森羅万象全てが神の仕業であり、人間も犬も
    自然の一部であるとの解釈をする」「この考え方に則れば、生物間
    での根本的な優劣意識は存在しないのかも」
ピー  「あのねぇ、おいらはこう考えるよ。おいら達犬畜生を最初から固定
    的な存在と看做すからこそ、六道という考え方も成立つ。人間は、
    それを踏み台にして、涅槃という境地に至れるとしたんだ」
    「衆生というのは、その踏み台の存在を確定さす概念に過ぎないよ」
    「おいら達は、人間が解脱を遂げるためのダシに使われた気がする」
    「だから、六道の下層3位を三悪趣と呼ぶんだよ」
パパ 「人間の解脱のために、畜生・餓鬼・地獄の三悪が必要だと?」
ピー  「おいらの考えでは、そういうこと」「人間は、そういう強迫観念が
    ないと善行をせん」
パパ 「手厳しいね~」    
ピー  「つまり、六道は、あくまで人間中心の固定観念だ。だから、他生物
    への優劣観が生じる」「おいら達犬畜生は、仏教の保護下に入れな
    いんだよ。逆に言えば、人間こそが問題なんとちゃう?」
パパ 「そうとも言えない。大乗仏教に一切衆生悉有仏性(いっさい
    しゅじょうしつうぶっしょう)という概念があり、これは人間以外
    の動植物にも仏性があると説く」
ピー  「仏性?」
パパ 「生物は皆、仏陀になり得る資質があるという意味じゃ」
    「そこで頼りに出来るのが、畜生道を仏の道に導いてくれる六地蔵の
    中の馬頭観音菩薩の存在だ」「馬の守護仏でもある」
    「今んとこ、その観音様に救済をお願いするしか方法が無い」
ピー  「宇治市にある大善寺の六地蔵だね」
パパ 「馬頭観音菩薩は、畜生道の生き物を供養してくれる。そうして仏
    の道へと導いてくれるのじゃよ」
ピー  「何でも都合よく考えるものじゃのぉ~」
    「しか~し、その先の行く末を想定していない」「おいら達の霊魂が
    行方不明になっちょる」 
パパ 「なるほど、供養で止まっちょるの~」     
    「結局仏教は、信仰と共に経典の解釈論と、その背景にある社会観を
    一体的に捉えて認識せねば解らんぞえ。これは学問だなぁ」
    「とても難解で、衆人には広め難い」
ピー  「何れにしろ仏教は、輪廻転生と密接な関係にある事は解ったが~」
    「宗派の教義によっても異なるようだから、結局のところ何が何だか
    さっぱり訳がわーらんと言うことになる」
パパ 「しゃーから、念仏を唱えれば、成仏でけるとの考えも出てくる」
ピー  「色即是空は?」
パパ 「これこそ難解な哲学だ。無即ち有・有即ち無だ」
    「長くなるからまたにしよう」
ピー  「パパは仏教関係者かい? 虚無僧とか」
パパ 「ノン、只の町人だ。物事を何故だろうと考えると、仏教や神道に
    突き当たる」「特に日本で生活しているとね」
ピー 「考え過ぎとちゃう」

2010年6月21日月曜日

ピートとパパの会話(その104 ハウンド・ドッグ)


