2011年5月4日水曜日

ピートとパパの会話(その121 Spain & Fifty's)



パパ 「さ~てと、今日は前回話題にした’スペイン’という曲の続編と
    Fifty'sについて話そう}
ピー  「フィフティーズって?」
パパ 「音楽で言えば、米国の50年代を代表するポップ・ミュージックの
    ことを指す」
ピー  「さよか」
パパ 「ほんでもって、前回のスペインという曲は、チック・コリアという
    米国人ジャズ演奏家による作曲なのじゃよん」
ピー  「うん? メリケン人がスペインとはこれ如何に?」
    「大まかなメリケン文化にスペインの郷愁を醸し出せるとは思えぬが」
パパ 「実は、スペインの作曲家ロドリーゴのアランフェス協奏曲の
    第二楽章をイントロに使ったのだよん」
ピー  「なんだ、パクリじゃんか」「文化の違いから考えて変だと思ったい」
パパ 「じゃがの、イントロ以降はその流れに乗り、勢いで作曲したと思わ
    れるが、なかなか上手く雰囲気を出しておるよ」
    「ほな、チック・コリアの演奏と、その原曲であるアランフェス協奏曲
    の第二楽章をチョコッと聴いてみよう」

チック・コリア
http://www.youtube.com/watch?v=8Q52r7xMd3U&feature=related

アランフェス協奏曲 第二楽章
http://www.youtube.com/watch?v=GS48Uwo4NzA

ピー  「チャルメラが鳴ってるじゃん」
パパ 「ちゃう、あれはイングリッシュホルンだ」「オーボエと同じダブル
    リードの木管楽器だよ」
ピー  「あの音を聴くと、おいらはお腹が空いてくる」
パパ 「ドヴォルザークの新世界もイングリッシュホルンのソロパートがある」
ピー  「お~、第二楽章の'家路’だね」
パパ 「カラヤン率いるウィーンフィルで聴いてみよう」

http://www.youtube.com/watch?v=aYl4Xb4cDQ8&feature=related

ピー  「チャルメラは音がよく通るね~」
パパ 「イングリッシュホルンっ!」「この種の楽器は音がよく通るし、特に
    オーボエは音程調整が難しいから、楽団では440ヘルツの基準音程を
    この楽器に合わすようにしていた。昔はね」
ピー  「ふ~、クラッシックばかりでは肩が凝るでござるよ」
パパ 「んじゃ、チック・コリアのチョイ前に流行ったロックといこう」
    「言わずと知れた1969年の全米第一位、ローリング・ストーンズの
    ホンキー・トンク・ウィメンだ」

http://www.youtube.com/watch?v=8142QzZXO28&feature=fvst

ピー  「なんじゃあ?、この下手糞な楽隊屋は~」
    「歌の兄ちゃんは、音程が滅茶苦茶だし~」
パパ 「これはミック・ジャガー様だ。ま、顔はネアンデルタール人の
    生き残りのようだがね」
ピー 「それにさ、この時代の若者は皆ガリガリだね」
パパ 「脂っこいファーストフードが流行る前だから、皆ガリレオ・ガリレー
    の体格をしておる」
    「では、少し上手くなったストーンズを聴いてみようか」
    「大きなGAL風船が、アバンギャルド的な舞台芸術の様相を
    見せている」

http://www.youtube.com/watch?v=3-hMQWqVVzw&feature=related

ピー  「中国は、この公演を拒否したそうだね」
パパ 「社会風紀が乱れると思っているのだろうね」「50,60年代の日本も
    そうだった」「次は、同じ1969年にヒットしたショッキング・ブルー
    のビーナスを聴こう」
ピー  「いろいろ出てくるねぇ」
パパ 「ヴォーカルのマリスカ・ヴェレスはオランダ国籍らしいが、家系は
    ハンガリーのロマ出身だと言われている」
ピー  「ロマ?」
パパ 「ロマは国を持たず、東欧からスペインにかけて移動を繰り返す
    ジプシーのような人々だよ」「手作りの鍋釜を売ったり、路地演奏
    で生計をたてたりしている」

http://www.youtube.com/watch?v=auoArgmzqN4

ピー  「少しエキゾチックな感じがするね」
パパ 「次も同じ曲だ」

http://www.youtube.com/watch?v=WTb1LYaFV8I&feature=related

ピー  「ギョエ! これ同じ人なの?」
パパ 「そう37年後のマリスカだ」「昔の5倍は肥えている」
    「さあ、日本人がこのヴィーナスをやると、こんな感じになる」

http://www.youtube.com/watch?v=qg5E7aHT2HI&feature=related

ピー  「おやまぁ、田舎の都会趣味のようだ」
    「でもさ、マイクが上の写真と同じジャン」
パパ 「気が着いてくれはりましたか、ピーやん」
    「この画像は六本木ケントスでのライブだが、ケントスでは
    50年代を醸し出すため、このマイクを使っちょーる」
ピー  「マイクもファッションか」
    「Fifty's の象徴のようなマイクだね」
パパ 「このマイクは、通称エルビス・マイクと言い、業界ではガイコツ
    とも呼んじょるのよ」
ピー  「なんでそんなマイクが家にあるのよん?」
パパ 「これも趣味の一つじゃけんね」「ほ~れでは、祇園にある
    京都ケントスのプロモーションビデオを見てみよう」

http://www.youtube.com/watch?v=HTXJ0T35d4A&feature=related

ピー  「ほほう、ここでもエルビス・マイクが出てくるねぇ」
    「どれも上の写真と同じものだ」
パパ 「もう一発やってみよう」
    「こちらはベートーヴェン作曲じゃけんね」
    「観客の赤シャツのお姐やんがイカしたツイストを踊り出すから
    よ~く見てみよう」
ピー  「なぬ? ベートヴェン? お姐やんのツイスト?」

http://www.youtube.com/watch?v=p02k5CO_YxE&feature=related

ピー  「なんじゃこれわぁ、’エリーゼのために’やんか~」
    「でもこのライブの雰囲気、マイクが効いちょるねぇ」
パパ 「マイクは、只の収音器じゃないと分かってくれはりましたか」
ピー  「でもさ、なんで赤シャツのお姐やんのツイストがイカして
    るのさ?」
パパ 「ふふ、どう見えるかはセンスの問題だ」
ピー  「しかし、こういう音楽は疲れるなぁ」
パパ 「疲れた気分は、エロール・ガーナーが作曲したミスティで
    癒そう」「74歳になるビージー・アデールの演奏だよん」

http://www.youtube.com/watch?v=lGEidwEliyY&playnext=1&list=PL37C5C41FD6235D31

ピー  「はぁ~、なんともはやエレガントな演奏だねぇ」
パパ 「この人が演奏すると、どの曲もエレガントになる」
    「例えば、ちょっぴりつまずきかけてはいるが、日本のこの曲も」

http://www.youtube.com/watch?v=koWZcv6BL70&feature=related

ピー  「落ち着いたモダンなcafeで、想いに浸りながら聴くのもいいね」
パパ 「ミスティの作曲者は黒人だが、白人から何かに付けて差別を
    受けてきた感性だとは、とても思えない」
    「この豊かな情感・感性を表現・醸成しうる米国の社会的背景とは、
    一体どのようなものかを知りたいものだ」
ピー  「前から不思議なんだけど、色んな曲を分け隔てなく聴くパパの
    感受性はどこから来るの?」
パパ 「はは、まぁ、わしのパーソナリティとでも言っておこう」

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