2011年5月28日土曜日

ピートとパパの会話(その122  この国のかたち)


パパ 「久しぶりに政治の話をしよう」
ピー  「ま~た、小沢どんかい?」
パパ 「それもあるが、原発対応についてね」
ピー  「政府の言う事がコロコロ変わるし、どないなん?」
パパ 「政府発表は、大本営発表だから具合の悪い事は全て隠す」
ピー  「国民は何を信じればエエの?」
パパ 「自分で判断するしかないね」
ピー  「それは無理だよ。状況が分からないからね」
パパ 「その状況や情報を隠すんだから、自分で判断するしか
    ないのさ。常に最悪の状況を考えておく必要がある」
ピー  「政府や東電は、想定外とか言うじゃんか」
パパ 「想定外と言うのは、政治や経営の逃げだね」
    「東電の技術者達は、冷却電源喪失時からメルトダウンが
    分かっていた筈だよ。それが技術的立場だ」
    「この辺りの事情は、時系列に沿って論理的に考えれば分かるよ」
ピー  「じゃ何故それを発表しなかったの? 政治はそれを基に対応
    しなければならないのとちゃう?」
パパ 「問題は、イラ菅が’俺は原発に物凄く詳しいんだ’と言った
    ことだね」
ピー  「それが問題?」
パパ 「一国の首相がそういう発言をすると、周囲は何も言えなくなる」
    「だから、真実が隠されてしまうのさ」
ピー  「う~ん、東電の経営陣が待ちの姿勢になったのも、そのためかぁ」
パパ 「そういう事。しかも、何もかもを官邸が指示しようとするから、
    官僚も東電も個別の対策委員会も、ただ指示を待つだけになる」
ピー  「はぁ~?・・・」
    「それって、宮崎の口蹄疫で失敗したことじゃんか~」
パパ 「民主党の面々は、それを未だに政治主導と勘違いしているのさ」
    「これでは一党独裁のアホな社会主義国だ」
ピー  「だから行動が遅いのか~」「官邸の顔色を窺ってからでないと、
    誰も行動できないんだねぇ」
パパ 「ここに日本の民主主義の欠点がある」「お上が言い出すと、
    逆らえない雰囲気になるんだ」「会社でも同様なことが起こる」
ピー  「どうしてそうなるのよん?」
パパ 「パパが考えるに、中国から持込まれた律令制に則り、
    政(まつりごと)を司る一家族、及び、それをサポートする
    数人のグループによって、民衆が支配・教育されてきたから
    だろうね」「このシステムは実に見事だ」
ピー  「古代から続く問題か~」
    「そこに、日本のガラパゴス政治の根本がある?」
パパ 「そう、この支配体制の根本原理は今も同じだ」
    「変わったのは、封建領主から東大を頂点とする支配体制に
    なったことくらいだね」
    「それと、誰も責任を取らなくて済む体制にしたことだ」
ピー  「それで同じ過ちを繰返すことになるのか」
   「反省しなくてよい政治システムなんだね」
パパ 「そうだ、科学的合理性よりも、支配者の意思を優先する」
    「まぁ、近代民主主義の精神からすれば、すこぶる野蛮だ」
    「この辺りの事情は、司馬遼太郎の著作’この国のかたち’を
    読めば、何となく理解し得る」
ピー  「権力の意思の前では、民衆の意見は無視されるのかぁ」
    「だから、民衆の命を軽んずるのだね。20ミリシーベルトとか」
パパ 「んだ、じゃから都合の悪い事には’想定外’という言葉も
    使う」
ピー  「原発の問題でも、科学や技術に政治権力が介入するから、
    ややこしくなるのかぁ」
パパ 「はは、まぁそうだね」「因みに、最初にメルトダウンを言った
    官僚は、政治によって即更迭された」
    「これは、イラ菅が’メルトダウンは起きない’と断言した
    からだ」
ピー  「だが実際には起きていた」
パパ 「これを政治の世界では想定外という」
    「悪いがこの人はリーダーの資質に乏しい」
    「ただリーダーの真似をしているだけだ。だから思い付き発言を
    連発する」
ピー  「なるほど」「ほと、自分の周りに委員を一杯置くのも脆弱な
    資質を補うためだね。他力本願だ」
    「では、現実的な政治主導とは?」
パパ 「方針を示し、それに沿って官僚を動かすことだよん」
    「そのために官僚の存在がある」
    「そして、細かな指示は現場に任せればいい」
    「後は政治が責任を持つと言えば、安心して仕事ができる」 
ピー  「ほと、イラ菅の発言は’アホでした’となるね」
    「ところで、震災の復興費用をどうするのさ?」
パパ 「ガキ手当や高校無償化という4K財源を当てればいい」
ピー  「でもそう出来ないんだろう?」
パパ 「高速道路無料化やガソリン税補填等は止めるらしいが」
ピー  「何故だろう? 同じ民主党の公約じゃない?」
パパ 「これらは元々あるものだからさ」
    「経済がそれを軸に回っている」
ピー  「あぁ、そういう事か」
パパ 「でも新たに創設したバラマキは止められないとくる」
    「何故なら票に直接結び付いているからね」
ピー 「この辺は、民主党内でも賛否両論があるようだね」
パパ 「小沢どんグループが、ガキ手当とかの撤廃に猛反対して
    いるからね」「ここでも支配者が言い出したことだから、
    止められない」
ピー  「サンデル教授の’正義’が機能しないんだ。ほほ」
    「もし小沢どんが、撤廃OKと言えば財源問題は解決する?」
パパ 「結局のところ、根本的には全てが小沢どん問題だという
    事さ~ね」
    「この人が居なければ、事はスムーズに運ぶさ」
ピー  「党員資格停止なのに、親分のように振舞っているね」
    「これが、’この国のかたち’かぁ」