ピー  「上の写真は、山小屋で撮ったものだね~」
    「ハンティングスタイルじゃんか」
パパ 「ピートの祖先はハウンド・ドッグだからね~、こちらもその格好を
    してみたのさ」
ピー  「手に持っているのは何?」
パパ 「スプリングフィールド製のM-14アサルトライフルだ」「7.62mmの
    NATO弾を使用する。スコープを覗けば十字の照準が見えるんだ」
    「この写真は、おっ母が嫌いらしいから、ブログ初公開だよん」
ピー  「そんなことより早く森へ行こう」
パパ 「ピートは、森や山が好きだねぇ」
ピー  「狼だった頃の血が騒ぐんだ。それに、誰も居なければノーリードで
    歩けるからね~。その自由さがいい」
パパ 「イギリスの公園は、何処でもノーリードで歩けるらしいねぇ」
ピー  「モンゴルの大草原もノーリードOKだよん」
    「昔の日本もそうだったらしいね。今はドッグランだけだが・・」
パパ 「熊や鹿や猪やライオンもノーリードなんだが~、文句が出ん?」
    「鰐やコモドドラゴンのような危険動物もノーリードだね~」
ピー  「ははは、それは、お互い生息領域が違うからだよん」
    「野生動物が、人間の生息領域に侵入すると排除されるじゃんか」
パパ 「あぁ、そういう事か」
ピー  「おいら達は、厄介な人間社会と共存しているからして、人々に恐怖
    を与えないようリードが必要なのさ」
パパ 「う~ん、共存というより、人間の都合で引き込んでいるんだなぁ」
    「だからピート達も、人間社会の秩序を求められる」
ピー  「ほう、おいら達も人間の律令制というか、法典に支配されるんだ」
    「しっかし、隋や唐の時代じゃないんだからねぇ。かなわんのう」
パパ 「ピートは、いくらでも自由な外界へ逃走できるのに、どうしてそう
    しないんだ?」
ピー  「人間にパラサイトしている方が、安全を確保し易いんだ。食料もね」
    「しかしだね~、根本的には、人間がおいら達の社会化を許さず、
    バラバラな状態に置いているのさ。分かる?」
    「これが人間社会なら、反乱や革命が起きる」
パパ 「ほほう」
    「外でピート達犬同士が出会うと、お互いを確かめ合っているね」
    「どうしてお互いが犬だと判別できるの?」
ピー  「変なことを聞くね。それがDNAというもの」
    「でなければ種の保存ができない。自然は、実にうまくできている」
パパ 「それと、ピート達は、人間の考えている事を極自然に推理できる
    ようだけど」
ピー  「そりゃ~、人間とは同じ哺乳類同士だからね。意思疎通がし易い」
    「爬虫類なんか、何を考えているのか見当もつかないよ」
パパ 「そうか、哺乳類以外とは、危険かそうでないか程度の関わりかぁ」
    「ま、両生類の亀さんなんかも、さっぱり理解でけんわな」
ピー  「森はまだかいな?」
パパ 「森林浴かい?」
ピー  「森は、木々が発するフィトンチッドで満たされているから健康的だし、
    気持ちも落着くんだって」
パパ 「健康に良いかも知れないが、気持ちはどうかな~」
ピー  「気持ち悪いのかい?」
パパ 「いや、気持ちは民族によって異なる」
    「例えば、砂漠の民ベドウィンは、砂漠に居ると気持ちが落着くと
    言うし、モンゴル人は大草原のゲルで生活すると気持ちが落着く
    と言う」
ピー  「そうか、リビアのカダフィ大佐は、未だに砂漠でテント生活をして
    いるらしいね」「ちゅーことは、フィトンチッドの精神安定作用は
    未解明なんだ」
パパ 「多くの日本人は、温帯モンスーンの照葉樹林帯で生活を営んで来た
    からねぇ。だから、森の中で気持ちが落着くのさ」
    「森が良いか砂漠が良いかは、多分に文明的要素が強いと思うなぁ」
ピー  「砂漠にフィトンチッドは無いもんね。健康とは別問題かぁ?」
パパ 「もっと面白いのは、ネオン街で生れ育った人には森を好む人が
    少ない」
ピー  「はは、極めつけだな。ネオンが気持ちを落着かせるんだ」
    「ところでね、時々人間が、犬畜生と言うけど何故だろう?」
パパ 「犬畜生とは、仏教にある六道の中の一つを指すんだよん」
ピー  「六道って?」
パパ 「これは、長~くなるから次回に話そう」
ピー  「とにかく先ず森へ出掛けて見よう」

2010年6月8日火曜日

ピートとパパの会話(その103 小沢が解る?⑮)


ピー  「硫黄岳に登っている間に内閣が変わっていたじゃん」
パパ 「それでは、先ずこの曲から聴いてみよう」
 http://www.youtube.com/watch?v=1IfUZ3lQIIs

