2010年4月16日金曜日

ピートとパパの会話(その94 映画鑑賞Ⅱ)

ピー  「今日の話題は、SF映画だと言ったね」
パパ 「宇宙物のSFで有名なのが、米国漫画を映画化したスターウォーズ
    だね」「まぁしかし、この映画はまさしく漫画だね」
ピー  「漫画? でも面白いじゃんか~」
パパ 「いや~SF映画は、それなりの科学的根拠が無いとつまらないよ」
    「無いと漫画の延長になる」
ピー  「そうかね、おいらは面白いけどなぁ」
パパ 「スターウォーズの元を辿れば、千夜一夜物語に突き当る」
ピー  「千夜一夜物語? アラビアンナイトのことだね」
パパ 「そう、宇宙怪獣が出てきたりさ。これはシンドバットの冒険の
    リメークに過ぎない、とパパは思っちょる」
ピー  「そうか、シンドバットの冒険に出てくる一つ目の大男を宇宙怪獣
    に置換えたんだ」「すると、シンドバットの船は宇宙船だな」
パパ 「SF映画でありながら、チャンバラやレスリングで決着を付ける
    だろう」「これはもう、子供が観るウルトラマンの世界だ」 
ピー  「でもさ、どうしてそういう穿った(うがった)見方をするの?」
パパ 「宇宙怪獣の出方が科学的でないからさ」
ピー  「なんじゃそれは~」
パパ 「怪獣を出すにしたって、出方の根拠ちゅーもんがいるわさ」
ピー  「科学的な推論を根拠とするんかい?」
パパ 「Science Fictionじゃけん、Scienceとしての考え方が必要だ」
    「理由なく異性人や怪獣を出すのは、単なる活劇漫画だ」
    「形而上学的でSFとしての面白さに欠ける」
ピー  「ま~た、そういう訳の分からん事を言う」
パパ 「日本列島沈没も、プレートテクトニクスを根拠に展開された」
    「また、1956年に公開された’禁断の惑星’も、 精神分析学の
     'イド' という '自我の中の無意識的衝動' を根拠にしている」
  (禁断の惑星)
http://www.youtube.com/watch?v=8y4crGU7dkg

パパ 「この映画には、'イドの怪物' が出てくるんだけれど、これは
    人間の深層心理が創り出した怪物なんだ」
ピー  「すると、精神分析学を知らないと着想不可能な映画なん?」
パパ 「少なくとも精神分析上の 'イド ’ という言葉の中身を知っていな
    ければ作れないね」
ピー  「ふーん?」
パパ 「SF映画は空想の世界だから、必ずしも現実的な科学的信憑性を
    必要としない」「しかし、ストーリーは、推論に基づいた論理的 構成
    でなければ支離滅裂となる」
ピー  「SF映画を作成するには、そういう素養・教養が必要なんだね~」
    「Scienceを根拠にしたFiction映画とはそういうものかぁ」
パパ 「だから面白い。活劇が理論的に段階を追って展開されて行く」
    「20世紀のSF映画で一番興味深かったのは、2001年宇宙の
    旅だね~」

 HAL9000, ・・・・2001 Odyssey, ・・・・・・・・IBM7094
  
ピー  「2001年って、とっくに過ぎ去ってるじゃん」
パパ 「この映画は1968年に公開された」「当時、2001年くらいには
    このような宇宙の旅が可能になっているだろうという想定だ」
ピー  「宇宙の旅どころか、未だに地球周回軌道の域を出ないじゃんか」
パパ 「主題曲は、リヒャルト・シュトラウスが1896年に作曲した交響詩、
    'ツァラトゥストラはかく語りき’だよ」
  (2001: A Space Odyssey)
http://www.youtube.com/watch?v=vahx4rAd0N0

ピー  「ツァラトゥストラはかく語りきってのは、ニーチェの文学だろ?」
パパ 「若い頃、少し読んでみたが、このような哲学書は何の事かさっぱり
    理解でけなんだ」
ピー  「2001年宇宙の旅で、何でまたリヒャルト・シュトラウスの 'ツァラ
    トゥストラはかく語りき' という曲を使ったん?」
パパ 「誰も明確に解説しちょらんが、ニーチェの哲学思想である
    '永劫回帰' を意識してこの曲を採用したんじゃないかと・・・」
ピー  「永劫回帰?」
パパ 「永劫回帰とは、時を越えた連続性というか、テープレコーダーの
    テープを繰り返し再生するようなものだ」「全く同一の繰り返しと
    いうか、無限の時間の中で物質が消滅と再生を繰り返すという
    概念だ」
ピー  「さっぱり分からんの~」
パパ 「リヒャルト・シュトラウスは、その哲学思想の印象を交響詩として
    作曲したのじゃよ」 「しかし、映画と永劫回帰との関係がどうも
    しっくりこない。 未だに疑問だ」
ピー  「単純に映画製作者がこの曲を好きだっただけじゃないの~?」
パパ 「最終局面で永劫回帰を描きたかったんじゃないかと思うが・・」
    「サイケデリックな映像で終わったから、何のことか不明じゃ」
ピー  「映画音楽ごときで難しいの~、肩が凝る」  
パパ 「で、この映画の主役は、HAL(ハル)9000という人口知能なんだ」
    「このHAL9000が、二つの命令に対する矛盾から反乱を起こすんだ」
ピー  「コンピューターが知能を持つと反乱を起こすのかね」
    「鉄腕アトムの世界だ」
パパ 「実際、この映画の製作者は、手塚治虫に美術監督をやってくれと
    申し入れたそうだが・・・」
ピー  「ほう、日本のアトムを知っているんだ」
パパ 「ほんで船長は、HAL9000の反乱に対処するため、無能化の
    作業をするん だが、その最後の過程でHALがデイジー・ベルという
    曲を歌い 始めるんだ」「これは、コンピューターに対する歴史認識が
    ないと 描けない部分だ。 これには驚いたね~、流石だ」
ピー  「デイジー・ベルって?」
パパ 「デイジー・ベルは、IBM7094というコンピューターが1961年に
    世界で初めて歌った曲だ」
ピー  「コンピューターが勝手に歌うの?」
パパ 「いやいや、歌うようにプログラミングしたのさ」
    「そのデイジー・ベルをちょっと聴いてみよう。歌は中頃からだ」
  (IBM7094 Sing) 
http://www.youtube.com/watch?v=41U78QP8nBk
  (これはHAL9000のデイジー・ベル)
http://www.youtube.com/watch?v=qbqra7kRXbk&feature=related 

ピー  「IBM7094は音声合成の声だね。コンピューター丸出しだ。はは」
パパ 「これでも目を見張るような出来事だったんだから~」
    「また、宇宙船の乗員がHAL9000に聞こえないようにドアを閉めて
    話すんだが、HAL9000は窓から唇の動きを読取るんだなぁ」
ピー  「ほほう、面白い設定だね」
パパ 「こういう発想がどのようにして浮かぶのか、実に興味深い」
ピー  「ところで、コンピューターって何時頃からあるの?」
パパ 「う~ん、パスカルとか1822年頃のバベッジの失敗作からボチボチ
    話さにゃならんね~」「長くなるから別の機会にしようぜ」
ピー  「ヘ」

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