2011年5月4日水曜日

ピートとパパの会話(その121 Spain & Fifty's)



パパ 「さ~てと、今日は前回話題にした’スペイン’という曲の続編と
    Fifty'sについて話そう}
ピー  「フィフティーズって?」
パパ 「音楽で言えば、米国の50年代を代表するポップ・ミュージックの
    ことを指す」
ピー  「さよか」
パパ 「ほんでもって、前回のスペインという曲は、チック・コリアという
    米国人ジャズ演奏家による作曲なのじゃよん」
ピー  「うん? メリケン人がスペインとはこれ如何に?」
    「大まかなメリケン文化にスペインの郷愁を醸し出せるとは思えぬが」
パパ 「実は、スペインの作曲家ロドリーゴのアランフェス協奏曲の
    第二楽章をイントロに使ったのだよん」
ピー  「なんだ、パクリじゃんか」「文化の違いから考えて変だと思ったい」
パパ 「じゃがの、イントロ以降はその流れに乗り、勢いで作曲したと思わ
    れるが、なかなか上手く雰囲気を出しておるよ」
    「ほな、チック・コリアの演奏と、その原曲であるアランフェス協奏曲
    の第二楽章をチョコッと聴いてみよう」

チック・コリア
http://www.youtube.com/watch?v=8Q52r7xMd3U&feature=related

アランフェス協奏曲 第二楽章
http://www.youtube.com/watch?v=GS48Uwo4NzA

ピー  「チャルメラが鳴ってるじゃん」
パパ 「ちゃう、あれはイングリッシュホルンだ」「オーボエと同じダブル
    リードの木管楽器だよ」
ピー  「あの音を聴くと、おいらはお腹が空いてくる」
パパ 「ドヴォルザークの新世界もイングリッシュホルンのソロパートがある」
ピー  「お~、第二楽章の'家路’だね」
パパ 「カラヤン率いるウィーンフィルで聴いてみよう」

http://www.youtube.com/watch?v=aYl4Xb4cDQ8&feature=related

ピー  「チャルメラは音がよく通るね~」
パパ 「イングリッシュホルンっ!」「この種の楽器は音がよく通るし、特に
    オーボエは音程調整が難しいから、楽団では440ヘルツの基準音程を
    この楽器に合わすようにしていた。昔はね」
ピー  「ふ~、クラッシックばかりでは肩が凝るでござるよ」
パパ 「んじゃ、チック・コリアのチョイ前に流行ったロックといこう」
    「言わずと知れた1969年の全米第一位、ローリング・ストーンズの
    ホンキー・トンク・ウィメンだ」

http://www.youtube.com/watch?v=8142QzZXO28&feature=fvst

ピー  「なんじゃあ?、この下手糞な楽隊屋は~」
    「歌の兄ちゃんは、音程が滅茶苦茶だし~」
パパ 「これはミック・ジャガー様だ。ま、顔はネアンデルタール人の
    生き残りのようだがね」
ピー 「それにさ、この時代の若者は皆ガリガリだね」
パパ 「脂っこいファーストフードが流行る前だから、皆ガリレオ・ガリレー
    の体格をしておる」
    「では、少し上手くなったストーンズを聴いてみようか」
    「大きなGAL風船が、アバンギャルド的な舞台芸術の様相を
    見せている」