ピー  「なんじゃいな、これ?」
パパ 「イラ菅の十八番だ。カラオケで歌っちょる」
ピー  「どこからそういう情報を仕入れて来るのさ~」
パパ 「んで、小沢どんと鳩やんが居なくなって、やっとスッキリ
    したねぇ」
ピー  「福島おばはんも主張を押し通し、遂に連立を離脱したね」
パパ 「根本的に思想が異なるからねぇ。数合わせで連立に参加したから、
    その矛盾が出ただけだよ」
ピー  「連立離脱は、単純な成り行きに過ぎないんだね。結果的に~」
パパ 「ここは主張を変えなかった福島おばはんに敬意を表し、
    これからは’福島おばさん’と呼ぶことにしよう」
ピー  「それがいい」
    「しかしさぁ、辺野古案は元に戻るし、鳩やんは自滅したし、
    小沢どんは追い出されたし、福島おばさんも政権から出て
    行ったし、全てパパの筋書き通りじゃん」
パパ 「はは、結果を予測する論理的構成要因が、たまたま揃っていた
    だけだよん」
ピー  「論理が単純明快だったのか」「ほんで、これからは~?」
パパ 「小沢どんの権力を如何に排除できるかが、イラ菅政権の成否を
    決定付ける要素だ」
ピー  「皆さん、そう言ってるね~」
パパ 「先ず、小沢どんから金と権力集中を奪取する事だね」
    「大多数の国民は、小沢どん不支持だろう。そこが付け目だ」
ピー  「政調復活は、その第一ステップなんだね」
    「議員立法も復活しなきゃーね」
パパ 「大事なことは、小沢チルドレンに、小沢どんの支配下では
    政治生命が危ういと、啓蒙運動を展開する事だねぇ」
ピー  「つまり、彼らに政治家としての人格を与えることかな?」
パパ 「ま、グラグからの救出作戦だ」
ピー  「グラグって?」
パパ 「旧ソ連の強制収容所だ」「ここで小沢どんは、チルドレンに
    洗脳教育を行ってお~る」
ピー  「ソルジェニーツィンの収容所群島じゃんか」
    「確かに小沢どんは、彼らをアホの状態に置いているなぁ」
    「でも、どうやって救出するの?」
パパ 「イラ菅内閣に対する有権者の支持率が、その鍵だね~」
    「国民の支持率でもって、彼らの心を動かすのさ。そうして
    小沢どんからの離反を促す」
ピー  「作為的だな~」「して、その戦術は?」
パパ 「ここ数日間で、矢継ぎ早に反小沢どん政策の発表をする事が
    望ましい」「世論をイラ菅に引き付けるんだ」
ピー  「つまり、世論の力で小沢どんの権力を削いで行くんだね」
パパ 「例えば、徹底的にクリーンでオープンな政治形態に持って行く」
    「そうして、旧態依然とした土着の利益誘導型政治を踏襲している
    小沢どんグループとの差別化を図るんだ」
ピー  「そうすれば、支持率もどんどん向上する?」
パパ 「そして、小沢どんの作った制度を全て見直し、その逆を行う」
    「根本的には、如何に民主的な党運営に持っていけるかだねぇ」
ピー  「う~ん、そういう方法で世論を味方に付けるのか~」
パパ 「民主主義の基本は、主権在民だ。小沢どん主権ではない」
    「権力志向が失敗だったのは、小沢どんが体現したし~」
ピー 「イラ菅は、市川房枝女史の支援者だったとか?」
パパ 「市川房枝女史は、大変な思いで女性参政権を勝ち取った一人だ」
    「また、良妻賢母型教育の反対者でもあった」「当時のウーマンリブ
    の先駆けだねぇ」
ピー  「イラ菅は、そんな大変な人の支援をしていたのか~」
パパ 「そう、イラ菅の強みは、市民運動出身だということさ~ね」
    「そこを強調して行けばよろしい」
ピー  「さすれば、支持率が上がる?」
パパ 「Yes」「イラ菅は、ここ一ヶ月間でクリーンなイメージを有権者に
    植えつける必要があ~る」
ピー  「このまま行けば、マスコミがクリーンなイメージを醸し出して
    くれるんじゃないかな?」
パパ 「それと、早急にマクロ経済学者をブレーンに持ってくるべきだね」
    「官僚の知識と経験も生かすべきだよ」「そうして一刻も早く経済を
    浮揚さす必要がある」
ピー  「バラマキも止めねば」「そうすれば参院選に勝てる?」
パパ 「勝てる下地が出来上がる。過半数に達しなくても、大敗する事は
    ないよ」「ここ一ヶ月が勝負だ」
ピー  「もし大敗すれば?」
パパ 「そんなの小沢どんと鳩やんのせいにして、クリーン政治を続行
    すればいいさ」「やがて支持率は、自然と上がってくる」
ピー  「ほう、でも小沢どんと鳩やんは、チト可哀想だねぇ」
パパ 「兎に角あの二人は、日本政治を混乱に陥れたんだから~」
    「罪は深い」 
ピー  「小沢どんは、9月に復活するとか?」
パパ 「そんな事になれば、支持率ダダ下がりだねぇ」
    「小沢どんは、そろそろ引退する時期だよ~」「大多数の国民から
    支持されていないと認識すべきなんだが・・」
    「小沢どんの権力欲がね~・・・、邪魔をする」
ピー  「あん人が、簡単に引退するかねぇ?」
パパ 「小沢どんは、政党のM&Aで勢力を拡大してきた。イラ菅は、その
