2011年4月1日金曜日

ピートとパパの会話(その120 大震災へのレクイエム)

「東北地方太平洋沖地震で被災された方々に、
                心よりお見舞いを申し上げます。」


ピー  「正月以来の会話だね」
パパ 「んだ。中国の赤色革命の考察をするつもりだったが、大震災で
    それどころじゃない」
ピー  「被災した人達の心境を思うとねぇ」
パパ 「こういう時は、心の癒しが必要だから、せめて音楽でケアをと
    考えている」
ピー  「すると、パッと明るく陽気に騒げる音楽が良い訳だね」
パパ 「以前、会社の健康管理室の先生が、先ずは静かな音楽から聴いて
    いかないと逆効果だと言っていたね」
ピー  「ほう、次第に心をほぐしていかないと、いきなり喧しい音楽では
    拒否反応が出るんだ」
パパ 「では、武満徹の弦楽のためのレクイエムから聴いてみよう」
    「これは現代音楽だから馴れない人にはどうかなぁ?」
ピー  「不協和音の連続じゃないだろうね?」
パパ 「そうじゃないよ。作風は、悲劇の後の静寂という印象だねぇ」
    「ストラヴィンスキーがこの曲を聴いて、武満徹を見出したんだよん」
    「彼がこの曲を聴かなければ、武満徹はそんなに評価されなかった
    ろうな」「いつか武満徹の考察をやろうぜ」

http://www.youtube.com/watch?v=uHfa1uCAmAA&feature=related

ピー  「まさにレクイエムの作風だね」
パパ 「武満は、この曲をある人の追悼のために作ったらしい」
    「続いてショパンのワルツ第7番とリストの愛の夢」
    「特にワルツ第7番は、1972年のNHKドラマ’国境のない伝記
    クーデンホーフ家の人々’の主題曲に使われ、実に印象深かった」
    「へへ、実はこのときのピアニストは、何と吉永小百合じゃった」

http://www.youtube.com/watch?v=-2nnzIvOD3Y&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=7OfHoXJh9wg&feature=related


ピー  「このような曲を聴きながら、癒しへの下地を醸成していくのか~」
パパ 「次の段階として、すこ~し上昇志向の曲を聴いてみよう」
ピー  「いやに早いね」
パパ 「オスカー・ピーターソン、ステファン・グラッペリ、ジョー・パスの
    共演でヌアージュってぇ曲だ」
http://www.youtube.com/watch?v=JtjoQm4ncoc&feature=related

ピー  「ヌアージュ(NUAGES)とは、おフランス語で雲だったね」
パパ 「ステファン・グラッペリのビオロン演奏は、フランス人らしく
    哀愁を帯びたシャンソンの趣きがある」
ピー  「国民性が出ているのか知らん」
パパ 「次は、ジャズ・ヴァイオリニストの寺井尚子だよん。曲はスペイン」
    「共演のウェイウェイ・ウーが、甘く切ない見事な二胡を聴かせて
    くれる。それが次第に情熱へと変わっていくのが聴きどころだ」

http://www.youtube.com/watch?v=Cck6Xv4z0OE

ピー  「ほっほう、気分が次第に高揚してきたね」
パパ 「演奏後半、共演者のグルーヴィさがとてもいい」
ピー  「グルーヴィって?」
パパ 「う~ん、音楽におけるノリというかぁ、高揚感だね」
    「ジャズでgroovyという曲もあるよ」
    「実は、お次も寺井尚子なんだ。曲も同じスペイン」
ピー  「うん?そりゃーまたどうしてさ?」
パパ 「ま、寺井尚子のバイオリンよりも、ベースのイカした音に魅かれた
    というか」「この曲のベースを初めて聴いたのは、東京に居た時
    なんだ」「中盤からベース・ソロが始まるよ」    

http://www.youtube.com/watch?v=yyFi4NOEi38&feature=related

ピー  「ほう、ベースがベンベンいっちょるな~」
パパ 「ほんじゃ、喧しいロックンロールといこう」
    「ロックンロール・ギターの大御所アルバート・リーだよん」   

http://www.youtube.com/watch?v=YK8estjfQV0&NR=1

ピー  「喧しいの~。この曲を聴くには、まだまだ時期早尚の気がする」
パパ 「この演奏は、ヒルビリーやブギの感じがするからロカビリーに思え
    るが、ヒーカップ唱法やマンブリング唱法を用いていないから、
    これはロックンロールだ」
ピー  「色んな音楽をよくま~並べるねぇ」
パパ 「好きじゃけんね」「ポップ・ミュージックに飽きたところで、
    ベートーヴェンのピアノソナタ第7番を聴こう」
ピー  「おぉ、再びクラシックだ。それも古典ね」
パパ 「これは珍しく第4楽章まであるから、ピアノソナタにしては壮大だよ」   
http://www.youtube.com/watch?v=CFamUNlx9Zw&feature=fvwrel   http://www.youtube.com/watch?v=4qnrDk6h5Bk&feature=fvwrel   http://www.youtube.com/watch?v=bxCIjCFkde8&feature=fvwrel

ピー  「喧しい音楽の後で聴くとホッとするね」
パパ 「この後ベートーヴェンは、ハイリゲンシュタットの遺書を書くことに
    よって逆境から立ち直り、次々と傑作の森を生み出すことになる」
ピー  「被災した人々も早く立ち直ってくれるといいね」