http://www.youtube.com/watch?v=3-hMQWqVVzw&feature=related

ピー  「中国は、この公演を拒否したそうだね」
パパ 「社会風紀が乱れると思っているのだろうね」「50,60年代の日本も
    そうだった」「次は、同じ1969年にヒットしたショッキング・ブルー
    のビーナスを聴こう」
ピー  「いろいろ出てくるねぇ」
パパ 「ヴォーカルのマリスカ・ヴェレスはオランダ国籍らしいが、家系は
    ハンガリーのロマ出身だと言われている」
ピー  「ロマ?」
パパ 「ロマは国を持たず、東欧からスペインにかけて移動を繰り返す
    ジプシーのような人々だよ」「手作りの鍋釜を売ったり、路地演奏
    で生計をたてたりしている」

http://www.youtube.com/watch?v=auoArgmzqN4

ピー  「少しエキゾチックな感じがするね」
パパ 「次も同じ曲だ」

http://www.youtube.com/watch?v=WTb1LYaFV8I&feature=related

ピー  「ギョエ! これ同じ人なの?」
パパ 「そう37年後のマリスカだ」「昔の5倍は肥えている」
    「さあ、日本人がこのヴィーナスをやると、こんな感じになる」

http://www.youtube.com/watch?v=qg5E7aHT2HI&feature=related

ピー  「おやまぁ、田舎の都会趣味のようだ」
    「でもさ、マイクが上の写真と同じジャン」
パパ 「気が着いてくれはりましたか、ピーやん」
    「この画像は六本木ケントスでのライブだが、ケントスでは
    50年代を醸し出すため、このマイクを使っちょーる」
ピー  「マイクもファッションか」
    「Fifty's の象徴のようなマイクだね」
パパ 「このマイクは、通称エルビス・マイクと言い、業界ではガイコツ
    とも呼んじょるのよ」
ピー  「なんでそんなマイクが家にあるのよん?」
パパ 「これも趣味の一つじゃけんね」「ほ~れでは、祇園にある
    京都ケントスのプロモーションビデオを見てみよう」

http://www.youtube.com/watch?v=HTXJ0T35d4A&feature=related

ピー  「ほほう、ここでもエルビス・マイクが出てくるねぇ」
    「どれも上の写真と同じものだ」
パパ 「もう一発やってみよう」
    「こちらはベートーヴェン作曲じゃけんね」
    「観客の赤シャツのお姐やんがイカしたツイストを踊り出すから
    よ~く見てみよう」
ピー  「なぬ? ベートヴェン? お姐やんのツイスト?」

http://www.youtube.com/watch?v=p02k5CO_YxE&feature=related

ピー  「なんじゃこれわぁ、’エリーゼのために’やんか~」
    「でもこのライブの雰囲気、マイクが効いちょるねぇ」
パパ 「マイクは、只の収音器じゃないと分かってくれはりましたか」
ピー  「でもさ、なんで赤シャツのお姐やんのツイストがイカして
    るのさ?」
パパ 「ふふ、どう見えるかはセンスの問題だ」
ピー  「しかし、こういう音楽は疲れるなぁ」
パパ 「疲れた気分は、エロール・ガーナーが作曲したミスティで
    癒そう」「74歳になるビージー・アデールの演奏だよん」

http://www.youtube.com/watch?v=lGEidwEliyY&playnext=1&list=PL37C5C41FD6235D31

ピー  「はぁ~、なんともはやエレガントな演奏だねぇ」
パパ 「この人が演奏すると、どの曲もエレガントになる」
    「例えば、ちょっぴりつまずきかけてはいるが、日本のこの曲も」

http://www.youtube.com/watch?v=koWZcv6BL70&feature=related

ピー  「落ち着いたモダンなcafeで、想いに浸りながら聴くのもいいね」
パパ 「ミスティの作曲者は黒人だが、白人から何かに付けて差別を
    受けてきた感性だとは、とても思えない」
    「この豊かな情感・感性を表現・醸成しうる米国の社会的背景とは、
    一体どのようなものかを知りたいものだ」
ピー  「前から不思議なんだけど、色んな曲を分け隔てなく聴くパパの
    感受性はどこから来るの?」
パパ 「はは、まぁ、わしのパーソナリティとでも言っておこう」