2012年10月30日火曜日

ピートとパパの会話(その141"開拓者達”)


パパ 「さて、芸術の秋とシャレこむつもりだったが、やめとこ」
ピー  「次回にでもするの?」
    「ところで上の写真は何なん?」
パパ 「左から堀江謙一、カズ、野茂だよ」
ピー  「それは分かるけど、な~んで一緒に並べているん?」
パパ 「ふふ、それが今日の話題だよん」
ピー  「堀江おっさんは冒険家、カズと野茂はスポーツだろ?」
    「何か組合せが変だよ」
パパ 「三人の共通点は、世界への扉を開いた事だ」
    「ま、日本では類まれなるパイオニア精神の持主だ」
ピー  「ほっほう」

パパ 「まず、堀江謙一は、ヨットでの太平洋横断が認められず、
    秘密裏に出国せざるを得なかった」
ピー  「どうして許可が出なかったの?」
パパ 「お役所流に言えば、前例が無いということかな」
ピー  「うん? イザナギ・イザナミの尊も、日本国を創造
    するとき、前例が無かったのでは?」
パパ 「それに、単独ヨットで太平洋を横断するなんて、
    当時は夢物語だったんだ」
ピー  「だから密出国しかできなかったのか」
パパ 「そして、堀江がサンフランシスコに到着した時、
    市長から大歓迎を受けた」
    「ところが日本のマスコミは、密出国に対して非難轟々
    の論評を展開していた」
ピー  「さすが米国は、開拓者魂を理解しているね~」
パパ 「米国自体が、フロンティアの国でもあるからね」
    「しか~し、米国の歓迎振りを見て日本のマスコミは、
    一転して堀江の快挙を報じるようになったのさ」
ピー  「日本のマスコミも一貫性がないね~」
パパ 「実際、堀江が帰国した時、密出国の一件は不問にされた」
ピー  「日本は法治国家だろう? おかしいよ」
パパ 「でもね、日本でマスコミ取材を受けている堀江の姿は、
    当時見ていて物凄く傲慢だった」
ピー  「パパは見ていたの?」
パパ 「ああ、よく覚えている。後にインタビューした記者が、
    堀江ほど傲慢な人間は見たことが無いと語っていた」
    「でも今はすっかり人間が丸くなり、むしろ好感が持てる」

ピー 「カズは?」
パパ 「この人も、ブラジルのサッカーに魅せられ、日本で最初に
    単独ブラジルへ渡った」
ピー  「誰もやらないことを最初にやった。開拓者だね~」
パパ 「それも日本ではなく外国でね」
    「ここでも日本人は、最初の開拓者に対して冷たかった」
ピー  「どういうこと?」
パパ 「それは、1998年のワールドカップ選手選考にある」
    「当時の岡田監督は、代表からカズを外した」
    「この采配は、ちとアホである」
ピー  「アホとはまた手厳しいね」
パパ 「岡田監督は、自分の時に優勝しようと思うから、
    このような采配になる」
    「これは、自分自身を売り出そうとしたにすぎない」
ピー  「ふ~む。そういや~当時、日本サッカーの実力は、
    FIFAナショナルチーム中、最低ランクに等しかったね」
パパ 「ちゅーことは、もっと将来を見据えて日本のサッカーを
         考える必要があったということだよん」
ピー   「日本サッカーの将来?」
パパ 「ここは、日本サッカー界のために、カズを絶対に出場さす
    べきだった」
    「そうしてカズを中心に据え、日本のサッカーへの注目度、
    人気度を増していくべきだった」
ピー  「なるほど、プロスポーツは、興業的要素も考える必要が
    あるのか」
パパ 「そうだよ。あの時、岡田監督がカズをワールドカップに
    出しておけば、日本サッカー界は興業的にもっと変わって
    いただろうな」
ピー  「うんうん、なるほど~」
パパ 「それは、今回のFIFAフットサルワールドカップ日本代表
    にカズが選ばれたことからも伺える」
    「もう遅きに帰したがね」
ピー  「は~ん。例えば、成績が悪いと言うだけで石川遼を外せば、
    ゴルフなんちゅーのは単なるオッサンの玉遊びになるね」
パパ 「それと同じことだよ」
    「岡田監督は、目の前の勝敗には長けていても、戦略的な
    考え方に難ありの人だ。チーン」

ピー  「野茂は?」
パパ 「彼は、当時の鈴木監督と喧嘩してでも大リーグを目指した」
    「そして、後に続く後輩達に世界への道を開いた。偉大だよ」
ピー  「ここでも足を引張ったのは、監督かな?」
パパ 「そういうこと。監督ちゅーのは、マネージメントも考え、
    他に人を育てる役目もある」
    「鈴木はんは、根性だけで野球をやってきた人だから、
    それ以外のことを言い出す人間を理解できなかった」
ピー  「日本古来の根性野球かな」
パパ 「日本国内だけなら、それで十分だ。なぜなら、周り全てが
    根性野球だからね」
ピー  「しかし、世界が相手では、そうはいかないのかな?」
パパ 「その通り。世界と勝負するには、欧米流の合理的・
    システム的なやり方を学ぶ必要があった」
ピー  「その切っ掛けとなったのが、野茂の行動だったんだね」

パパ 「そもそも日本のスポーツは、神事と結び付いている」
    「野球も例外ではない。勝敗だけではなく、神の前で
    如何に礼節を重んじ、納得して貰えるかが重要になる」
ピー  「神の納得?」
パパ 「神事は、占いということでもある訳さ」
    「神が納得すれば、良い占いが出る」
    「この辺りは、日本国の成り立ちを考えれば理解し得る」
ピー  「根性は、神の納得を得るために必要ということかな」
パパ 「そうだよん。何が何でも欠乏困苦に耐えねばならん」
    「つまりは、生贄(いけにえ)の精神だ」
    「その見返りとして、現世での利益や安定を得られる
    という考え方だ」
ピー  「そんなものかねー」
パパ 「練習中に水を飲むな。野球部員は水泳をするな」
    「頭は丸坊主以外認めん。等々」
ピー  「丸坊主で得点を稼げるなら、米国人もそうするわね」
パパ 「全て非科学的だったし、今では正反対の方法を取っている」
ピー  「世界と関わるようになって、日本のスポーツも変わった?」
パパ 「そうね、良し悪しは別として、野球は神事から外れた」
    「そうして次第に米国流の野球を取り入れるようになった」
ピー  「それ以降、日本もWBCで優勝できるまでになったのかな」
パパ 「野茂の決断によって、一番恩恵を受けているのが、
    イチロウ達だ。彼等は、野茂に感謝しなければならない」
ピー  「確かにね」

パパ 「しかしね、日本ではこれらパイオニア精神に富んだ人々に
    冷淡だ」
ピー  「どうして?」
パパ 「まあ~、古来の精神論というか、そいうものから
    逸脱しているからさ」
ピー  「それも困るね」
パパ 「だけど、外国から見れば、それらは日本固有の神秘的な
    文化でもある」「またの機会に、外国からみた日本の
    神秘性について考察してみたいと思っちょるんよ」
ピー  「食の神秘性の方をたのむよ」

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