    勢力拡大を民主内で阻止する作戦だ」「民主の原点回帰さ」
ピー  「政党のM&Aね~。小沢どんが編み出した手法だ」
パパ 「M&Aを仕掛けられたんだから、逆にそれを利用して小沢どんの
    数を取り込めばエエ。今が絶好の機会だ」「そうして引退を促す」
ピー  「旧自由党とイラ菅率いる新生民主の戦いかぁ」
    「分裂の危機だな」
パパ 「新旧勢力の戦いでは、古いものが敗れるという歴史の必然がある」
    「その必然に賭けよう」 
ピー  「ほと、小沢どんはどうするのさ?」
パパ 「権力に執着するなら、脱藩して自民とのM&Aをやるという手が
    ある」「ま、グループの何十人かは付いて行くだろうが・・」
ピー  「元の古巣に戻るのか~」
パパ 「であれば、小沢どんにも政権復帰のチャンスがあり得るさ」
    「民主の中で、再び権力を握ろうとしても、国民が納得しない」
ピー  「だけどね、小沢どん一流の、国民が望んでいるから、という勝手な
    解釈を持ち出すかもよ」
パパ 「じゃけんイラ菅は、現段階において、小沢どん復活の芽を徹底的に
    摘んでおく必要がある」「それが第一優先の使命かもね~、ほほ」
ピー  「ほと、民主政権の首にフロントラインを打って、小沢どんが近づけ
    ないようにすればいいんだワン」
パパ 「面白いことを言うね~」
ピー  「鳩やんはどうするのかなぁ」
パパ 「あん人は、政治家に向かん」「常に担がれてきただけだわさ」
    「とにかく労働をしたことが無いから、世間を知らない感じだねぇ」
ピー  「だから、小沢どんにとっては、担ぎ易かったんだなぁ」
パパ 「鳩やんの唯一の功績は、小沢どんを道連れに辞任したことだ」
ピー  「小沢どんがよく辞任したね」
パパ 「支持率という数の減少には勝てん。それが小沢どんの数の論理だ」
ピー  「だから引かざるを得なかった?」
パパ 「ここは一旦身を引いて再起を図るというのが、あん人の作戦だ」
    「下手をすると、民主をガタガタにして出て行くぞ~」
ピー  「それにしても、普天間と辺野古が心配だね」
パパ 「今となっては如何ともし難い。十年は無理じゃないかな」
    「鳩やんのした事は、今後の政権運営の足枷となる」
    「但し、鳩やんの理念は正しい。それだけが救いだ」
ピー  「何故そないな事になったのかな?」
パパ 「理念優先でプロセスが無い。つまり、彼は策士じゃないのさ」
ピー  「自民は、これからどうするの?」
パパ 「今回の政変で、自民は素っ飛んだなぁ。もう手の打ちようが無い」
    「何を言っても空虚に響くだけだ」「他の野党も同じだねぇ」
    「しかしだ、民主も税制を変えて国民の資産やお金に手を付けると、
    支持が離れていくぞう」
ピー  「自民が突っ込めるとすれば、そこだね~」
    「でも、小沢どんはいらん」
パパ 「政党支持率は、根本的に経済の問題なのさ」
    「あのね、現民主政権は、社会主義嗜好があるんだ」
    「そこが注意点だね」
ピー  「メンバーを見れば、旧社会党出身者もいるね」
    「玉の輿なんかも考え方が古そうだ」
パパ 「社会主義は、一生懸命働いても報われない経済構造なんだよね」
    「これは、マルクス,エンゲルスの家族・私有財産及び国家の起源に
    ついての論述を読めば理解できるかもね」
ピー  「どういうこと?」
パパ 「結論的には、国民の財産は全て国家に帰属するのであるから、
    その全てを国家が巻き上げて再分配するということさ」
ピー  「ええ? 自分のお金を自分で好きなように使えないの?」
パパ 「ま、そういうことだね」
    「民主が税制を抜本的に見直すと言っているのは、そういう事だと
    パパは理解している。極論の極論だがね」
    「じゃが、それが社会主義の根本原理だ」
ピー  「増税を伴うじゃんかぁ・・・」
パパ 「イラ菅は消費税を上げれば景気が良くなると言っているが、
    何故良くなるのかを理論的に説明出来ないでいる」
ピー  「どうして説明出来ないの?」
パパ 「経済理論に裏打ちされた発言じゃ無いからだよ」
    「鳩やんじゃないが、財政逼迫の中での思いつきで言っちょる」
ピー  「パパが、政権内にマクロ経済学者を入れろと言うのは、根拠に
    基づいた経済政策を実行する必要があるからだね」
パパ 「小泉政権が、新自由主義の竹中平蔵氏を起用したようにね」
    「例えば、消費税を上げるにしても、理論的根拠が無いと国民
    への説得力に欠ける」
ピー  「なるほど~、バラマキのために消費税を上げるというなら、
    ±ゼロで国民生活は良くならないわなぁ。むしろマイナスだ」
    「それでは国民として納得でけんねぇ~」
パパ 「そうじゃろ~」「消費税アップで経済が好転すると言うなら、それを
    数字で説明しないと具体性が無い。言葉だけじゃ~信用でけんよ」
ピー  「やはり、理論的な裏づけが必要なのかぁ」
    「でないと、またしても鳩やん政権の二の舞になる?」
パパ 「そうだよん。さ~、その時国民はどうするかだ。ふふふ・・・」